イタリア発の現代レアグルーヴ、Collettivo Immaginario の2nd
1970年代のジャズ/フュージョンやスピリチュアル・ジャズから多大な影響を受けたイタリアのトリオ、コッレッティーヴォ・イマジナーリオ(Collettivo Immaginario)の2ndアルバム『Oltreoceano』。ジャズやブラジル音楽、西アフリカ音楽などのダイナミックなグルーヴを称賛する一方で、歴史的に物憂げなイタリアの古典的映画音楽や、あるいはかつて“レアグルーヴ”として掘り尽くされた同国のアンダーグラウンドなジャズ系実験音楽/前衛音楽を想起させる瞬間も多い、とても面白い作品だ。
今作には、アジムス(Azymuth)、ロニー・リストン・スミス(Lonnie Liston Smith)、ハービー・ハンコック(Herbie Hancock)、エルメート・パスコアール(Hermeto Pascoal)といった伝説的アーティストを彷彿とさせる、コズミック・フュージョンの黄金時代を捉えた8曲が収録されている。ドラマーのトンマーゾ・カッペラート(Tommaso Cappellato)がイタリアから米国ロサンゼルスに移住したために制作は遠隔で行われたが、この仕上がりは彼らの卓越した創造性を証明している。
これはLAのシーンに接点を持ったことによる素晴らしい効果だろう、今作に参加する多様なゲストも驚くべきメンツとなっている。
ディスコ・ファンクの(1)「Tempo al Tempo」では「Raw Cuts」シリーズで知られるダニーロ・プレソウ(Danilo Plessow)がシンセで参加し、チャウンシー・イヤーウッド(Chauncey Yearwood)がコンガで楽曲に彩りを加える。
(4)「Alberoni」にはカナダの歌手メイリー・トッド(Maylee Todd)が控えめに参加してたり、丁寧な作曲が光る(5)「Fine Di Un’Era」ではカナダのマルチ奏者モッキー(Mocky)がベース/グロッケンシュピール/ヴォーカルで参加するなど、何気ない造作がアルバムに大きな好影響を与えている。
極めつけは(7)「Vento Eterno」だ。ここでは歌手ドワイト・トリブル(Dwight Trible)とサックス奏者のアイザイア・コリアー(Isaiah Collier)というレジェンドも参加し、重厚なスピリチュアル・グルーヴが展開される。これはコッレッティーヴォ・イマジナーリオの音楽的な訴求を高めるためには最高の人選であり、その基盤となる楽曲もアップテンポで最高。
Collettivo Immaginario 略歴
コッレッティーヴォ・イマジナーリオは2018年にイタリアで結成されたジャズ・トリオで、打楽器奏者のトンマーゾ・カッペラート(Tommaso Cappellato)、ベーシストのニコロ・マセット(Nicolò Masetto)、鍵盤奏者のアルベルト・リンケット(Alberto Lincetto)から成る。
2019年にシングル「Closer To The Sun」でデビュー。2022年に初のフルアルバム『Trasforma』をリリースし、イタリア国内外のフェスティヴァルでも高い評価を得た。2023年にトンマーゾ・カッペラートが米国ロサンゼルスに拠点を移したことで国際的なコラボレーションを拡大。2025年にセカンドアルバム『Oltreoceano』をリリースし、異なる文化や音楽シーンを結ぶ架け橋としての音楽の力を表現してみせた。
Collettivo Immaginario :
Alberto Lincetto – piano, Fender Rhodes, synthesizers, vocals
Nicolò Masetto – bass guitar, vocals, keyboards (8)
Tommaso Cappellato – drums, percussion, vocals, synthesizer solo (5)
Guests :
Danilo Plessow – synthesizers (1)
Chauncey Yearwood – congas (1)
Maylee Todd – vocals (4)
Mocky – bass, glockenspiel, vocals (5)
Dwight Trible – vocals (7)
Isaiah Collier – tenor saxophone (7)