オーストラリア出身、“若手世界最高峰”と噂の超絶ギタリスト、待望のデビュー作『Tides of Time』

Josh Meader - Tides of Time

ジョシュ・ミーダーが描き出す、美しい“時の潮流”

若手ジャズ/フュージョン系ギタリストの最高峰と注目されるオーストラリア・シドニー出身のジョシュ・ミーダー(Josh Meader)が、待望のデビュー・アルバム『Tides of Time』をリリースした。ジャズ、フュージョン、プログレッシヴ・ロックなどの影響を混淆したインストゥルメンタルで、彼の性格無比な超絶技巧が爽快な作品だ。

アルバムはギターのジョシュのほか、キーボードやシンセベースを担当するマシュー・トムソン(Matthew Thomson)、そしてドラムスのアレックス・ハーリアン(Alex Hirlian)とのトリオ編成。

彼らの演奏はダイナミックだが、同時に驚くほど繊細だ。ジョシュ・ミーダーはギターの音を軽く歪ませているがその輪郭はまだはっきりとしており、この強靭な音楽がロックではなくジャズであることを証明している。彼は決して速弾きのテクニックを誇示するのではなく、深い知識に根差した優れた感性でフレーズを次々と紡ぎ出す。一聴して凄いと分かるのに、さらに音楽的な深みもあるのだから、多くの尻尾を持ったギタリストたちはそれを巻いて逃げ出すしかないだろう。

(1)「Ultraviolet」

トリオの他の二人も最高だ。
(3)「Energy」のイントロではマシュー・トムソンのピアノの抒情性が極まり、中盤では複雑なリズムとハーモニーを支え、2:30頃からの1分強のピアノソロになると物語の創造的かつ完璧な起承転結を形づくり、つづくジョシュ・ミーダーのギターソロへと繋げてゆく。

ドラマーのアレックス・ハーリアンの貢献も見逃すわけにはいかない。(7)「5IVE」などで顕著なように、ジョシュ同様にシドニー音楽院の出身である彼が叩き出す構造的なリズムが今作の優れた複雑性の要であることは間違いなく、変拍子の中でも完璧に計算し尽くされた彼のドラミングは近代的な建築の巨匠の作品を見るように美しい。

(7)「5IVE」

とにかく、新星ギタリストのデビュー作として非常に充実した作品だと思う。
ジョシュ・ミーダーはオンラインでフランスの若手最高峰ギタリストのアントワーヌ・ボワイエ(Antoine Boyer)と共演するなど国際舞台での活躍も少しずつ始めているようで、今後の発展が楽しみだ。

Josh Meader 略歴

ジョシュ・ミーダーはオーストラリア・シドニー出身のジャズ/フュージョンギタリスト。1996年頃に生まれ、オランダのアムステルダムで幼少期を過ごした。父親のポール・ミーダー(Paul Meader)はジャズ・ギタリスト/ダブルベース奏者であり、ジョシュの音楽的才能の育成に大きな影響を与えている。7歳から父親にギターを習い始め、11歳で家族とともにオーストラリアに移住した後、シドニーの街角で家族バンドとして演奏するなど、実践的な音楽経験を積みながら、ジャズの基礎を学びつつロックやプログレにも興味を抱き、多様なスタイルを吸収した。

シドニー音楽院(Sydney Conservatorium of Music)でジャズパフォーマンスを専攻し、1等級の優等学位を取得して卒業。在学中からその才能が認められ、2022年にはオーストラリアの「National Jazz Awards」で2位を獲得し、若手ギタリストとしての地位を確立した。同年、スイスのモントルー国際ジャズフェスティバルでジャムセッションをホストし国際的な舞台に初めて足を踏み入れ、さらに2023年にはドイツのJazzAheadやパリのStudio De L’Ermitageで公演を行い、ヨーロッパでの知名度を高めている。

(12)「Tides of Time」

ジョシュのキャリアは演奏だけでなく教育活動にも広がっている。YouTubeなどで展開するギタリスト向けのオンライン教育プラットフォームであるJTC Guitarでのレッスン動画では、初心者向けのシンプルなスケール練習から上級者向けのクロマチックなアプローチまでを丁寧に解説し、ギター教育者としての高い評価を得ている。また、自身のInstagramYouTubeを通じて定期的に演奏動画を公開し、ファンとの交流を深めている。

彼の音楽的ルーツはパット・メセニー(Pat Metheny)やアラン・ホールズワース(Allan Holdsworth)といったジャズ/フュージョンの巨匠から、ガスリー・ゴーヴァン(Guthrie Govan)やトシン・アバシ(Tosin Abasi)のような現代的なギタリストまで幅広く、ビバップからヒップホップまで多岐にわたるジャンルに影響を受けている。これらが融合した彼のスタイルは高速で流れるようなフレーズ、奇数拍子のリズム、そして感情豊かなメロディで特徴づけられており、シドニー・オペラハウスでの公演などライヴでもその実力が発揮されている。

Josh Meader – guitar
Matthew Thomson – piano, keyboards, synth bass
Alex Hirlian – drums

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