- 2026-11-01
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今週の新着10枚 ― ブラジル、ザンビア、ポルトガル、世界のジャズの現在(2026年10月23日〜30日)
2026年10月23日〜30日の新着から、ムジカテーハが紹介したい世界の10枚。ジョイス・モレーノ、クリスチャン・マクブライド&Ursa Major、Sampa The Great、Anna Webberほか。記事内のポスターのジャケットから、そのまま試聴もできます。
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ポーランド南西部の都市ヴロツワフを拠点とするトリオ、ムウィン(Młyn)が、アルバム『Cały ten jazz』をリリースした。鍵盤、ドラムス、ライヴ・エレクトロニクスという編成で、ジャズ、即興演奏、実験的な電子音楽の境界を自在に行き来する。タイトルを英語にすれば「All That Jazz」。しかし、彼ら自身はジャズというジャンルに、少々ひねくれた距離感を持っているようだ。
グアドループにルーツを持つ3兄妹ジャズ・ユニット、アブラハム・リユニオン(Abraham Réunion)の新作『Jaden an nou』が素晴らしい。グアドループやマルティニーク、さらにはレユニオンといったフランス海外領のクレオール文化を軸にしたジャズ作品で、兄妹の強い結びつきを生かしながら、より個人的で、文化的・社会的な奥行きを備えた音楽世界を展開する。
ブラジル北東部の半乾燥地帯に根ざす先住民文化と、アフリカから受け継がれた祖先の記憶。ブラジル北東部セルジッペ州出身のシンガーソングライター、エロア(Héloa)の4作目となるアルバム『Árida』は、フォホーやバイアォン、アフロビート、ラップ、電子音楽などを交差させながら、ブラジルの多層的な文化の成り立ちを探る意欲作だ。
ベトナム・ホーチミンを拠点に活動するサイゴン・ソウル・リヴァイヴァル(Saigon Soul Revival)が、3作目のアルバム『Chốn Ta Về』をリリースした。今作では収録11曲のうち、終戦の1975年以前の楽曲を取り上げたものはモン・ロン(Mộng Long)作の(8)「Hoạ Mi Ca」のみとなっており、全体的に現在の彼らの音楽を明確にしたアルバムと言えそうだ。
アルゼンチンのピアニスト/シンガーソングライター、クララ・プレスタ(Clara Presta)が、フォルクローレを主題としたアルバム『Folclorito』をリリースした。長年にわたって受け継がれてきたアルゼンチンの音楽を、その形式や起源、先人たちの仕事をリサーチすることから始め、ピアノと歌を中心に現代感覚で丁寧に昇華した作品となっている。
ブラジル北東部ペルナンブーコ州出身のシンガーソングライター、ルリーナ(Lulina)が、7年ぶりとなるソロ・アルバム『Sinuosa』をリリースした。ポルトガル語で「曲がりくねった」を意味するタイトルは、予想外の方向へ進む人生の道筋や、思いがけない寄り道から生まれる発見に由来する。
ともにレバノンにルーツを持ち、フランスを拠点にそれぞれのキャリアを築いてきた歌手ヒバ・タワジ(Hiba Tawaji)と、トランペット奏者イブラヒム・マアルーフ(Ibrahim Maalouf)が、初の共同名義によるアルバム『À LA FRANÇAISE』をリリースした。「フランス流に」のタイトルが示すとおり、主に20世紀後半のフランスの名曲たちをジャズ・コンボとオーケストラをバックに歌う作品で、イブラヒムの代名詞でもある微分音トランペットのソロによってフランスで生きる二人のルーツも織り込もうとするアルバムとなっている。
スペインの鍵盤奏者/プロデューサー、アントニウス(Anthonius)による新作『Origen』が、彼自身が創設したマドリードのレーベル、トコノマ・レコード(Tokonoma Records)からリリースされた。2023年の『Goshinboku』以来となるアルバムで、モーダル・ジャズやスピリチュアル・ジャズを軸に、エジプト、エチオピア、カーボベルデ、ブラジル、カリブ海地域、アンダルシアなど、世界各地の音楽文化から影響を受けた7曲を収録している。
女性サックス奏者オルネラ・ヌレ(Ornella Noulet)をリーダーとし、ベルギー・ブリュッセルを拠点とする4人組オラ・トゥンジ(Ola Tunji)が、初アルバム『Trust』で鮮烈なデビューを飾った。ナイジェリア生まれのパーカッション奏者ババトゥンデ・オラトゥンジ(Babatunde Olatunji, 1927 - 2003)へのオマージュを込めたこのバンドは、彼がジョン・コルトレーンやファロア・サンダースをはじめとするアメリカの1960年代スピリチュアル・ジャズに与えた影響を、それから半世紀を経た現代に実に生々しく蘇らせている。
2017年にユーロビジョン・ソング・コンテストで優勝し、ポルトガルに初の栄冠をもたらした歌手、サルヴァドール・ソブラル(Salvador Sobral)。ジャズを基盤に、繊細な和声感覚と独特の歌唱表現を磨いてきた彼が、ブラジル音楽への深い愛着を形にした新作『A Flor do Recomeço』をリリースした。
細部まで緻密に編曲されたオーケストラと、ジャズのピアノトリオによる即興演奏による素晴らしくエキサイティングな新譜だ。イタリアを代表するピアニスト、エンリコ・ピエラヌンツィ(Enrico Pieranunzi)の2026年作『Improclassica』。そのタイトル通り、西洋クラシックの名曲をモチーフとしたジャズ・インプロヴィゼーション(即興)の作品である。
アルメニアに生まれ、現在はフランスで活動する若手シンガー/作曲家ヴィクトリア・アレクサニャン(Victoria Alexanyan)の初のクインテット作品『VISHAP』。アルメニアの神話に登場する竜のような存在をタイトルに据えたこの作品では、ヴィシャップが千年の眠りから目覚めるというイメージがアルバム全体を貫いている。故郷の文化や歴史への思いを背景に、オリジナル曲に加え、アルメニアの伝統曲や作曲家コミタスの作品を独自に再解釈。複雑なリズムや即興演奏を織り交ぜたジャズを基調とする音楽を通じて、人々が歴史のなかで抱えてきた怒りや悲しみを詩的な表現へと昇華している。