エンリコ・ピエラヌンツィ、孤高の巨人チェット・ベイカーに贈る最後の手紙

Enrico Pieranunzi - Chet Remembered

ピエラヌンツィ&バート・ヨリスによるチェット・ベイカー・トリビュート

イタリアのピアニスト、エンリコ・ピエラヌンツィ(Enrico Pieranunzi)とベルギーのトランペッター、バート・ヨリス(Bert Joris)による『Afterglow』(2021年)以来となる共演作は、フランクフルト・ラディオ・ビッグバンド(Frankfurt Radio Bigband)を迎えたチェット・ベイカーへのトリビュートアルバムとなった。

『Chet Remembered』と題された本作では、ピエラヌンツィがチェット・ベイカーに捧げた9曲のオリジナルを収録。ピエラヌンツィとチェット・ベイカーは1979年に出会っており、翌1980年にアルバム『Soft Journey』をリリースしているが、(4)「Soft Journey」、(5)「Fairy Flowers」、(6)「Night Bird」そして(8)「Brown Cat Dance」はこのピエラヌンツィのキャリア初期のレアな名盤にも収録されていた曲の再演である。

ピエラヌンツィは今作について、そしてチェット・ベイカーへの想いをこのように語っている:

このCDは、私にとってとても特別な意味を持つ。
チェットを思い出すと、初めて彼に会った1979年に戻ってしまう。
その出会いは、すぐに私の音楽人生のターニングポイントとなったんだ。

jazzbluesnews.com

(4)「Soft Journey」

ラストの(9)「The Real You」は、ピエラヌンツィがビル・エヴァンスへのトリビュートとして発表したアルバム『The Real You』にも収録されていた曲の再演。バート・ヨリスのトランペットにも、孤高の天才チェット・ベイカーへの抑えきれない愛情が迸る。

バート・ヨリスは今作ではチェット・ベイカーの遺産を継ぐ欧州随一のトランペッターとしてでなく、編曲家としても素晴らしい仕事をしている。ビッグバンドの緻密で色彩豊かなアレンジは、ジャズへの激しい情熱を内に秘めたピアノとトランペットをより一層輝かせ、楽しげにスウィングさせる。

Enrico Pieranunzi – piano
Bert Joris – trumpet

Frankfurt Radio Bigband

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