自由な感性がぶつかり合う、完全即興北欧ジャズの傑作。デンマークの名手カーステン・ダールのピアノトリオ作『Prism』

Carsten Dahl - Prism

デンマークのピアニスト、カーステン・ダールによるトリオ作『Prism』

デンマークのピアニストカーステン・ダール(Carsten Dahl)と、ノルウェーのベース奏者オーレ・モルテン・ヴォーガン(Ole Morten Vågan)、そしてラトビア出身のドラマーイヴァルス・アルトゥニアン(Ivars Arutyunyan)。北欧の名手3人による『Prism』は、ジャズらしいスウィング感も、欧州らしい抒情性も兼ね備えた見事なアルバムだ。それぞれの奏者が非常に高い集中力をもって音で会話し、奇を衒うことなく、純粋かつストレートに即興音楽の素晴らしさを伝えてくれる。

カーステン・ダールの作曲による(10)「konge og bajads」をのぞき、他はほぼ全てが3人の即興演奏によるもの。演奏は起伏が激しく、時には抑制され、時には爆発するインタープレイが繰り広げられる。カーステン・ダールは終始唸り声をあげながら陶酔的にフレーズとハーモニーを紡ぐ。これだけ圧倒的な個性のカーステンが支配的かと思いきや、ベースのオーレ・モルテン・ヴォーガンもまた非常に強い個性でそれに呼応する。自由な演奏により、ぶつかり合いながら融合するミュージシャンの魂。これこそ、ジャズの醍醐味だ。

(1)「field walking」

録音は2016年6月にノルウェー・オスロのレインボースタジオで行われた。ジャケットは画家としての顔も持つカーステン・ダールによるアクリル画。アルバムはECMの数多くの音を作ってきた名エンジニア、ヤン・エリック・コングスハウク(Jan Erik Kongshaug)と、カーステン・ダールの愛妻シャーロット(Charlotte Bülow Dahl)に捧げられている。

(8)「prism」

Carsten Dahl – piano
Ole Morten Vågan – double bass
Ivars Arutyunyan – drums

Carsten Dahl - Prism
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