メキシコのSSWナナ・メンドーサ、R&B/ジャズ/ボサノヴァなど広く吸収した極上スペイン語ポップ

Nana Mendoza - ...

メキシコのSSW、ナナ・メンドーサ新譜『…』

2018年の前作『Miradas』がラテングラミー賞「ベスト・コンテンポラリー・ポップ・アルバム」部門にノミネートされたメキシコのSSW、ナナ・メンドーサ(Nana Mendoza)の2023年新譜『…』は限りなく良質なスペイン語ポップスだ。R&B、ジャズ、ボサノヴァなどから少しずつ影響を受けた爽やかだが安っぽさのない歌とサウンドで、エレクトリック要素も濃かった前作に比べると随分とアコースティックでジャズ寄りの作風が特徴的。彼女の最高傑作ではないかと思わせる素晴らしい仕上がりの作品となっている。

ネオソウルやトラップ・ミュージック、R&Bやジャズなど幅広く影響を受けてきたナナ・メンドーサ。主な影響源としてエリカ・バドゥ(Erykah Badu)、ビリー・ホリデイ(Billie Holiday)、ビヨンセ(Beyoncé)を挙げる彼女は、今作もそうした多様なジャンルからセンス良くミックスした独自の音楽性を披露。アルバムの曲名はスペイン語の数字が多くを占めており、“1”を示す(2)「uno」ではピアノとトランペットを中心とした絶妙のリズムでいきなりリスナーの心を掴む。

“3”の数字をタイトルにした(5)「tres」はリズミカルなガットギターとローズピアノがとにかくお洒落。
“4”を示す(6)「cuatro」は2拍4拍にアクセントがくる典型的なブラジルのサンバのグルーヴを取り入れる。歌詞はスペイン語だが、ラヤラ〜のコーラスなど、ほんの少しのサウダージを含んだブラジル音楽へのリスペクトが表れた良曲だ。

(5)「tres」

(8)「cinco」はスペイン語で“5”。こちらはボサノヴァで、低めのキーで歌うナナ・メンドーサはたまらなくセクシーだが、途中で驚くべき場面転換の仕掛けがありそのクリエイティヴな発想力に驚かされる楽曲に仕上がっている。技巧的なフルートも効果的だ。

それにしても、このアルバムタイトルとジャケット…。
わざと情報へのアクセシビリティを低下させているかのようなある意味パンク精神を感じさせる今作だが、その音とあわせ、この表現に彼女の確固たる意志を感じ取り深読みしようとしてしまうのは私だけではないだろう…。

Nana Mendoza - ...
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