フィンランドのピアニスト、アレクシ・トゥオマリラ新譜
フィンランドのピアニスト/作曲家のアレクシ・トゥオマリラ(Alexi Tuomarila)の新作『Departing the Wasteland』は、エスビョルン・スヴェンソン・トリオ(e.s.t.)以降の現代的な北欧ジャズの雰囲気を持つ作品だ。ロックや現代音楽の趣向を反映した構成で、技巧と感情のバランスの取れた総合的に優れたアルバムとなっている。
20年来の仲間であるベースのマッツ・アイレットセン(Mats Eilertsen)とドラムスのオラヴィ・ロウヒヴオリ(Olavi Louhivuori)とのトリオを軸に、ポルトガル出身のギタリストのアンドレ・フェルナンデス(Andre Fernandes)が歪んだエレクトリック・ギターで絡む。いくつかの楽曲ではさらに管楽器隊も加わりさらに躍動。アレクシが弾くシンセサイザーも音響的に重要な役割を果たしており、この作品の重厚感をより一層高める。
アルバムのタイトル“荒野を旅立つ”は、彼の創造的な旅路の始まりへの想いが込められている。
全8曲中6曲がアレクシ・トゥオマリラの作曲で、(5)「August」と(8)「Circle」がマッツ・アイレットセン作。
Alexi Tuomarila 略歴
アレクシ・トゥオマリラは1974年フィンランドのポリ(Pori)に生まれた。6歳からクラシックピアノを学び始め、10代の頃はロックやグランジ・ミュージックに夢中だったが、父親のレコードコレクションを通してジャズの深みに傾倒していった。1993年、ヘルシンキにあるオウルンキュラ・ポップ&ジャズ音楽院に入学。翌年の1994年にベルギーに渡り、ブリュッセル王立音楽院でディエデリック・ウィセルス(Diederik Wissels)とナタリー・ロリエ(Nathalie Loriers)に師事。1999年にベルギーのフーイラールト(Hoeilaart)で開催された国際ジャズ祭では最優秀賞に選ばれた。
2001年に初のアルバム『Voices of Pohjola』をリリース。2003年の2作目のアルバム『02』は現代ジャズの重鎮である米国のピアニスト、ブラッド・メルドー(Brad Mehldau)がライナーノーツを手掛け、彼を絶賛した。
これまでに自身のリーダー作を10枚以上、サイドマンとしても多くの作品をリリースするフィンランドを代表するピアニストとなっている。
Alexi Tuomarila – piano, synthesizers
Andre Fernandes – guitar
Mats Eilertsen – bass
Olavi Louhivuori – drums
Gil Silva – trombone (2, 4, 8)
José Pedro Coelho – tenor saxophone (2, 4, 8)
João Guimarães – alto saxophone, flute (2, 4, 8)