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Euro Jazz

  • 2022-06-23
  • 2022-06-19

仏トランペット奏者アントワーヌ・ベルジュー、浮遊感のある音空間が心地よいアヴァン・ジャズ

フランスの気鋭トランペッター、アントワーヌ・ベルジュー(Antoine Berjeaut)が自身の新譜『Chromesthesia』をリリースした。各プレイヤーもアンサンブルも複雑なことをやっていながら、アルバム全体の温度感は低め。有機的なリズムなのに、どこか無機質的な印象も受ける。この不思議な感覚もフランスの前衛ジャズらしい。

  • 2022-06-09
  • 2022-06-09

暗雲に輝く縁=“シルヴァー・ライニング”をこれ以上なく美しく描き出すピアノとヴァイブのデュオ

ピアノ奏者ジョヴァンニ・ミラバッシ(Giovanni Mirabassi)とヴィブラフォン奏者クリストス・ラファリデス(Christos Rafalides)のデュオ作品『Silver Lining』。アルバムタイトルのシルヴァーライニングとは空を覆う暗雲の縁の、裏側から太陽の光があたって銀色に輝く部分を差し、比喩的には“困難な状況下での希望の光”といった意味を持つが、ピアノとヴィブラフォンのみで演奏される彼らの音楽はまさしくそんな状況を的確に表している。

  • 2022-06-03
  • 2022-05-31

ヨーロピアン・ピアノトリオの真髄!美しいアイディアに満ちたエンリコ・ピエラヌンツィ新作

70歳を越えた今もなお美しい新曲を書き続け、膨大なディスコグラフィをすごい勢いで拡張し続けるヨーロッパ随一の巨匠ピアニスト/作曲家エンリコ・ピエラヌンツィ(Enrico Pieranunzi)のピアノトリオによる新譜『Something Tomorrow』。美しく抒情的な楽曲群、その一方で鋭くグルーヴする演奏も聴かせるなどピエラヌンツィの音楽の真髄を捉えた作品になっている。

  • 2022-06-01
  • 2022-05-31

知的な遊び心溢れるピアノと声のデュオ。ダヴィッド・ヘルボック&カミーユ・ベルトー

オーストリア生まれのピアニスト、ダヴィッド・ヘルボックと、フランス生まれYouTube育ち(?)のジャズ・ヴォーカリスト、カミーユ・ベルトーのデュオアルバム『Playground』。一見するとピアノと女性ヴォーカルというよくあるデュオのフォーマットだが、そこはユニークな個性と経歴を持つこの二人だからこそ成し得た、非常に特色のある作品に仕上がっている。

  • 2022-04-19
  • 2022-04-17

新進気鋭の女性ジャズアーティストが多数集う、ティエリー・マイヤールの野心的なプロジェクト

フランスのピアニスト/作曲家ティエリー・マイヤール(Thierry Maillard)の新譜『Caméléon』は、7名の女性ヴォーカリストを含む総勢17名のミュージシャンが参加した意欲的なアルバムだ。収録の楽曲群はいくつものレイヤーに重なる声と現代的なジャズのアンサンブルで、なかなかありそうでなかった個性的な内容。アレンジも変化に富み、変拍子の面白さや展開の妙が楽しめる。

  • 2022-04-16
  • 2022-04-15

自然の中に還るための音楽。スコットランドの天才ファーガス・マクリーディーのJAZZ

洗練された現代ジャズとスコットランド伝統音楽の融合で独自の個性を発揮するピアニスト、ファーガス・マクリーディー(Fergus McCreadie)のトリオによる3枚目の新譜『Forest Floor』がリリースされた。前2作と同じメンバーで、広がりのある雄大なサウンドスケープを描き出す。

  • 2022-04-06
  • 2022-04-04

NYで出会ったウィーンの女性ピアニストとイスラエルの男性ドラマーの甘美なデュオ作品

オーストリア出身のピアニスト/作曲家ヴェレーナ・ツェイナーと、イスラエル出身のドラマー、ジヴ・ラヴィッツの初めてのデュオ作品『The Sweetness of Finitude』。互いにそれぞれの役割を持ちつつも、その親密なアンサンブルは個人の境界を曖昧にし馴染み合い、そしてやがて溶け合ってゆく。デュオというフォーマットで行われる即興音楽の情緒の極みとも思えるサウンドが夢見心地なアルバムだ。

  • 2022-04-03
  • 2024-04-01

スイスの新星ギタリスト、ルイ・マトゥテの超強力新譜!伝統と革新性が同居する現代ジャズ注目作

スイス出身のギタリスト、ルイ・マトゥテ(Louis Matute)の新作『Our Folklore』が登場した。全曲がルイ・マトゥテの作曲で、既にスイス随一といわれるギター演奏技術だけでなく、ブラジル音楽やスムースジャズ、ネオソウルなど様々な音楽から影響を受け自然と自身の音楽に取り込んでいった彼の作曲能力の高さも窺わせる内容だ。

  • 2022-03-27
  • 2022-03-25

全身全霊でピアノに向かう、イーロ・ランタラのソロ・ライヴ『Potsdam』

フィンランドを代表するジャズピアニスト/作曲家のイーロ・ランタラ(Iiro Rantala)『Potsdam』。本作は2021年11月末にドイツ・ポツダムで行われたソロコンサートの実況録音盤である。オリジナル6曲に加え、ジョン・レノンの(6)「Woman」、レナード・バーンスタインの(8)「Candide Overture」、(9)「Somewhere」のカヴァーも収録。彼らしい個性的な演奏をたっぷりと聴かせてくれる。

  • 2022-03-18
  • 2022-03-18

16歳でピアノを始めた遅咲きのジャズピアニスト、ヤロン・ヘルマンが考える「創造力」とは?

「大人になってから歌や楽器を始めたいけれど、この年齢じゃ遅すぎる」「自分には才能がないから、演奏がなかなか上達しない」…あなたもそう思った経験がないだろうか? 音楽が好きで名作・名演の数々を聴き込んできたからこそ、自分の才能のなさに落胆するという読者も少なくないだろう。バスケットボールのジュニア選手だったという異色のジャズピアニスト、ヤロン・ヘルマンの著書『創造力は眠っているだけだ』(プレジデント社)は、そんな思いにそっと手を差し伸べてくれる一冊だ。