トロントのバンド、Lemon Bucket Orkestra 4thアルバム
カナダ・トロントを拠点とする、自称“バルカン・クレズマー・ジプシー・パーティー・パンク・スーパーバンド”、レモン・バケット・オーケストラ（Lemon Bucket Orkestra）の新譜『Cuckoo』で、あなたは“音楽が持つ力”を再認識させられるかもしれない。
ウクライナからの移民であるヴァイオリン奏者マーク・マルツィク（Mark Marczyk）を中心とした大所帯のバンドはあらゆる場面で騒々しく、底抜けにポジティヴに、そして力強く音を奏でる。その根底にあるのは東欧の文化へのリスペクトと、彼の地における不安定な情勢への想いであり、無限に奔放なようで団結という名の秩序によって支えられたジプシーブラス・アンサンブルの音の隅々には魂が宿っている。
演奏の中心となるのはヴァイオリンのほかヴォーカルも務めるマーク・マルツィフのほか、トロンボーン/ヴォーカルのネイサン・デル・ヴァンデンバーグ（Nathan Dell-Vandenberg）、シンガーのマリチカ・マルツィク（Marichka Marczyk）、シンガー/打楽器奏者のステファニア・ウォロシン（Stephania Woloshyn）など。さらにはマケドニアの世界的バンド、コチャニ・オルケスタル（Kočani orkestar）の元メンバーでトランペット奏者のニゾ・アリモフ（Nizo Alimov）が数曲で参加している。
東欧のジプシー・ブラスの伝統に則りながら、彼らの音楽に一貫して流れるテーマはウクライナとロシアの間の紛争への関心と怒りだ。ウクライナ西部のカルパティア山脈のフツル人から、ロシアによって違法に併合されたクリミア半島のタタール人まで、豊かな文化を讃え守ることを熱狂的なサウンドに乗せて訴える。
Lemon Bucket Orkestra 略歴
レモン・バケット・オーケストラは2010年にカナダ・トロントで結成された。ウクライナ・キーウからの移民であるマーク・マルツィクがバーテンダーでミュージシャンのマイケル・ルイス・ジョンソン（Michael Louis Johnson）と出会い、ジプシーパンクバンドのワールドリィ・サヴェイジス（Worldly Savages）を紹介してもらい彼らのジャムセッションに参加するようになったことが結成のきっかけで、2013年までにバンドのメンバーは17人までに膨れ上がった。この時期のバンドの音楽スタイルはパーティー・ブラス、フォホー、フラメンコ、ラグタイム、ジャズなど雑多なものとなった。
レモン・バケット・オーケストラはJUNO賞に2度ノミネートされ、ウクライナの尊厳革命にインスピレーションを得た『Counting Sheep』（2016年）でアムネスティ・インターナショナルの「表現の自由」賞を受賞するなど136万人のウクライナ系カナダ人が住む国で文化の原動力となっている。
Nathan Dell-Vandenberg – trombone, vocals (3), background vocals (1, 8, 11)
Mark Marczyk – violin, vocals (1, 3, 5, 6, 11)
Marichka Marczyk – vocals (1, 3, 5, 6, 9, 11)
Stephania Woloshyn – vocals (1, 5, 6, 11), zils (1, 2, 5, 6, 7, 8, 10), tambourine (3, 4, 7, 11), background vocals (8)
Jaash Singh – darbouka (except 9), background vocals (1, 11)
Os Kar Lambarri – savage drum (except 9), cymbals (except 9), vocals (except 7, 9) wood block (4, 7)
Alex Nahirny – guitar, background vocals (1, 11)
Max Forster – trumpet (5, 7, 9, 10), flugelhorn (1, 2, 3, 4, 8, 11)
Michael Louis Johnson – flugelhorn, background vocals (1, 8, 11)
James McKie – violin, vocals (1, 11), bohdran (8), bones (7, 8)
Julian Selody – alto saxophone (except 11), clarinet (11), background vocals (1, 11)
Ian Tulloch – sousaphone, background vocals (1, 11)
Nizo Alimov – trumpet (3, 5), baritone horn (3)
Conrad Gluch – sopranino recorder (7), bass saxophone (1)
Naoki Hishinuma – flugelhorn (6)