誰よりも深くブラジル音楽を愛するベト・カレッティ、“楽器同士の対話”を重視した初インスト作

Beto Caletti - El convite

ベト・カレッティ、初のインスト・アルバム『El convite』

アルゼンチン・ブエノスアイレス出身で、ブラジル音楽への深い傾倒で知られるシンガーソングライターのベト・カレッティ(Beto Caletti)の2026年新譜『El convite』は、彼にとって初めての全編インスト(+スキャットなどによる声)の意欲的な作品となっている。ショーロやサンバ、フォホー、MPBなどに根差した豊かなハーモニーとリズム、さらにトニーニョ・オルタのような爽やかさを感じさせる曲が多く、ほかにもエルメート・パスコアールを彷彿させる複雑さなど、彼のブラジル音楽への深い理解と愛情が凝縮された素晴らしいアルバムだ。

これまでの彼の作品は“歌モノ”が中心だったが、今作では人々の注意を惹きやすい“歌”をあえて排し、“楽器同士の会話”をテーマとしている。前述のようにブラジル各地の伝統的なリズムを軸に、多様なスタイルの楽曲が収録されている。演奏はギターやカヴァキーニョ、鍵盤ハーモニカを弾くベト・カレッティのほか、日本でも絶賛された彼のデビュー作『Esquinas』(2004年)の頃からの親友/バンドメイトであるベースのギド・マルティネス(Guido Martínez)とドラムスのディエゴ・アレハンドロ(Diego Alejandro)との鉄壁のトリオを軸に、ベト・カレッティが信頼する様々なミュージシャンが曲ごとに名を連ねている。

ブラジル北東部音楽の感性と、エルメート・パスコアールが降臨したかのような複雑なコンポジションが魅力的な(1)「Canción del brujo」には、アルゼンチンの第一線のフルート奏者フアンピ・ディ・レオーネ(Juampi Di Leone, 本名:Juan Pablo Di Leone)が参加。

(1)「Canción del brujo」

(2)「El pierrot」はベトの7弦ギターやカヴァキーニョ、そして小林鮎美(Ayumi Kobayashi)によるクラリネットとベルナルド・モンク(Bernardo Monk)のソプラノサックスが美しく絡み合う名曲。

ジャズの影響を受けた現代的なミナス音楽のような(3)「Bolero atemporal」では、ベト・カレッティが公私を共にするパートナーであり、フィリピン出身歌手のミシュカ・アダムス(Mishka Adams)と、アルゼンチンを代表するハーモニカ奏者フランコ・ルチアーニ(Franco Luciani)をフィーチュア。

(9)「Choro de Agustín」(アルバム収録版とは異なる、ベト・カレッティによるソロ演奏動画)

(7)「No hay dos sin tres」にはクラリネット奏者の小林鮎美と、フルート奏者の岡本美登里(Midori Okamoto)が参加。ドラムスやベースのいないトリオ編成で、作曲家/ギタリストとしてのベト・カレッティの並外れた才能と、彼の過去の日本公演で共演した2人の日本人奏者による親密で美しい演奏が繰り広げられる。

Beto Caletti – acoustic guitar, electric guitar, cavaquinho, keyboards, Melodica, bass, percussion, voice
Guido Martínez – bass
Diego Alejandro – drums
Mishka Adams – voice (3)
Juampi Di Leone – flute (1, 5)
Ayumi Kobayashi – clarinet (2, 7)
Bernardo Monk – soprano saxophone (2, 4)
Franco Luciani – harmonica (3)
João da sanfona – accordion (6)
Midori Okamoto – flute (7)

Beto Caletti - El convite
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