ジャンルレスなデンマークの現代ジャズを象徴する美しいアルバム。Hvalfugl + 弦楽団『Drømme』

Hvalfugl - Drømme

Hvalfugl × Who Killed Bambi『Drømme』

デンマーク・オーフスのジャズトリオ、イヴェイフール(Hvalfugl)は新作『Drømme』で同郷の弦楽合奏団フー・キルド・バンビ(Who Killed Bambi)とコラボレーションし、静謐で深遠な音楽の世界へとリスナーを誘う。スカンジナビアの伝統音楽、西洋クラシック音楽、そしてジャズが境界なく溶け合い、デンマーク語で“夢”を表すタイトルのとおり、夢見心地の気持ちにさせてくれる美しい作品だ。

ピアノのジョナサン・フィヨルド・ブレッドホルト(Jonathan Fjord Bredholt)、ベースのアンデシュ・ユール・ボンホルト(Anders Juel Bomholt)、そしてギターのイェッペ・ラヴセン(Jeppe Lavsen)というドラムレス編成のジャズトリオに、ヴィオラ奏者/アレンジャーのメッテ・ダール・クリステンセン(Mette Dahl Kristensen)が率いる女性のみで構成された弦楽五重奏団の組み合わせは、最高のオクテットとして機能。ストリングス隊はメロディを補完したりピチカートでアルペジオを弾いたり、白玉和音で空間的な厚みを演出したりと大活躍だ。

陰鬱だが心を打つ抒情的なメロディーを持った(2)「Svævende Lys」は今作の最初のハイライトだ。丁寧にアレンジされたアンサンブルを起点とし、ごく僅かな即興を交えた録音はこの二つのグループのコラボレーションが生む奇跡的な音楽を象徴し、アルバム全編の圧倒的なクオリティを信じさせる。

(2)「Svævende Lys」

(3)「Bølgerne I Dit Liv」は、トリオのピアニストのジョナサンの幼馴染で、あまりに早く亡くなった友人へのトリビュートだという。シンプルで美しい構成の(4)「Solskud」、ヴァイオリンが主旋律を担い、クリーン・トーンのエレクトリック・ギターの温かい存在感や、目立たずとも重要な仕事をするベースや他の弦楽器のアレンジも素晴らしい(5)「Dybe Dale」などなど、アレンジも演奏も素晴らしく、聴きどころが随所にある。

収録された7曲のうち、ピアニストのジョナサンが3曲、ベーシストのアンデシュとドラマーのイェッぺはそれぞれ2曲ずつを作曲。バンドの誰が一人が目立つのではなく、全員で作り上げるという哲学も彼らの音楽の美しさの源のように感じた。

Hvalfugl 略歴

デンマーク語の「クジラ(hval)」と「鳥(fugl)」という二つの単語を組み合わせたバンド名を持つHvalfugl は、北欧の伝統音楽やジャズ、クラシック、アンビエントなどが境界なく混ざり合った音楽性が高く評価されている。

2017年にアルバム『By』でデビュー。2019年にはジャケットの紫色の空を飛ぶ鯨が印象的な『Som En Faldskærm』をリリース。

Hvalfugl :
Jonathan Fjord Bredholt – piano, harmonium
Anders Juel Bomholt – double bass
Jeppe Lavsen – electric guitar

Who Killed Bambi :
Anna Sakham Jalving – violin
Sophia Larsdotter – violin
Silke Kirstine Ekmann Kidholm – violin
Mette Dahl Kristensen – viola
Benedikte Borum Engell – cello

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