適度な不穏とグルーヴの快感に魅了。ロンドンの現代ジャズに独自の存在感を放つヨニ・メイラズ新譜

Yoni Mayraz - Dogs Bark Babies Cry

Yoni Mayraz 『Dogs Bark Babies Cry』

イスラエル出身、ロンドンを拠点に活動する鍵盤奏者/作曲家ヨニ・メイラズ(Yoni Mayraz)の待望の新譜『Dogs Bark Babies Cry』。衝撃的なデビュー作だった前作『Dybbuk Tse!』からはメンバーを完全に一新し、ベースのトム・ドリエスラー(Tom Driessler)とドラムスのゾーイ・パスカル(Zoe Pascal)が生み出すシャープがグルーヴがヨニ・メイラズの音楽的世界観によりマッチした作品となっている。

コンポージングの傾向は前作の延長線上にあり、ジャズ、ファンク、ヒップホップ、中東音楽、電子音楽を融合させたサウンドをさらに洗練させたものだ。タイトルの“犬が吠え、赤ん坊が泣く”は不穏でありながらも日常でよく起こる事態を象徴しており、内面的な緊張感、恐怖と欲望、美と崩壊といったテーマの探究を反映している。

(7)「Blue Ambulance」。アルバム収録版とは異なり、ラトビア出身のフルート奏者ルタ・シポラ(Ruta Sipola)がフィーチュアされたスタジオ・ライヴの模様

アルバムにはテンダーロニアス(Tenderlonious)やフライ・アナキン(Fly Anakin)、キャラム・コネル(Callum Connell)といったロンドンの気鋭たちが多数ゲスト参加。アルバムに収録された16曲はすべてヨニ・メイラズの作曲で、これらの魅力的なゲストたちの貢献もあり、適度な緊張感と音楽的快楽が絶妙に駆け抜ける極上の43分間を約束する。

ラッパーのフライ・アナキン(Fly Anakin)をフィーチュアした(10)「Ice Cold」

Yoni Mayraz – keyboards, production
Tom Driessler – bass, arrangement
Zoe Pascal – drums, arrangement
Nicole Petrus Barracks – strings (2)
Tenderlonious – flute (3)
JSPHYNX – trumpet (5)
Fly Anakin – vocal, lyrics (10)
Callum Connell – saxophone (11)
Miriam Adefris – harp (13)
Matan Vardi – saxophone (13)

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