アルゼンチンとイスラエルの奇才デュオ、ついに実現
現代アルゼンチン音楽の中心人物であるSSW/マルチ奏者のカルロス・アギーレ(Carlos Aguirre)と、南米音楽に傾倒するイスラエル出身のギタリスト、ヨタム・シルバースタイン(Yotam Silberstein)のデュオがついに実現!
2020年の終わりに、絶対に外せない作品が登場した。
スペイン語で「庭にて」を意味するタイトルの『En el jardín』は、二人がそれぞれ持ち寄った曲を計8曲、タイトル通りリラックスした親密な雰囲気のアンサンブルで聴かせてくれる。録音は2018年5月、アルゼンチンのパラナにて。それまでもデュオで公演をしたり、ヨタム・シルバースタインも自身のバンドでアギーレの曲を取り上げたりと親交を深めてきたが、ようやくアルバムという形で日の目を見ることになった。ヨタム・シルバースタインがギターを、ピアノをはじめとするそれ以外の楽器をカルロス・アギーレが担当しており、様々な楽器の音色に彩られていながら、全編たった二人で録音されたというから驚きだ。
収録曲はどれもこの二人にしか為し得ない、美しく個性的な音楽ばかり。非常に高度な譜面を演奏していても、出音はとてもオーガニック&シンプルで聴き心地は最高だ。いかにもアルゼンチン音楽といった豊かなハーモニーのものから、ボサノヴァ/サンバを意識した(3)「João」や、イスラエルの子守唄を彷彿させる(5)「Ga’aguim」など曲調も多彩。静かな生活を彩る、確かな音楽だ。
カルロス・アギーレ&ヨタム・シルバースタイン 略歴
カルロス・アギーレ(Carlos Aguirre)はアルゼンチン生まれの作曲家/マルチ奏者。伝統音楽と現代的なジャズが高度に結びついたユニークな音楽性で知られており、アルゼンチンや隣国ブラジルのトップミュージシャンと共演を重ねてきた才人。
2000年に『Crema』でデビューしているが、このアルバムはジャケットの小窓に描かれた水彩画がなんと女性画家パメラ・ヴィジャラーサによって1枚1枚手書きで描かれており全てデザインが違うという凝った作品で、音楽的な内容の素晴らしさとあわせ大いに注目された。
ギターのヨタム・シルバースタイン(Yotam Silberstein)はイスラエル・テルアビブの出身で、ギターは10歳の頃から始めている。21歳の頃、「イスラエル・ジャズ・プレイヤー・オブ・ジ・イヤー」の栄誉に輝き、その後すぐにイタリアのウンブリア・ジャズ・フェスティバルにも出場。デビュー作『The Arrival』(2003年)は絶賛され、一躍現代ジャズ・ギターの注目株となった。
2005年に奨学金を得て米国に留学、その後はニューヨークを拠点に活動し、様々なスタイルのジャズを演奏してきた。
2010年以降はエグベルト・ジスモンチやエルメート・パスコアールなどの南米音楽に深く傾倒。ブラジルやアルゼンチンの音楽家との交流を重ねている。
Yotam Silberstein – electric guitar, classical guitar, voice
Carlos Aguirre – piano, Rhodes, accordion, synthesizer, guitarrón, fretless bass, electric bass, bass flute, percussion, voice