- 2026-09-19
- 2026-09-19
設計図を遺した早逝の作曲家──オルランド・パンテラと、「世代」の音楽
33歳で没し、ソロ盤を残さなかったカーボベルデの作曲家オルランド・パンテラ(Orland Pantera)。バトゥクをレコードの語法にした功績と、彼の遺志を継いだ「パンテラ世代」の音源を紹介。
33歳で没し、ソロ盤を残さなかったカーボベルデの作曲家オルランド・パンテラ(Orland Pantera)。バトゥクをレコードの語法にした功績と、彼の遺志を継いだ「パンテラ世代」の音源を紹介。
とにかく、めちゃめちゃセンスのいいブラジル産ネオソウルだ。 リオデジャネイロ州出身、現在はサンパウロを拠点とするシンガーソングライター、タミ(THAMI)の新作『Relevuras』。アルバムに収録された10曲にはダンサーとしての20年のキャリアから歌手に転身した彼女に特有の音楽の身体性があり、より商業的に有利な条件の提案を“アイデンティティが失われる”からと断り、インディーズでの活動を続けることを選択したという芸術家らしい誇りも感じられる。
エズラ・コレクティヴ(Ezra Collective)が第4作目となるスタジオ・アルバム『Here Because of Hope』をリリースした。ジャケットには日本でいう三猿(見ざる、聞かざる、言わざる)を思わせるポーズをした子ども達が写っている。今作は西アフリカからカリブ海を経てロンドンへと渡った黒人ディアスポラの歴史を、その土地から生まれた音楽によって辿る三部構成のコンセプティヴな作品となっており、その音楽を紐解いていくと、彼らがタイトル“希望ゆえにここにいる”に込められた想いや、印象的なジャケットの意味が見えてくる。
“サイケデリック・グルーヴ”を掲げるオランダ・ユトレヒトの6人組バンド、カーヴァロ・ネーロ(Cavolo Nero)による初のフル・アルバム『Mountain Disco』。山の中にある架空のクラブ「Mountain Disco」では、アフロビートも、ファンクも、ディスコも、クンビアも、サイケデリック・ロックも関係なく、ただ音楽が鳴っている。日常のことはいったん忘れて、踊る──そんな幸せな場所が、このアルバムのテーマだ。
シンガー/ピアニストのヴィオレット・ラピエール(Violette Lapierre)と、ギタリスト/シンガーのジョーダン・オフィサー(Jordan Officer)によるカナダ・ケベックの男女デュオ、ヴィオレット&ジョーダン(Violette & Jordan)のデビュー・アルバム『Dahlia』。
マトゥ・ミランダ(Matu Miranda)の第2作目となるアルバム『Apuama』は、2026年のブラジル音楽(MPB)の最重要トピックとなるだろう。2024年のデビュー作『Matutando』で、ミシェル・ピポキーニャ(Michael Pipoquinha)からレニーニ(Lenine)まで、新旧のスターたちの協力を得て“MPBの正当な後継者”として確信を強く印象に刻んだその実力はやはり伊達ではなかった。
フィンランドのアンダーグラウンド・シーンで活動するマルチ奏者/作曲家サミ・アレクシ・ケイナネン(Sami Aleksi Keinänen)が、ソロプロジェクト、スムポサウッタヤ(Sumuposauttaja)名義でのアルバム『Work and Play』をリリースした。ローファイ・ポップを起点に、パーカッション多めの生バンドのアンサンブルによって西アフリカ系のリズムを孕んだ、レトロな質感のある心地よいグルーヴを生み出す優れたアルバムに仕上がっている。
トルコ系サイケデリック・ロック・バンド、Şatellites(シャテライツ)の創設者として知られるマルチ器楽奏者/作曲家イタマール・クルーガー(Itamar Kluger)が、自身のソロ・プロジェクト「Eje Eje」名義のデビュー作『Primordial Soup』をリリースした。洋の東西を問わず幅広い音楽を混合した音楽性は、生命発生の起源「原始のスープ」を意味するアルバム・タイトルに象徴されている。
ジャケットが気になって、まだ知らないアルバムに手を伸ばす。参加しているミュージシャンの名前から別の作品へ進み、いつの間にか、最初に聴こうと思っていた音楽とはずいぶん遠い場所にたどり着いている。こんな偶然の出会いの感覚を、ウェブの上に作れないだろうか。そんな思いから生まれたのが、ジャズの歴史と世界の音楽を辿るインタラクティブ・ガイド、「JAZZ A Living Atlas」です。
ポーランドを代表するジャズ・ヴァイオリニスト、アダム・バウディヒ(Adam Baldych)が、新たに結成した多国籍カルテットでの演奏を収録した新譜『Endless』をリリースした。僕はこの音楽家の音色や表現力が大好きなので、やや偏愛的なレビューになってしまうかもしれないけれど、やはり彼の音楽は最高だ。この地球上で最高に美しい音楽のひとつだと言って過言ではないと思う。
ブラジル・ミナスジェライス州の新星シンガーソングライター、ジュリア・ゲヂス(Julia Guedes)のデビュー・アルバム『Álbum Vermelho』がリリースされた。感の良い人なら、その姓ですぐにピンとくるかもしれない。彼女の祖父はベト・ゲヂス(Beto Guedes)、あの伝説的な“街角クラブ”の重要人物だ。
90年代からライヴ・エレクトロニクスを駆使するジャズ・ユニットとしてNYで活動してきたドロイド(Droid)。結成から約30年という彼らの長いキャリアのなかで、なんと初のスタジオ・アルバムとなる『CHARGE』が2026年にリリースされた。従来の即興・ライヴ中心のスタイルから一歩進み、Droidとして初めて本格的に作曲された今作は、ジャズ、ファンク、ドラムンベース、エレクトロニカ、実験音楽を横断してきた彼らの音楽性が凝縮された作品だ。
2019年のブリタニー・ハワード(Brittany Howard)のソロ作『Jaime』が唯一無二の素晴らしい出来栄えだったから、彼女のバンドであるアラバマ・シェイクス(Alabama Shakes)が11年ぶりの新譜『I Must Be Dreaming』をリリースしたと知ってさっそく聴いてみた。結論、今作は同バンドの初期の「ブルース・ロックの新星」というイメージからは随分と進化した、“サイケデリック・ソウルの現在地”と呼べるような作品だった。
メキシコ出身で現在はロサンゼルスを拠点に活動するベーシスト/作曲家マウリシオ・モラレス(Mauricio Morales)と、アメリカ合衆国出身のピアニスト/作曲家アダム・ハーシュ(Adam Hersh)による初の共作アルバム『Between Dreams & Twilight』。2025年11月に発表された本作には、ギタリストのマイク・モレノ(Mike Moreno)、ヴィブラフォン奏者のウォーレン・ウルフ(Warren Wolf)、そしてドラマーのゲイリー・ノヴァク(Gary Novak)に加え、ストリングス・アンサンブルのローグ・レモン・コレクティヴ(Rogue Lemon Collective)も参加している。