デンマークの名手トーマス・フォネスベック、イタリア稀代の音楽家たちと奏でる至極のインタープレイ

Thomas Fonnesbæk - In Rome

デンマークの名手トーマス・フォネスベック新譜『In Rome』

デンマーク出身のベーシスト/作曲家トーマス・フォネスベック(Thomas Fonnesbæk)が欧州最高のメンバーを迎え録音した『In Rome』が素晴らしい。北欧ジャズの静かな抒情と、ピアニストのエンリコ・ピエラヌンツィ(Enrico Pieranunzi)がもたらす古いイタリア映画のようなセピア色のノスタルジアが織りなす繊細なインタープレイが実に情感豊かな作品だ。

全11曲はほとんどがピエラヌンツィの作曲だが、(2)「Thomas Fonnesbæk」がトーマス・フォネスベック作曲、そして(5)「Satie’s Mood」はドラマーのロベルト・ガット(Roberto Gatto)の作曲となっている。基本はピアノトリオだが、イタリアを代表するサックス奏者ロザリオ・ジュリアーニ(Rosario Giuliani)が一部参加している。

トーマス・フォネスベック作曲の(2)「Orphant In Rome」。ゲストでアルトサックス奏者のロザリオ・ジュリアーニが参加

そして特筆すべきは、エンリコ・ピエラヌンツィの名曲(4)「Blue Waltz」だ。彼の過去作にもインストで収録されていた曲だが、ここではイタリア出身の歌手ヴァレンティーナ・ラナリ(Valentina Ranalli)が歌を歌っており、その美しい佇まいと歌唱は、かのビル・エヴァンス&モニカ・ゼタールンドの名盤『Waltz For Debby』をも彷彿させる。

Thomas Fonnesbæk 略歴

トーマス・フォネスベックは1977年にデンマークのシェラン島北東部の都市ヘルシンゲルに生まれ、12歳でコントラバスの演奏を始め、その後コペンハーゲンの音楽院で学んだ。

1990年代後半からスカンジナビアのジャズ・シーンで活動を開始し、2012年に自身の初リーダー作『Sound of My Colors』をラーシュ・ヤンソン(Lars Jansson, p)とポール・スヴァンベリー(Paul Svanberg, ds)と録音。2015年にも同じメンバーで『Where We Belong』をリリースしている。

2018年にエンリコ・ピエラヌンツィとのデュオ・アルバム『Blue Waltz』をリリースし、ヨーロッパ・ジャズのファンから大きな注目を集めた。

Thomas Fonnesbæk – double bass
Enrico Pieranunzi – piano
Rosario Giuliani – saxophone
Roberto Gatto – drums
Valentina Ranalli – vocals

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