Auster Loo、アフリカ、西洋、中東から日本までをも包む多国籍民族ジャズ

Auster Loo - Collective

世界各地から集った8人の音楽家による無国籍ジャズ

2016年に打楽器奏者シモン・ルルー(Simon Leleux)とフルート奏者リディー・トナール(Lydie Thonnard)の二人でアルバム『Rhythm and Breath』でデビューしたベルギーのデュオ、Auster Loo が多様なバックグラウンドを持つミュージシャンたちを迎えて制作した2ndアルバム 『Collective』をリリースした。アフリカから西洋、東洋まで、無国籍で混ざり合った豊かな音楽が楽しめる優れたワールドミュージック×ジャズの作品だ。

参加メンバーはいずれもベルギーを拠点に活動する音楽家たちで、前述の二人のほかに日本出身の箏/三味線奏者の佐藤亜貴(Aki Sato)、イラン出身のセタール奏者シャハブ・アジンメール(Shahab Azinmehr)、セネガル出身のコラ奏者バオ・シソコ(Bao Sissoko)、メキシコ出身の打楽器奏者オズバルド・エルナンデス(Osvaldo Hernandez)、ベルギー出身のコントラバス奏者ヴァンサン・ノワレ(Vincent Noiret)、そして同じくベルギー出身のピアニストセレスティン・マソ(Céléstin Massot)という8人編成。シャハブ・アジンメールによる即興歌(3)「Aruna」(サンスクリット語で「夜明け」の意味)や、佐藤亜貴が日本語で歌い、雅楽の雰囲気をもつ(6)「Yashivo sishi」など、それぞれが演奏する民族楽器のサウンドが想起させる風景によって、楽曲はヨーロッパ、西アフリカ、中東、東アジアまで世界中を旅するような感覚を呼び起こす。

ヒンズー教の破壊の女神であるカーリーをタイトルに据えた冒頭曲(1)「Kali」は、彼らの音楽のスタイルを端的に表している。すなわち、各地の伝統に根差しながらも、それぞれの伝統が持つ保守的な側面を打ち破り新たな時代のために再生を試みようとするスタイルだ。フルートとパーカッションのみで始まるアンサンブルは徐々に昂っていき、1分半を過ぎたところでそのコンセプトに呼応する世界各地のミュージシャンたちが雪崩れ込んでくる瞬間は今作のもっとも象徴的で印象的な部分だ。

Simon Leleux – percussion, composition
Lydie Thonnard – flutes, voice
Aki Sato – koto, shamisen, voice
Shahab Azinmehr – setar, voice
Bao Sissoko – kora, voice
Osvaldo Hernandez – percussion, voice
Vincent Noiret – double bass
Céléstin Massot – piano

Auster Loo - Collective
Follow Música Terra