サンパウロ南部のDJ文化に導かれた人気ミクスチャーバンド、Sandália de Prata 7年振りの新譜

Sandália de Prata - Uli Costa e Sandália de Prata

DJカルチャーと共に進化したSandália de Prata、待望の新譜

20年以上のキャリアをもつサンパウロのバンド、サンダリア・ヂ・プラタ(Sandália de Prata)の約7年ぶりの新作『Uli Costa e Sandália de Prata』は、ブラジリアン・ファンクのエネルギーが充満した、聴いていて無条件に楽しくなってしまう最高の音楽だ。収録の8曲にはサンバ、ヒップホップ、アフロビート、ジャズ、ファンク、ソウル、ダブといった多様な音楽要素が織り交ぜられ、丁寧にアレンジされたブラスや打楽器隊の賑やかなサウンドが彩り、非常にブラジルらしく個性的な仕上がり。

バンドの中心人物である女性歌手ウリ・コスタ(Uli Costa)の名を冠した通算5枚目のアルバムである今作は、彼女の伸びやかなヴォーカルを軸に推進力のあるオリジナルの楽曲群を展開する。プロデューサーはウリ・コスタ自身と、リニケル(Liniker)の『Indigo Borboleta Anil』(2022年)を手掛けラテン・グラミー賞を受賞したジュリオ・フェジューカ(Julio Fejuca)らが担い、細やかなセンスの光るクオリティも圧倒的だ。ゲストにはタッシャ・ヘイス(Tassia Reis)やジョタ・ペー(Jota.pê)、エレン・オレリア(Ellen Oléria)といった現代ブラジル音楽を代表するアーティストも参加している。

ブラジルを代表するネオソウルのシンガー、タッシャ・ヘイスがフィーチュアされた(5)「Roupa de tirar」

ジャズ・ファンクにサンバやラテン音楽を融合したタイトなリズム隊、洗練されたブラスやストリングスのアレンジ、そしてラップやDJといったヒップホップ文化の稀有な融合が作品全体を包む。1970年代に生まれ、サンパウロ市南部カポン・レドンドというブラジルのラップやヒップホップ文化において非常に重要な街で生まれ育ったウリ・コスタにとって、DJは常に身近な存在だったという。DJを通してサンバ、ソウル、ファンク、ジャズ、サンバホッキ、ラップといった豊かな音楽文化に触れてきた彼女にとって、サンダリア・ヂ・プラタ(“銀のサンダル”という意味で、サンバの超名曲「Isto Aqui, O Que É?」の歌詞の中にも銀のサンダルを履いてサンバを踊る少女の描写が登場する)というバンドは彼女の自然な生き方をずっと反映してきたものだ。

(1)「Amanheceu」にはDJ Nato_PKと、プロデューサーデュオであるBrazukをフィーチュアしている

Sandália de Prata 略歴

サンダリア・ヂ・プラタは2003年にブラジル・サンパウロ州都サンパウロで、ヴォーカリストのウリ・コスタ(Uli Costa)を中心に結成されたサンバロック(サンバホッキ)バンド。ウリ・コスタの育った70年代サンパウロ郊外のブラックミュージックやDJカルチャーの影響が色濃い音楽性で、ブラス隊を含む大世帯の生バンドに加え、サンプラーなども積極的に用いた音作りを特徴とし、エネルギッシュなライヴ・パフォーマンスも高い評価を得ている。

2016年に独立型レーベルよりアルバム『Silver Sandal』でデビュー。その長いキャリアの中で、これまでにエルザ・ソアレス(Elza Soares)、ジャイル・ロドリゲス(Jair Rodrigues)、エミシーダ(Emicida)、フェルナンダ・アブレウ(Fernanda Abreu)といったレジェンドたちとも共演を積み重ねてきた。

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