ハンガリーの鬼才サボルチ・ボグナール率いるÀbáse、待望の2nd
ハンガリー出身のマルチ奏者/作曲家サボルチ・ボグナール(Szabolcs Bognár)のプロジェクト、アバセ(Àbáse)の新作『Awakening』がリリースされた。強めのブラジル音楽エッセンスで絶賛された前作『Laroyê』(2021年)と比較すると今作はよりルーツ回帰的で、アフロ・スピリチュアルな生々しいグルーヴを全編に湛えている。
曲はほぼ全てがサボルチ・ボグナールのオリジナル、あるいはバンドの即興演奏。
J・ディラ(J Dilla)へのオマージュである(2)「Shining」は物語の始まりを告げる導入曲で、テルアビブ出身のオリ・ヤコブソン(Ori Jacobson)のサックスも素晴らしい。(5)「Orbit Sirius」は9分にわたるセッションで、今作のコンセプトや方向性が象徴的に表れている。
(7)「Gyászba Borult Isten Csillagvára」はハンガリーの民謡。(11)「Shango」はヨルバ語のチャントに基づいている。ハンガリー出身の女性フルート奏者ファニ・ザハール(Fanni Zahár)も全編で踊るように軽やかなフルートの音色を聴かせてくれる。
ポスト・プロダクションに多くの時間をかけた前作とは異なり、今作はベルリンでの4日間のセッションでほぼすべての録音を終え、オーヴァーダブも最小限となっていることも特徴だ。象徴的なのは(10)「Sun Is Away」で、深夜にまで及んだセッションで疲れ果てたメンバーたちが最後に「サン・ラ(Sun Ra)」というキーワードで演奏した奇跡的な記録である。この9分間の即興セッションは確かにサン・ラの”宇宙”を想起させるもので、クレジットをよく見るとゲストとしてサン・ラ・アーケストラで活躍していたトランペット奏者のセシル・ブルックス(Cecil Brooks)とサックス奏者のノエル・スコット(Knoel Scott)が演奏に参加している。
Fanni Zahár – flute, alto saxophone, background vocals
Ori Jacobson – tenor saxophone, soprano saxophone
Szabolcs Bognár – piano, Fender Rhodes, Clavinet, Roland SH2000, Moog Sub37, Prophet Rev2
Eric Owusu – percussion, vocals
Ernő Hock – double bass
Andras Koroknay – bass guitar, Moog Minimoog, modular synth
Ziggy Zeitgeist – drums
Guests :
Flóra Bognár – vocals
Youka Snell – violin
Cecil Brooks – trumpet, vocals
Knoel Scott – baritone saxophone, alto saxophone, vocals
Dumama – background vocals
Rhea Sodemann – background vocals
Wayne Snow – background vocals