ベーシスト必聴!ミシェル・ピポキーニャ新譜はブラジル音楽やジャズの粋の結晶

Michael Pipoquinha - Um Novo Tom

ミシェル・ピポキーニャ新譜『Um Novo Tom』

世界的にも稀な超絶技巧を持ちながら、それに浴せず高度な芸術性や音楽性を兼ね備えたブラジルのベーシスト/作曲家ミシェル・ピポキーニャ(Michael Pipoquinha)の新作 『Um Novo Tom』が登場した。

サックス奏者のジョズエ・ロペス(Josué Lopez)、鍵盤のチアゴ・アルメイダ(Thiago Almeida)、ドラムスのセルジーニョ・マシャード(Serginho Machado)とのカルテットを軸に、数曲でヴォーカルのヴァネッサ・モレーノ(Vanessa Moreno)、アコーディオンのメストリーニョ(Mestrinho)、ペルナンブーコの伝説的ハベッカ奏者アントニオ・ノブレガ(Antônio Nóbrega)など多彩なゲストが参加。すべての曲がミシェルのオリジナルで演奏時間もすべて5分以上、さらに8分以上の曲も6曲あるなど量も質も充実した一枚となっている。

ジャズ・フュージョンの流れを汲みつつ、ブラジル特有の洗練された浮遊感を醸す楽曲群は聴き応えも抜群で、ミシェル・ピポキーニャの作曲家/アレンジャーとしての感性の素晴らしさを感じさせてくれる。注目の彼のベースも、ときにしっとりと歌い、ときに圧倒的な技巧をさりげなく披露し、ときには地味に低音を支える役割を果たすなど変幻自在。10代前半でYouTubeに登場した頃の“神童”の成熟ぶりを窺わせてくれるのだ。

(1)「Tipo Dani」は、ペドロ・マルチンス(Pedro Martins)とのデュオでも披露されていた曲の再演だ。

ブラジルを代表する若手ベーシスト、Michael Pipoquinha

ミシェル・ピポキーニャはブラジル東部セアラー州リモエイロ・ド・ノルテに1996年生まれた。音楽一家で育ち、祖父や父の指導のもと10歳の頃からベースを始めたが、そこから信じられないほどのセンスで上達をみせ、わずか1年後、11歳で公の場で演奏を開始。その技巧はどこに行っても称賛を集め、早熟な天才として知られるようになっていった。

2012年、ピポキーニャはモダンジャズバンドBR Trioに参加し、南米のさまざまなフェスティバルに出演。2015年にはドイツ・ケルンでWDRビッグバンドやジェイコブ・コリアーとともに演奏をしている。

影響を受けたベーシストとしてはジャコ・パストリアス(Jaco Pastorius)、ヴィクター・ウッテン(Victor Wooten)、アルトゥール・マイア(Arthur Maia)、そして数々のMPB名作を残し日本で永眠したルイザォン・マイア(Luizão Maia)らの名前を挙げている。

(8)「Confissão」にはヴォーカルでブルーナ・モラエス(Bruna Moraes)、ナイロン弦ギターでダニロ・シルヴァ(Danilo Silva)がフィーチュアされている。

Michael Pipoquinha – bass, vocals (2), steel-string guitar (6)
Josué Lopez – tenor saxophone (1, 3, 5, 7, 9), soprano saxophone (2), bass clarinet (1, 8), EWI (4)
Thiago Almeida – keyboards (1, 2, 4, 5, 6, 7, 9, 10), piano (3, 7, 8, 10), vocals (2)
Serginho Machado – drums
Vanessa Moreno – vocals (1, 2, 10)
Mestrinho – accordion (2)
Ricardo Braga – percussion (2)
Matu Miranda – vocals (5)
Bruna Moraes – vocals (6, 8)
Antônio Nóbrega – vocals (6)
Diego Garbin – flugelhorn (5, 8, 10)
Danilo Silva – nylon-string guitar (8)
Lucas Gomes – trumpet (9)

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