Música Terra

  • 2025-06-21
  • 2025-06-20

ソダーデとサウダーヂの交叉点。ナンシー・ヴィエイラ&フレッヂ・マルチンス『Esperanca』

カーボベルデ出身ポルトガル在住の歌手ナンシー・ヴィエイラ(Nancy Vieira)と、ブラジル・リオデジャネイロ出身ポルトガル在住のSSWフレッヂ・マルチンス(Fred Martins)のデュオ作『Esperança』がリリースされた。基本的にギターと歌のみという最小限の編成で、カーボベルデの“ソダーデ”と、ブラジルの“サウダーヂ”(いずれも日本語では“郷愁”が近しい言葉とされる)が交叉する、普遍的で美しいアルバムだ。

  • 2025-06-20
  • 2025-06-20

ナームの現代ジャズ・シーンで注目される気鋭音楽家ドン・グローリ、真実を探求する新作

オーストラリア出身、現在はロンドンを拠点とするマルチ奏者/作曲家ドン・グローリ(Don Glori)の新作『Paper Can’t Wrap Fire』。アルバムは英国の独立系レーベルであるMr Bongoからリリースされており、ジャズやファンク、ネオソウル、サンバなどに影響された洗練されたサウンドと、多様な文化的背景を持った彼の個性が絡み合った、至極のグルーヴに満ちた傑作となっている。

  • 2025-06-18
  • 2025-06-16

北インド古典音楽に根差した実験的現代フュージョン。サロード奏者アヴラ・バネルジー“旋律の波”

伝統的な北インドの古典音楽を軸にしながら、西洋音楽やジャズを取り入れた独自の音楽観で知られるインド(バーラト)出身のサロード奏者/作曲家アヴラ・バネルジー(Avra Banerjee)が新譜『Swar Lahari』(旋律の波)をリリースした。多数のインド古典音楽界の著名ミュージシャンとのコラボレーションを特徴としており、グローバルな感覚とも呼応する現代的な作品に仕上がっている。

  • 2025-06-17
  • 2025-06-16

ジャズに魅了され南米ペルーからロンドンへ。新進気鋭女性サックス奏者Allexa Nava、圧倒的才能を確信するデビュー作

南米ペルーに生まれ、ジャズに魅了され英国に移住し、トゥモローズ・ウォリアーズ(Tomorrow's Warriors)で研鑽した女性サックス奏者/作曲家アレクサ・ナヴァ(Allexa Nava)のデビューEP『No Language』は、新たなスターの出現を確信させる素晴らしい作品だった。ロンドンで隆盛を極める現代ジャズの潮流に乗りつつ、強烈な個性で僅かな“引っかかり”を確実にリスナーに与える魅力的なサウンドに彩られた、新進気鋭アーティストによる世界が注目すべき作品だ。

  • 2025-06-15
  • 2025-06-12

現代ジャズを象徴するバンド Kneebody、ベーシスト脱退の一大事を驚くべき発想で埋めた『Reach』

四半世紀にわたるキャリアとなった米国の現代ジャズを代表するバンド、ニーバディ(Kneebody)が6年ぶりとなる新作『Reach』をリリースした。今作は2001年のバンド結成時から低音を支えたベーシストのカヴェ・ラステガーが外部プロジェクトへの参加によって多忙を極めたことを理由に2023年にバンドを脱退して以降の初の作品となっており、ドラマーのネイト・ウッド(Nate Wood)がドラムスとベースを兼任するという割と非常識なカルテット編成での最初の録音となっている。

  • 2025-06-14
  • 2025-06-14

ブラジル女性SSWの先駆者、ジョイス新作『O Mar é Mulher』は新しい『Feminina』だ

ブラジル音楽のマスター・ピースのひとつである『Feminina』(1980年)から45年。イノベーター、ジョイス・モレーノ(Joyce Moreno)は新作『O Mar é Mulher』で、再び彼女の原点に立ち返った。確かにその声は相応の年輪を刻んでいるが、ガットギターやピアノ、パーカッションによるサウンドは軽やかで瑞々しいまま、どういうわけか今も当時と似た課題を繰り返し抱える現代社会を抽象的に捉えるシンガー・ソングライターという芸術家の立場と役割を鋭く示す、近年の音楽作品の最高傑作とも思える輝きを静かに放つ。

  • 2025-06-13
  • 2025-06-12

16分音符が乱舞! ベラ・フレック、エドマール・カスタネーダ、アントニオ・サンチェスによる驚異のトリオ

予想外の組み合わせのトリオが登場した。これだからジャズは面白い!今作『BEATrio』は、米国のバンジョー奏者ベラ・フレック(Béla Fleck)、コロンビア出身のアルパ奏者エドマール・カスタネーダ(Edmar Castañeda)、そしてメキシコ出身のドラマー、アントニオ・サンチェス(Antonio Sánchez)の3人による野心的なプロジェクトだ。ブルーグラスやラテンの影響を強く受けた熱狂的なジャズは、これ以上ないくらいの楽しい音楽体験になる。

  • 2025-06-11
  • 2025-06-13

EDM新時代を象徴する多才なデュオ、Sofi Tukker の新境地!新譜は全編、超良質なブラジル音楽

ニューヨークを拠点とする男女デュオ、ソフィ・タッカー(Sofi Tukker)が、2024年の前作『BREAD』の“ジャズ風の別人格”と呼ぶ新譜『butter』をリリースした。今作は『BREAD』収録曲の再構築が中心となっており、彼らのアイデンティティであるEDM1から一歩離れ、ブラジル音楽への深いリスペクトを根底に持つオーガニックなサウンドが特長で、ブラジルからは人気SSWのシウヴァ(Silva)やセウ・ジョルジ(Seu Jorge)、リニケル(Liniker)といったゲストを迎え、彼らの新境地を見せている。

  • 2025-06-10
  • 2025-06-09

サイケに尖るバイーア発の気鋭SSWジャジザ、アントニオ・ネヴィス・プロデュースの新作

ブラジルのSSW、ジャジザ(Jadsa)の2ndアルバム『big buraco』がリリースされた。非凡な才能で驚かせたデビュー作『Olho de Vidro』(2021年)から4年、今作はプロデューサーにリオの鬼才アントニオ・ネヴィス(Antônio Neves)を迎え、前作からより洗練・深化した極上のサウンドを聴かせてくれる傑作だ。

  • 2025-06-08
  • 2025-06-08

南アフリカの気鋭SSWガビ・モトゥバ。弦楽四重奏を核とした変則Jazzで魅せる、亡き父への手紙

南アフリカの気鋭シンガーソングライター、ガビ・モトゥバ(Gabi Motuba)の2枚目のフルアルバムとなる『The Sabbath』(2024年)が素晴らしい。敬愛する父親を新型コロナウイルス感染症で亡くしたことをきっかけに制作した、弦楽四重奏を中心とした前作の5曲入りEP『The Sabbath』(2022年)をより発展させた形となっており、彼女のこれまでの作品と同じように弦楽四重奏をサウンドのコアとしつつ、ギターやドラムスなどを加えたジャズに寄せた編成で奏でられる音楽は至福の極みだ。

  • 2025-06-07
  • 2025-06-08

「歌の国」ブラジル、その「歌」を詩情豊かに表現する圧倒的才能2人が日本で共演 ⎯⎯ ミルトンのレパートリーを取り上げる3公演と、金字塔『ELIS & TOM』をオマージュする1公演

現代ブラジル至高の歌手、モニカ・サウマーゾ(Mônica Salmaso)。現在の世界における最も優れたピアニストの1人、アンドレ・メマーリ(André Mehmari)。⎯⎯ 圧倒的才能を持つこの2人が、「ミルトン・ナシメントのトリビュート」と「『ELIS & TOM』の再現」という、最も瑞々しく芳醇な2つの共演の成果を披露するために日本へやってくる。

  • 2025-06-07
  • 2025-06-07

ドイツの才媛、オリヴィア・トゥルマー新譜はクラシックやジャズが豊かに混淆する叙情的ピアノ弾き語り

ドイツ出身のSSW/ピアニスト、オリヴィア・トゥルマー(Olivia Trummer)の新譜『Like Water』がリリースされた。プロデューサーはこれまでにエリック・クラプトンやシンディ・ローパー、ランディ・ニューマン、スティーヴ・ウィンウッドらを手掛けた米国の伝説的プロデューサーであるラス・ティテルマン(Russ Titelman)。

  • 2025-06-06
  • 2025-06-06

イベリアの奇跡のデュオ。シルビア・ペレス・クルス&サルヴァドール・ソブラル 初デュオ作

欧州を代表する音楽家の二人──カタルーニャのシルビア・ペレス・クルス(Sílvia Pérez Cruz)と、ポルトガルのサルヴァドール・ソブラル(Salvador Sobral)による初のデュオ・アルバム『Sílvia & Salvador』がリリースされた。収録は全曲がドラムスもベースもいない編成で、アコースティックのギターやマンドリン、チェロといった弦楽器を中心に、美しいハーモニーを聴かせるヴォーカルの二人にぴったりと寄り添うオーガニックな演奏がどこまでも魅力的だ。

  • 2025-06-05
  • 2025-06-04

文化的ジャズの極み。女流ピアノ奏者シモーナ・プレマッツィ×頭脳派サックス奏者カイル・ナッサー新譜

イタリア出身の女性ピアニスト/作曲家シモーナ・プレマッツィ(Simona Premazzi)と米国ボストン出身の男性サックス奏者/作曲家カイル・ナッサー(Kyle Nasser)を中心に、ベーシストのノア・ガラベディアン(Noah Garabedian)、ドラマーのジェイ・ソウヤー(Jay Sawyer)で構成されたカルテット、Premazzi / Nasser Quartet の初のアルバム『From What I Recall』は、ヨーロピアン・ジャズとハードバップの丁度良いバランスを自然に探求するような上質なジャズ作品だ。

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