ロンドンから登場、多国籍カルテット「lvdf」がジャズの新時代を宣言する

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UKジャズのスーパーバンド、lvdf デビュー

一聴してわかる音の凄みに、終始ワクワクさせられる。ロンドンのジャズシーンから、そんな新たなスーパーバンドが登場した。ちょっと不思議なグループ名の「lvdf」は「La Via Del Ferro」、つまりイタリア語で「鉄の道」の頭文字から取ったもの。イタリアの鉄産業をヨーロッパやその先へとつなげた古代の交易路に由来し、「地元の産業をより広い世界と結びつける道」の比喩として多国籍のメンバーの想いを反映している。

冒頭で述べたように、lvdfはメンバーの4人それぞれがバンドリーダーとしてここ数年の活発なロンドンのジャズシーンを支えてきた“スーパーバンド”だ。イギリス出身のアレックス・ヒッチコック(Alex Hitchcock)、イタリア出身ピアニストのマリア・キアラ・アルジロー(Maria Chiara Argirò)、同じくイタリア出身のベース奏者ミケランジェロ・スカンドローリョ(Michelangelo Scandroglio)、ニュージーランド出身のドラマーマイエレ・マンザンザ(Myele Manzanza)。皆が皆、すでにリーダー作を発表しグローバルに活躍する。バンド結成のきっかけは2025年にイタリアのトスカーナ沿岸の町フォッローニカ(Follonica)で開催されたグレイ・キャット・ジャズ・フェスティバル(Grey Cat Jazz Festival)でのコラボラティブ・ワークショップ(レジデンシー)で、それまでにロンドンで部分的に共演経験のあった彼らは意気投合。その後の自然なコラボレーションへと発展していった。

デビューアルバム『lvdf』はそうした素敵なプロセスを経て、広く可視化された最初の成果だ。すべて作曲者としてメンバー全員の名前がクレジットされた5つの収録曲は、ジャズの確かな伝統を基盤とし、トリップホップやロックの影響も織り交ぜた革新的な内容。シャープな音の輪郭で繊細なリズムを刻むマイエレ・マンザンザ、終始力強くボトムを支え、時折卓越したソロも披露するミケランジェロ・スカンドローリョをリズムの基盤とし、ピアノや時にアンビエントな雰囲気で空間を創り出すマリア・キアラ・アルジローのハーモニーに乗せてアレックス・ヒッチコックのテナーサックスが気高く咆哮する。

(1)「Silver」

(1)「Silver」ではサックスは中間部のソロを除き基本的にシンプルなテーマを繰り返すが、その背後で脈々と場面を変化させてゆくバンドのアレンジがとても面白い。時代の流れの中で変わるものと変わらないものをうまく対比し音楽的に表現した、見事な楽曲・演奏だ。

ポリリズムが嵐のように襲い来る(4)「Jorge’s Vision」は、キューバ出身のトランペット奏者ホルへ・ビステル(Jorge Vistel, 1982 – )に捧げられた作品。ミケランジェロはこう語る:

僕がホルヘに最も魅了されるのは、揺るぎない音楽への情熱なんだ。彼の演奏には、恐れを知らない誠実さが感じらる。たとえどんな犠牲を払うことになっても、自分の芸術的な声を決して妥協しない姿勢だ。この曲は、ヴィジョンをしっかりと持ち続け、それが自分自身の一部となるような精神を反映しているんだ。

lvdf.bandcamp.com

(4)「Jorge’s Vision」

lvdf :
Alex Hitchcock – tenor saxophone
Maria Chiara Argiró – piano, synthesizer
Michelangelo Scandroglio – double bass
Myele Manzanza – drums

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