• 2025-05-10
  • 2025-05-10

忘れられた異端児セルジオ・サンパイオの物語と、フェリピ・ヂ・オリヴェイラが新作『Velho Bandido』で受け継ぐ反骨精神

優れた音楽を発表しながら、商業的に成功せず“異端”(maldito)と呼ばれたセルジオ・サンパイオ(Sérgio Sampaio, 1947 - 1994)への再評価の機運が高まっている。フェリピ・ヂ・オリヴェイラ(Felipe De Oliveira)の新譜『Velho Bandido』もまた、セルジオ・サンパイオへのトリビュートだ。ロックは、サンバの精神は“死んだ”のか?本作は、その答えを探る問題作だ。

  • 2025-05-09
  • 2025-05-09

今再び、悪魔の降臨。ファンファーレ・チョカルリア&エイドリアン・ラソ 10年ぶり最強タッグ復活!

2014年作『Devil's Tale』での世界的な成功をを経て、ルーマニアのブラスバンド、ファンファーレ・チョカルリア(Fanfare Ciocărlia)と、カナダのギター/バンジョー奏者エイドリアン・ラソ(Adrian Raso)が再びタッグを組んだ。彼らの新作『The Devil Rides Again』にはオリジナル8曲とカヴァー3曲を収録。爆発的なバルカンブラスと、ロカビリーやマヌーシュ・ジャズを融合したまさに“悪魔的な”サウンドで、世界を再び酔狂させる。

  • 2025-05-07
  • 2025-05-07

稀代のピアニスト、シャイ・マエストロ。複雑に入り組んだ色彩で描く、初のソロピアノ作品

イスラエル出身、若干19歳でアヴィシャイ・コーエン・トリオに抜擢され世界的に知られるようになり、ECMでのリリースなどを経て現在はスペインを拠点に活動するピアニスト/作曲家のシャイ・マエストロ(Shai Maestro)が自身初のソロピアノ作『Solo: Miniatures & Tales』をリリースした。

  • 2025-05-06
  • 2025-05-06

北欧ジャズの生き字引、テリエ・ゲヴェルト 珠玉の未発表音源集『Then and Now』

1960年にノルウェーのオスロで生まれ、小さな港町ラルヴィクで育ったベーシスト/作曲家テリエ・ゲヴェルト(Terje Gewelt) 。10歳のときにギターを手にし弦の振動に心を奪われ、14歳でエレクトリックベースに魅了され、17歳でアコースティックベースと運命的な出会いを果たした彼はその後渡米し名門バークリー音楽大学でジャズを学び、ジャコ・パストリアスやデイヴ・ホランドに個人指導を受け、その技と感性を磨いてきた。

  • 2025-05-05
  • 2025-05-06

【追悼】ナナ・カイミ ─ 84年の生涯の84曲

ブラジル音楽史において最も秀でた表現力/歌唱力のある歌手の1人として讃えられてきた女性歌手のナナ・カイミ(Nana Caymmi)が、2025年5月1日に亡くなりました。この「ナナ・カイミ ─ 84年の生涯の84曲」はその記事を補完し合いつつ、ナナ・カイミの遺した作品の永遠の輝きを、実際に聴きながら一緒に感じたいと言う気持ちで用意しました。

  • 2025-05-04
  • 2025-05-04

国境なきドラムの“神”、トリロク・グルトゥが新作『Mirror』で魅せる多文化音楽の精神的深化

50年以上にわたりインドと西洋の音楽の架け橋であり続けるインド出身の打楽器奏者/作曲家トリロク・グルトゥ(Trilok Gurtu)が新譜『Mirror』をリリースした。アルケ・ストリング・カルテット(Arke String Quartet)との再共演となる今作は、彼のキャリアを通じて一貫している多文化的なアプローチをさらに深化させたものだ。インドの伝統音楽に深く根差しながら、ジャズやファンク、西洋の古典音楽、アフリカの伝統的なリズムなど様々な文化的要素が見事に調和したリズムが素晴らしい。

  • 2025-05-03
  • 2025-05-03

国境を越える“音楽の密売人”、フランスの鬼才ダヴィド・オーベイル『Trafiquants』

国境を越えあらゆる音楽を吸収するフランスの鬼才ピアニスト/フルート奏者/作曲家ダヴィド・オーべイル(David Aubaile)。彼がカナダ出身のベース奏者クリス・ジェニングス(Chris Jennings)と、アルジェリア出身のドラムス奏者カリム・ジアド(Karim Ziad)と組んだ2024年作『Trafiquants』が最高に面白い。

  • 2025-05-02
  • 2025-05-02

魔法の町マコンドにインスパイアされた多国籍トリオ、Macondo Trio が描く魅惑の音楽『Morayò』

ベナン、ベルギー、イタリアとそれぞれ異なるルーツを持つ3人によるマコンド・トリオ(Macondo Trio)。ガブリエル・ガルシア=マルケスが『百年の孤独』で描いた魔法のような町の名前に因むトリオは、ヨルバ語で「喜びを見つけた」という意味を冠する新作『Morayò』で、ジャズやアフリカのリズム、アラブ文化が共生する奥行きのある音楽観を提示している。

  • 2025-04-30
  • 2025-04-30

マグレブ音楽と欧州文化を繋ぐアレフ・クインテット、異文化の“対話”から生まれる新しいジャズ

ベルギー・ブリュッセルを拠点に活動する多国籍ジャズバンド、アレフ・クインテット(Aleph Quintet)の第2作目『Hiwar』。アルバム名はアラビア語で「対話」を意味し、ジャズと北アフリカ音楽の“対話”を通じて異なる文化的視点や音楽的感性を結びつけようとする彼らの姿勢を強く反映した作品となっている。

  • 2025-04-29
  • 2025-04-29

躍動するアフロ・カリビアン・バッハ!! ヨアキム・ホースレイ「Via Havana」トリロジー最終章

西洋クラシックの作曲家の名曲をアフロ・カリビアン音楽で再解釈するプロジェクトが人気の米国のピアニスト/作編曲家ヨアキム・ホースレイ(Joachim Horsley)が最新作『Afro Bach』をリリースした。その名のとおり、“音楽の父”ヨハン・ゼバスティアン・バッハ(Johann Sebastian Bach, 1685 - 1750)の名曲を独創的にカヴァーしており、そのアイディアに驚き(そしてたくさんの楽しさ)を提供してくれるアルバムとなっている。

  • 2025-04-27
  • 2025-04-27

壮大な自然にインスパイアされた、心が洗われるシネマティック室内ジャズ。Vega Trails 新譜

Portico Quartetのベース奏者/作曲家ミロ・フィッツパトリック(Milo Fitzpatrick)率いるヴェガ・トレイルズ(Vega Trails)が、絶賛された前作『Tremors in the Static』から3年ぶりとなる待望の2ndアルバム『Sierra Tracks』をリリースした。木管奏者ジョーダン・スマート(Jordan Smart)とのデュオ編成だった前作から楽器のパレットを大きく拡げ、ピアノやドラムス、室内楽オーケストラを加えた編成で幻想的で美しい音楽を繰り広げる傑作となっている。

  • 2025-04-26
  • 2025-04-26

スーパーベーシスト、モヒニ・デイ最新作!強烈な印象を残すプログレッシヴ・ジャズロック

米国ロサンゼルス出身、現在はインドに移住したサックス奏者/作曲家マーク・ハートサッチ(Mark Hartsuch)と、彼の妻でありインド出身の世界的なベース・ヒロインであるモヒニ・デイ(Mohini Dey)、そしてモヒニと長年音楽活動を共にしてきたインド出身のドラマー、ジーノ・バンクス(Gino Banks)によるプログレッシヴ・ジャズロック・トリオ、マモジ(MaMoGi)が新作『MaMoGi II』をリリースした。トリオのデビュー作『Mamogi』(2023年)から2年、今作でも強固でパワフルで超絶的なバンドサウンドを聴かせてくれる好盤となっている。

  • 2025-04-25
  • 2025-04-25

アンゴラ・センバの伝道師パウロ・フローレス。愛と苦難、希望と文化を美しく歌う集大成的新譜

アンゴラのセンバの巨匠、パウロ・フローレス(Paulo Flores)が新作『CANÇÕES QUE FIZ PRA QUEM ME AMA』をリリースした。今作はアンゴラを象徴する音楽家として37年のキャリアを誇る彼の集大成的な作品で、祝祭的なエネルギーに満ち、ポジティヴな印象を受ける仕上がりだ。