多様なバックグラウンドを持つ音楽性が新鮮、Amira Kheir
スーダンの伝統音楽をジャズやソウルと融合した独自のスタイルで知られるSSW、アミーラ・ヘイル(Amira Kheir)の4枚目となるアルバム『Black Diamonds』(2025年)。スーダンの豊かな文化遺産、祖先へのオマージュ、アイデンティティなどをテーマに歌う今作には、スーダンの伝統音楽のアレンジとオリジナル曲が混在し、過去と現在をつなぐ架け橋のような作品となっている。
そのサウンドは多様性に富み、スーダンの伝統的なヌビア音楽、ジャズ、ソウルなどが高度にミックスされている。英語で歌われ、ソウルの要素が強く彼女の歌手としての表現力や魅力が最大化された(1)「River」で幕を開ける今作では、アラビア語のコール・アンド・レスポンスやアフリカ音楽らしい三連符系のリズムが特徴的な伝統曲カヴァー(2)「Fi Mowdi Aljamal (In a Place of Beauty)」や(3)「Sudani (My Sudan)」、イタリア語で情緒豊かに歌うマティア・バザール(Matia Bazar)のカヴァー(7)「Ti Sento (I Hear You)」など、驚くほど色彩豊かでありながら、それでいて散漫ではない一貫した彼女の世界観が感じられる。
バックのオーガニックなバンド・サウンドも素晴らしい。音階は西洋音楽をベースにしているが、エレクトリック・ギターやベース、ドラムス、シンセなどのほかウードやコラといったアラブやアフリカの楽器もフィーチュアされ、アミーラ・ヘイルのルーツや世界観と一体化したサウンドを創り上げている。
ウード奏者、そして(5)「Ard Alafrah」でのスポークン・ワードで参加するナーディル・ラムジー(Nadir Ramzy)も今作のキーマン。彼もまたスーダン出身でロンドンを拠点に活動しており、アミーラ・ヘイルの長年の友人であり、協力者だ。彼のアラビア語の語りでは、故郷を離れ生活をする人間として、想い出の幹であり、心の拠り所であるスーダンの風景への郷愁を表現。スピリチュアルなサウンドとも相まって今作の重要な魂のような楽曲となっている。
Amira Kheir プロフィール
アミーラ・ヘイルはスーダン系イタリア人のシンガーソングライター。イタリアでスーダン人の両親のもとに生まれ、イタリアとスーダンで育った。2003年よりロンドンに拠点を移し、2011年にアルバム『View From Somewhere』でデビュー。
アラビア語、英語、イタリア語で歌う彼女の楽曲は、スーダンの伝統音楽を基調とし、サハラのブルース、ヌビアやニロ河流域の旋律、東アフリカのポリリズムをジャズ、ソウル、ロックと融合。スーダンの内戦や人道的危機も間接的に反映しており、喪失や憧れを表現する。
BBC World Newsから「スーダン砂漠のディーヴァ」と称賛され、2019年のソングライン・ミュージック・アワード(Songlines Music Awards)でベスト・アーティストにノミネートされるなど、多数のメディアから称賛を浴びている。
Amira Kheir – lead vocals, backing vocals, clapping
Ant Law – electric guitars, backing vocals
Nadir Ramzy – oud, spoken word, clapping, backing vocals
Michele Montolli – double bass, electric bass, backing vocals
Leandro Mancini-Olivos – drums, Sudanese bongos, percussion
(bells, rattles, chimes, shakers), clapping, backing vocals
Sam Crowe – grand piano, upright piano, Fender Rhodes, synthesizers
Jally Kebba Susso – kora
Aliah Brewster – viola
Isa Najem – cello