ウクライナ出身ピアノ奏者ミラナ・ジルニク新作は『不思議の国のアリス』がテーマのワンダーランド

Milana Zilnik - Metamorfosi

ミラナ・ジルニク新作のテーマは『不思議の国のアリス』

その美しいソロピアノ作品が多くの人々に心の癒しをもたらすウクライナ出身カナダ在住のピアニスト/作曲家、ミラナ・ジルニク(Milana Zilnik)。彼女の2023年の新作『Metamorfosi』は、エレクトリック・ギターやストリングスなども交えたクラシック・クロスオーヴァーあるいは現代ジャズの作風が特徴的。それでいてどこか懐かしさも感じさせる柔らかな聴き心地が不思議な安心感をもたらす、素敵なアルバムだ。

テーマはそれぞれの人生の中にある“内なるワンダーランド”。ルイス・キャロルの名作『不思議の国のアリス』『鏡の国のアリス』を彷彿させるタイトルが冠せられた各曲に導かれ、リスナーはそれぞれのワンダーランドを追体験するのだ。

ミラナ・ジルニクは語る:

私の人生は長い間、ワンダーランドを中心に渦巻いてきた。
私には、チェシャの笑顔のようにいたずら好きな2匹の猫がいる。
夫の中にはマッドハッターがいて、朝食前から一日中、ありえないことを3つも信じるほどクレイジーで、それを現実にするのはもっとクレイジーだ。
子供にはトゥイードルディーとトゥイードルダムがいる。
赤の女王であれジャバウォッキーであれ、私には戦うべき自分の内なる悪魔がいる。

Bandcamp

(5)「Metamorfosi」。アリスをテーマにしたMVも素敵だ。

アリスをテーマにした作品というと、個人的にはチック・コリア(Chick Corea)の名作『Mad Hatter』が強く記憶に焼き付けられているのだけど、このミラナ・ジルニクの作品も彼女の中の芸術性や狂気の片鱗が垣間見える作品として印象に残りそうだ。

演奏陣にはウクライナのギタリストヴィタリー・トカチュク(Vitaliy Tkachuk)、イスラエルのチェロ奏者ヨエド・ニール(Yoed Nir)、ミラナ同様にウクライナ生まれのユダヤ人でありカナダ在住のフルート奏者ボリス・コドルコフスキ(Boris Khodorkovsky)、そしてUSAの打楽器奏者フィル・ディメルクリオ(Phil DiMercurio)とベース奏者クレイグ・アキン(Craig Akin)という国際色豊かなメンバーが揃う。

Milana Zilnik 略歴

ミラナ・ジルニクは1977年にウクライナで生まれ、長年イスラエルに住み、2008年にカナダに移住した。幼少期から演奏活動を行っており、さまざまな国に住んだ経験が彼女の音楽とストーリーテリングを育んできた。現在もアイデンティティやインナーチャイルド、戦争と平和、生と死の価値観などが彼女の音楽の主題となっており、クラシックやフォーク、ブルース、オペラ、中東音楽からロックやジャズまで、さまざまなスタイルを取り入れた多彩な音楽性が特長だ。

これまでに3冊のピアノスコア、20枚以上のフルレンス・アルバムをリリースし、彼女の多くの作品がApple Music や Spotify などのエディトリアル・プレイリストでフィーチュアされている。

Milana Zilnik – piano, vocals, hang drums
Yoed Nir – cello
Vitaliy Tkachuk – electric guitar, acoustic guitar
Phil DiMercurio – drums, percussion
Craig Akin – electric bass, upright bass
Boris Khodorkovsky – flute

Milana Zilnik - Metamorfosi
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