- 2024-04-22
- 2024-04-21
奇才レイニエル・バース新譜、これは音楽的サイコパスたちのエキセントリック・パーティーだ
オランダのギタリスト、レイニエル・バース(Reinier Baas)の新作『Relief Party』は、まさに奇妙な人々のためのダンス・ミュージックと呼ぶにふさわしい。音楽的サイコパスたちのエキセントリックなパーティーに、ようこそ…。類は友を呼び、アルバムには世界中から奇才たちが集う。
オランダのギタリスト、レイニエル・バース(Reinier Baas)の新作『Relief Party』は、まさに奇妙な人々のためのダンス・ミュージックと呼ぶにふさわしい。音楽的サイコパスたちのエキセントリックなパーティーに、ようこそ…。類は友を呼び、アルバムには世界中から奇才たちが集う。
前作『Andalusian Love Song』(2022年)では地中海を取り囲む諸国の出身者による多国籍ラージアンサンブルを率い刺激的なエンターテインメントを提示したイスラエル出身の作曲家/鍵盤奏者アヴィシャイ・ダラシュ(Avishai Darash)が、今度はピアノトリオにトランペットを加えたカルテットによるアルバム『Between Hope and Despair』をリリースした。
ピアニストのエンリコ・ピエラヌンツィ(Enrico Pieranunzi)、ベース奏者イェスパー・サムセン(Jasper Somsen)、そしてクラリネット奏者ガブリエーレ・ミラバッシ(Gabriele Mirabassi)。長年にわたって欧州ジャズの高いクオリティと抒情性の代名詞的な存在だった巨匠3人によるトリオ作『Traveller's Ways』がリリースされた。
オランダの音楽学校で出会った6人の若者たちにより2014年に結成されたジャズバンド、アリガガ(Aligaga)。2023年の新譜『Music Might Help』は、彼らの好奇心に満ちた音楽の世界観を存分に楽しめる作品だ。
特に順位は関係なく、2023年にもっとも感銘を受けたアルバムを10枚に絞って紹介します。ほんとは10枚に絞り切ることが難しいくらい、今年もたくさんの素晴らしい音楽に出会えました。
トルコ出身のベーシスト、エサット・エキンジョール(Esat Ekincioğlu)とイタリア出身のサックス奏者ジュゼッペ・ドロンゾ(Giuseppe Doronzo)、そしてスイス出身のパーカッション奏者ピノ・バシーレ(Pino Basile)によるアヴァン地中海ジャズ・トリオ、Ava Trio。ジャズのフォーマットに則りながら南欧、中東、北アフリカをぐるっと一周するような新鮮な音楽体験は唯一無二だ。
スペインのピアニスト、シャビ・トーレス(Xavi Torres)は、パンデミックによるロックダウンの最中、創造性を保つために1ヶ月間、毎日1曲ずつ曲を書いた。“検疫の曲たち”を表す今作『Quarantena Songs』は、それらの30曲の中から14曲(サブスクでは12曲を聴くことができる)を選び、2つのトリオで演奏した作品だ。
シリア出身の新星ウード奏者/作曲家/シンガー、ジャワ・マンラ(Jawa Manla)がアラブの古典音楽をベースにジャズや西洋クラシックの要素を取り入れた美しいアルバム『Distant Roots』でデビューした。収録の5曲はいずれも10分前後と長尺で、ジャワ・マンラ作曲による器楽曲と、彼女がシリアで過ごした子供時代に聴いたアラビア語の曲にインスパイアされた歌曲が収められている。
アラブ音楽やアンダルシア音楽に精通するモロッコ出身のウード奏者/作曲家モハメド・アハダフ(Mohamed Ahaddaf)の通算4枚目のアルバム『Ana W'inta』がリリースされた。2019年に加入した中東や北アフリカ音楽を専門とするオランダ・アムステルダム拠点のマルムーシャ・オーケストラ(Marmoucha Orchestra)とともに作り上げた作品で、15人ほどの豊かなアンサンブルで個性的なアラビック・ジャズを聴かせてくれる興味深い作品だ。
アンダルシア、北アフリカ、中東といった地中海を取り囲む地域の豊かな伝統音楽と西洋のクラシック音楽がジャズという言語のもと、最高のレベルで出会った作品と言っても過言ではないだろう。イスラエル出身、オランダ・アムステルダムを拠点に活動するアヴィシャイ・ダラシュ(Avishai Darash)が、彼が芸術監督を務めるマルムーシャ・オーケストラ(Marmoucha Orchestra)を率いて録音したアルバム『Andalusian Love Song』。それぞれ出自の異なる15名の個性的な音楽家たちによる祝祭の饗宴。
1997年ラトビア生まれ、現在はオランダ・アムステルダムを拠点とするギタリスト、エラ・ジリナ(Ella Zirina)は新世代のジャズ・ギター・ヒロインとなるであろう逸材だ。オーセンティックなスタイルを軸としながら、卓越した技巧も、繊細なダイナミクスの表現力も、様々な引き出しを持った即興のアイディアも素晴らしく、デビューアルバム『Intertwined』でその技を惜しげもなく披露している。
南アフリカの気鋭ギタリスト/作曲家ヴマ・レヴィン(Vuma Levin)が、自身のクインテットとオランダ・アムステルダムの管弦楽団アモック(AM.OK)とともに制作した新作『The Past Is Unpredictable, Only the Future Is Certain』が素晴らしい。南アフリカの先住民族の伝統的な音楽実践と楽器編成をベースとしつつ、ジャズ、ポピュラー音楽、カリブ海の音楽、そして西洋クラシック音楽のオーケストラというフィルターを通して構築された音世界は越境的で斬新。
ベルギーのベーシスト/作曲家のミシェル・ヴリダーグ(Michel Vrydag)が率いるベルギーのピアノトリオの第一作『First Daylight』。ピアノには同郷のブラム・ワイテルス(Bram Weijters)、ドラムスにオランダ出身のダニエル・ヨンカース(Daniel Jonkers)という布陣で、全14曲、計88分に及ぶ壮大なアルバムとなっている。
オランダ・アムステルダム発のアナトリアン・ロックバンド、アルトゥン・ギュン(Altın Gün)の2023年新譜『Aşk』がリリースされた。パンデミックの影響でメンバーの自宅で制作された2021年の前作『Âlem』や『Yol』から一転、今作は彼らの原点とも言える70年代のバンドサウンドに回帰。ヴィンテージの機材や録音技術を使い、アナログテープでのライヴ録音にこだわったサウンドを作り上げている。