即興音楽、エレクトロ、詩的世界が相互作用するフレッヂ・セルヴァ&トリスタン・バルボサの傑作

Fred Selva, Tristán Barbosa - O Arpão Do Irreal

フレッヂ・セルヴァ&トリスタン・バルボサ『O Arpão Do Irreal』

ブラジル・ミナスジェライス州出身で、ヴィブラフォン奏者として知られるフレッヂ・セルヴァ(Fred Selva)が、アルゼンチンの詩人/歌手トリスタン・バルボサ(Tristán Barbosa)と共同名義でリリースした新譜『O Arpão Do Irreal』が驚きだ。エレクトロニック・アーティスト/ソロ・パフォーマーとしてのフレッヂの魅力が爆発した内容となっており、作編曲、演奏、音響、歌、詩が一体となった孤高の空間へと誘う。

フレッヂ・セルヴァはヴィブラフォンだけでなく歌、鍵盤、エレクトロニック、プログラミングなど様々なパートを担当。その影響範囲の広さから、ほぼ彼のソロ・プロジェクトのような印象も受けるが、そこに絶妙なエッセンスを加えるのがトリスタン・バルボサの儚いヴォーカル/ヴォイス。それらが一体となって、この世のものとは思えないようなサウンドスケープを作り上げている。

(3)「Uma Missão Espacial」(アルバム収録版とは異なる編成でのライヴ動画)

ゲストも豪華だ。
(1)「Los Motores Del Final」にはベーシストのフレデリコ・エリオドロ(Frederico Heliodoro)にドラマーのフェリピ・コンチネンチーノ(Felipe Continentino)。(2)「Por Si Venís a Jugar」にはクラリネット奏者のジョアナ・ケイロス(Joana Queiroz)。(5)「Não Precisa Me Esperar」にはAca Seca Trioの打楽器奏者マリアーノ・カンテーロ(Mariano “Tiki” Cantero)、(7)「Niveles de Tensión」にドラマーのガブリエル・ブルース(Gabriel Bruce)といった具合に、ここ10年ほどの南米音楽シーンの立役者たちが集結といっても過言ではあるまい。

(8)「Despedida」

“音楽を生み出す”。この作品に相応しい言葉だ。フレッヂ・セルヴァとトリスタン・バルボサの二人のコラボレーションは、2010年代後半にミナスジェライス州都ベロオリゾンチの活発な音楽シーンの中で出会ったことがきっかけで始まった。ついに共作に至った今作では、フレッヂのジャズやエレクトロニック・ミュージックへの造詣と、トリスタンの文学的・フォーク的アプローチが交錯し、独特の豊かな化学反応を生み出している。

アルバム全体に即興音楽の影響も色濃く、楽曲はしばしば予測不可能な展開を見せる。それがとてつもなく面白い。

Fred Selva – musics, lyrics, vocals, instruments
Tristan Barbosa – lyrics, musics, vocals

Joana Queiroz – clarinet (2)
Mariano “Tiki” Cantero – percussion (5)
Frederico Heliodoro – bass (1)
Pablo Passini – acoustic guitar (8)
Camila Nebbia – tenor saxophone (6)
Gabriel Stern – alto saxophone (6)
Gabriel Bruce – drums (7)
Felipe Continentino – drums (1)

Jasmin Godoy – vocals (3, 7)
Max Cabral – vocals (3, 7)
Laura Rocha – vocals (3, 7)
Bruna Bizzotto – vocals (3, 7)
Lucas de Moro – vocals (3, 7)

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