新時代のJazzがここにある。EYM Trioとヴァリジャシュリー・ヴェヌゴパルが贈る鮮烈な音楽体験

EYM Trio - Bangalore

フランスの気鋭トリオとインドの才媛による夢のような共演作

各地の民族音楽と呼ばれる特徴的な旋律やリズムを音楽の中に取り入れ、独自の音楽性を築いてきたフランスのジャズ・ピアノトリオ、EYM Trio。新作『Bangalore』ではインドの歌手/フルート奏者のヴァリジャシュリー・ヴェヌゴパル(Varijashree Venugopal)を全面的に迎え、彼らの創作の独自の魅力を強力にアピールする好盤となっている。

アルバムには前作『Sādhana』(2018年)でも強烈な印象を残した楽曲の新たなアレンジである(2)「Borders」や(6)「I’m Travelling Alone」、(8)「Namaste!」の再演を含む内容となっており、カルナティック音楽の才媛であるヴァリジャシュリー・ヴェヌゴパルによってEYM Trioの作風をこれまで以上にインドに寄せてきたアルバムとなった。

EYM Trio & ヴァリジャシュリー・ヴェヌゴパル、ベルギーのジャズ・フェスティヴァルでの演奏動画

ほとんどの楽曲でヴァリジャシュリー・ヴェヌゴパルの圧倒的な歌唱力が支配的だが、彼女はインドの伝統的な横笛バンスリを演奏するタイトル曲(4)「Bangalore」でも驚異的な演奏で圧倒する。キィも持たないシンプルな横笛だが、指で穴を押さえるからこそ可能な豊かな音楽的表現力が素晴らしい。

古代と現代の音楽的な連続性の中から生まれた、傑作と呼んでよいアルバムだ。

アルバム収録版とは別録音の(7)「Emile」。ドラマーはシンバルだけでこの表現力!

EYM Trio 略歴

EYM trio はブルガリア系のピアニスト、エリー・デュフール(Elie Dufour)、ベーシストのヤン・ファイフェット(Yann Phayphet)、そしてドラマーのマルク・ミシェル(Marc Michel)の3人がフランス・リヨンの音楽院で出会い2010年に結成されたピアノトリオ。北アフリカ、ブルガリア、ルーマニア、インドなどの民族音楽にインスパイアされた音楽性で徐々に人気を得、2013年に『Genesi』でデビュー。2018年作『Sādhana』ではイスラエルのギタリスト、ギラッド・ヘクセルマン(Gilad Hekselman)やインドの歌手ミランデ・シャー(Mirande Shah)をゲストに迎え、その独自の音楽性を更に発展させた。
トリオ名は3人のメンバーの頭文字が由来となっている。

Varijashree Venugopal 略歴

歌手/フルート奏者のヴァリジャシュリー・ヴェヌゴパルは1991年にカルナータカ州にあるインド第3の都市ベンガルールに生まれた。Wikipediaによると彼女はバラモンの家系に生まれ、1歳半で約40のラーガを識別し、4歳で約200のラーガを識別するという類稀な能力を持っていたという。4歳から正式なカルナティック音楽の教育を受けた。

地元ベンガルールではバンド「Chakrafonics」での活動で知られるが、ソロとしてはインド系の著名アーティストや、ブラジル随一のバンドリン奏者アミルトン・ヂ・オランダ(Hamilton de Holanda)との共演など国際的にも活動の幅を広げている。

Elie Dufour – piano
Yann Phayphet – contrabass
Marc Michel – drums
Varijashree Venugopal – vocal, flute

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