南米を代表する音楽家カルロス・アギーレ、新グループで奏でる洗練されたアルゼンチン・ジャズ

Carlos Aguirre & Almalegría - Melodía que va

カルロス・アギーレ新グループ「Almalegría」デビュー作

アルゼンチンを代表する作曲家/マルチ奏者カルロス・アギーレ(Carlos Aguirre)が、ラテンアメリカのリズムを探求するために2017年に結成したバンド、アルマレグリア(Almalegría)を率いての最初のアルバム『Melodía que va』をリリースした。

この素敵な作品を注意深くも大胆にまとめるとしたら、“無限の空間を持つ南米室内楽ジャズの壮大な実験場”といったところだろうか。グループの7年間にわたる研究と遊びの成果が詰まった1枚のなかにはカルロス・アギーレが作曲した7曲と、ラモン・ナバッロ(Ramón Navarro)作曲の古い曲(5)「Coplas del valle」が収められている。比較的長尺の各楽曲はそれぞれの瞬間に優れた音楽的アイディアが連続し、リズムだけではなく“流れるメロディー”を意味するアルバムのタイトル通りリズム、メロディー、ハーモニーが美しく調和したアンサンブルをたっぷりと楽しむことができる。

(1)「Primera alegría」

彼らは、その音楽観を表現するためにピアノやギター、ベース、ドラムスといった“通常の楽器”に加え、鍋の蓋、フライパン、ホーローボウル、電気設備用のパイプ、滑車、自転車のスプロケットといった”日常的な楽器”をも演奏するアイテムのリストに入れた。アルバムの幕開けとなる(1)「Primera alegría」はカルロス・アギーレらしい風光明媚な曲だが、2:31からの奇妙な金物パーカッションのソロなどにそうした遊び心が表れている。複雑なコンポジションとアンサンブルの中で時折見せる無邪気で子どもっぽい好奇心が、この作品を一段と魅力的なものにしているような気がする。

(2)「Melodía que va」はバンドの6人全員が声を重ねる、象徴的なトラックだ。アルゼンチン・サンバとジャズの幸せすぎる融合。アレンジもアイディアに満ちている。
ブラジルのショーロやフォホーの影響を受けた祝祭的(というよりはエルメート・パスコアール的、か)な(4)「Brinquedo do triangulinho」も面白い。

アルバムは全体的に余計な音がなくて心地よく、それでいて豊かな情感があり退屈さがない。演奏には調和があり、それでいて各演奏者の個性も表れている。

Luciana Insfran – vocal, accordion, Rhodes, percussion
Fabricio Amaya – electric guitar, chorus
Sebastián Tozzola – fretless bass, chorus
Iván Petrich – vibraphone, percussion, chorus
Gonzalo Díaz – drums, percussion, chorus
Carlos Aguirre – vocal, piano, Rhodes, guitar

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