緻密な構成の作編曲でジャズとクラシックを繋ぐ。伊出身ヴァイオン奏者ルドヴィカ・ブルトーネ

Ludovica Burtone - Sparks

NY在住ヴァイオリン奏者ルドヴィカ・ブルトーネのデビュー作

ジョン・バティースやドリーム・シアター、アリジット・シンやカミラ・メサなど豊富な共演歴を誇るイタリア出身のヴァイオリニスト、ルドヴィカ・ブルトーネ(Ludovica Burtone)のデビュー作『Sparks』。弦楽四重奏での優雅なジャズヴァイオリンが聴けたかと思えば、突如フリージャズやブラジル音楽も顔を覗かせるなど多彩な音楽性が楽しい注目の作品だ。

アルバムはルドヴィカ・ブルトーネが終始ヴァイオリン・ソロを弾きまくるようなものではなく、アレンジにおいて全ての楽器が重要な役割を担うという彼女自身の考え方に基づく弦楽四重奏を中心にした作曲や編曲に重点を置いた内容。そんな練りに練られた楽曲構成の中でゲスト含めた各人がインプロヴィゼーションでのソロをとるという、小編成ながらラージ・アンサンブル寄りの曲調が特徴となっている。

全6曲中、唯一ルドヴィカ・ブルトーネのオリジナルではない(2)「Sinha」は、ブラジルのMPBの巨匠音楽家シコ・ブアルキ(Chico Buarque)とジョアン・ボスコ(João Bosco)の楽曲のカヴァー。ここではギターに2013年のモントルー・ジャズ・フェスティバル・ギター・コンペティションの優勝者であるレアンドロ・ペレグリーノ(Leandro Pellegrino)をゲストに迎え、現代的な室内楽ジャズからブラジル音楽までを横断する卓越したアレンジメントを披露している。

(2)「Sinha」

(4)「Awakening」にはチリ出身のサックス奏者メリッサ・アルダナ(Melissa Aldana)が参加。どことなく思索的で気品あるソロを披露する。
アルゼンチン・タンゴのエッセンスを取り入れた(6)「Incontri」は12分におよぶ長大な作品だが、秀逸な場面転換が続く巧みな構成力が面白い。

サックス奏者メリッサ・アルダナをフィーチュアした(4)「Awakening」

アルバムにはスペイン出身のピアニストマルタ・サンチェス(Marta Sanchez)や、ニュージャージー州出身のベース奏者マット・アロノフ(Matt Aronoff)、クラシックから前衛音楽、ジャズまで幅広く対応するチェリストのマリエル・ロバーツ(Mariel Roberts)などニューヨーク・ブルックリンに集う多くの才能が参加している。

Ludovica Burtone プロフィール

ジャズとクラシックの垣根を超えたキャリアを持つルドヴィカ・ブルトーネ。イタリア北東部の小さな街ウーディネで生まれ育った彼女は常にほかの場所でジャズを探求したいと考えていたという。

イタリアの音楽院でクラシック・ヴァイオリンを習得した彼女は、その後マサチューセッツ州ボストンのバークリー音楽大学でジャズ作曲を履修。その後は拠点をニューヨークに移し、世界中のアーティストとの共演を続けている。

Ludovica Burtone – violin
Fung Chern Hwei – violin
Leonor Falcon – viola
Mariel Roberts – cello
Marta Sanchez – piano
Matt Aronoff – bass
Nathan Ellman-Bell – drums (except 6)

Guests :
Leandro Pellegrino – guitar (2)
Rogerio Boccato – percussion (2)
Sami Stevens – voice (3)
Melissa Aldana – tenor saxophone (4)
Roberto Giaquinto – drums (6)

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