MPBの遺産を受け継ぐSSW、マトゥ・ミランダ。 大物ゲストも参加した注目のデビュー作

Matu Miranda - Matutando

ブラジル注目のSSW、マトゥ・ミランダのデビュー作『Matutando』

マトゥ・ミランダ(Matu Miranda)というシンガーソングライター/ギタリストの登場は、今年(2024年)のブラジル音楽におけるひとつの重要なトピックだ。マットグロッソ・ド・スル州カンポ・グランデで生まれ、現在はリオデジャネイロを拠点とする彼は2023年にオーディション番組「The Voice Brasil」で準決勝まで進出。2024年9月に待望の初アルバム『Matutando』をリリースした。

30秒程度のイントロから繋がる(2)「AGORA」から、作曲家/ヴォーカリストとしての豊かな才能を惜しむことなく披露する。ジャヴァン(Djavan)やカエターノ・ヴェローゾ(Caetano Veloso)からの影響を公言する彼だが、そういったブラジルの偉大な遺産を受け継ぎながらも現代的でジャジーなハーモニー感覚が素晴らしく、ブラジルらしい軽やかで洒落た楽曲に仕上がっている。

ここにゲストでフィーチュアされているのは若き天才ベーシスト、ミシェル・ピポキーニャ(Michael Pipoquinha)。アルバムのクレジットを見てみると、こうした才能の惜しみない協力も見逃せない。

(1)「Entre」〜(2)「AGORA」

ミシェル・ピポキーニャだけではない。
可愛らしいショッチ(ブラジル北東部の曲種)である(4)「Micro Xote」にはエルメート・パスコアール・グループで活躍したマルチ木管奏者の巨匠カルロス・マルタ(Carlos Malta)、つづく(5)「Reluzia」にはMPBの様々なセッションに名を残すマルチ奏者アリスマール・ド・エスピリト・サント(Arismar do Espirito Santo)が7弦ギターで参加し、さらには(6)「Lunar」にはアコーディオン奏者べべ・クラメール(Bebe Kramer)といったベテランが揃って参加している。

(5)「Reluzia」

(9)「RENOVA」にはブラジリアン・ロックの大御所レニーニ(Lenine)も参加している。

ついつい大物のゲスト参加に目を奪われてしまうが、これもマトゥ・ミランダ自身の実力から来るブラジル音楽界からのエールだろう。歌もギターのコードワークも完璧に洗練されており、前述したようにMPBの遺産を受け継ぐ最高の才能が現れたという印象を受ける。メディアでの存在感も強く、Instagramでは13万人を超えるフォロワーを抱え、いまもブラジル全土、そして世界中でファンを獲得している。

(3)「Lagrimar」

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