フランスの60年代シャンソンから繋がる美しいジャズ。サラ・ランクマン新譜『Le pouvoir des mots』

Sarah Lancman - Le pouvoir des mots

サラ・ランクマン新譜はアンニュイで美しい傑作

フランスを代表するジャズ・シンガー、サラ・ランクマン(Sarah Lancman)の6枚目のアルバム『Le pouvoir des mots』は、古いシャンソンやミュージカル映画からインスピレーションを受けたノスタルジックな作品に仕上がっている。

歌声にはアンニュイな魅力が漂う。収録曲はサラ・ランクマン作詞作曲の新曲中心だが、白黒映画を想起させるワルツ(1)「Nostalgia In Paris」など、往年の名曲の貫禄が漂う。彼女はデビュー以来長きに渡りピアニストのジョヴァンニ・ミラバッシ(Giovanni Mirabassi)との活動でも知られているが、今作でピアノを弾くのはサラ・ランクマン自身。弦楽四重奏をバックにした弾き語りといった体で演奏されるアンサンブルはどこまでも映像的で美しい。

アルバム『Le pouvoir des mots』のEPK。

オリジナルのほか、カヴァーの選曲も良い。
ひとつはミシェル・ルグラン(Michel Legrand)作曲の(3)「Que feras-tu de ta vie ?」(英題「What Are You Doing the Rest of Your Life ?」、邦題「これからの人生」)。そしてもうひとつはジョゼフ・コズマ(Joseph Kosma)作曲の(12)「Les feuilles mortes」(英題「Autumn Leaves」、邦題「枯葉」)。フランスが生んだジャズ・スタンダードの名曲を、サラ・ランクマンは歌手兼ピアニストとして見事なパフォーマンスで魅せている。今作は彼女のジャズ・シンガーソングライターとしての大いなる可能性をさらに切り拓いた一枚と言えるだろう。

ゲストでベルギー出身のギタリスト、ジャン=フランシス・プリンス(Jean-Francois Prins)とフランス出身のサックス奏者ルイ・ビレット(Louis Billette)が参加。

Sarah Lancman 略歴

サラ・ランクマンは1989年にパリの中心地レ・アール(Les Halles)に生まれた。
幼少期よりクラシックピアノを学び、ローザンヌ音楽院で作曲の学位を取得している。2012年にシュアー・モントルー・ジャズ・ヴォイス・コンペティションで最優秀賞を受賞。審査員長を努めた巨匠クインシー・ジョーンズに「ジャズにとっての真の素晴らしく新しい歌声」との評価を得た。

イタリア出身でフランスを拠点に活動する人気ピアニストであるジョヴァンニ・ミラバッシのトータル・プロデュースのもと、2015年にアルバム『Dark』でデビュー。美しい声と、非凡な作曲能力で最新のヨーロッパジャズのシーンを牽引する存在だ。

Sarah Lancman – vocal, piano

The Hanson Quartet :
Anton Hanson – violin
Jules Dussap – violin
Gabrielle Lafait – viola
Simon Dechambre – cello

Blanche Stromboni – double bass (2, 7)
Lucas Henri – double bass (1, 3, 4, 8)

Special Guests :
Louis Billette – soprano saxophone, tenor saxophone (3, 10)
Jean-Francois Prins – guitar (4)

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