- 2026-07-05
- 2026-07-05
パレスチナ系ヨルダン人シンガー、Zeyne が描く「帰還」の物語。現代アラビアン・ポップの傑作『AWDA』
「AWDA(عودة)」とは、アラビア語で「帰還」を意味する。だが、パレスチナ系ヨルダン人シンガー、ゼイン(Zeyne)のデビュー・アルバム『AWDA』が描く「帰還」は、単に故郷へ戻ることだけではない。自分自身を見失った先で、もう一度「本来の私」を取り戻すこと──その精神的な旅路こそが、この作品の核となっている。
「AWDA(عودة)」とは、アラビア語で「帰還」を意味する。だが、パレスチナ系ヨルダン人シンガー、ゼイン(Zeyne)のデビュー・アルバム『AWDA』が描く「帰還」は、単に故郷へ戻ることだけではない。自分自身を見失った先で、もう一度「本来の私」を取り戻すこと──その精神的な旅路こそが、この作品の核となっている。
で、結局、ブラジルで最も愛されているミルトンの名曲は? その回答になる1つのランキングがあります。 ブラジルの著作権管理団体(ブラジル中央著作権徴収機関|ECAD)が、ミルトン・ナシメントが80歳の傘寿を迎えた際に発表した過去10年間における「最も再生・演奏されたミルトン・ナシメントの楽曲」ランキングです。 ECADによるこのランキングは、SpotifyやYouTubeなどの再生回数ランキングではありません。対象となっているのは、ラジオ、店舗や施設でのBGM、パーティーや娯楽施設、カーニバル、フェスタ・ジュニーナ、ショー、ライブ演奏など、公共の場で音楽が使われた回数がカウントされいます。ひとりの聴き手がイヤホンで何度再生したかではなく、ブラジル社会の中で、ミルトンの歌がどれだけ公共空間に鳴っていたかのランキングです。
1991年にカーボベルデ・サンヴィセンテ島のミンデロ(セザリア・エヴォラもミンデロ出身)に生まれた歌手クレミルダ・メディーナ(Cremilda Medina)の3枚目のスタジオ・アルバム『Lágrima』(2026年)は、モルナが本来持つ静謐な美しさを見つめ直した意欲作だ。伴奏はギターやカヴァキーニョなどの弦楽器を中心としたアコースティック編成に徹し、現代的な装飾を極力排することで、歌そのものが持つ豊かな情感を丁寧に浮かび上がらせている。
以前よりデュオ活動を展開してきたアルメニア出身のピアニスト、ヴァルダン・オヴセピアン(Vardan Ovsepian)と、ブラジルの歌手タチアナ・パーハ(Tatiana Parra)が、再びタッグを組み新作『The Flight of the Hidden Heart』をリリースした。全曲が新曲となっており、二人のデュオの名義である「Fractal Limit」の新章を印象付ける作品となっている。
イスラエル出身・ニューヨークを拠点とするギタリスト/ベーシスト/作曲家のタル・マシアハ(Tal Mashiach)のソロ第二弾『Who's Around?』がリリースされた。自身が所属する現代ジャズの最高峰ピアノトリオであるGTO Trio のメンバーはもちろん、世界各地から多様な音楽家を迎え、影響源の幅広さを窺わせる多彩なオリジナル楽曲によって鮮やかに彩られたアルバムだ。
ミルトン・ナシメントの音楽には、何度も列車が現れる。それは単なる乗り物ではない。ミナスジェライスの山あいを走る鉄道であり、故郷と外の世界を結ぶ線であり、誰かを連れてくる音であり、誰かを連れ去る音でもある。駅のベンチ、遠い汽笛、煙を吐く機関車、空っぽになった広場、見送る人、帰ってくる人。ミルトンの歌において「trem」は、いつも風景以上のものを運んでいる。・鉄道は、出会いと別れの場所である。・鉄道は、郷愁の器である。・鉄道は、失われた共同体の記憶である。・そしてときに、人生そのものの比喩になる。
ミルトン・ナシメント、そしてクルービ・ダ・エスキーナ周辺の音楽の魅力は、5/4や9/4といった複雑な拍子を、技巧の誇示としてではなく、ひとつの自然な呼吸として聴かせてしまうところにもあります。 変拍子というと、どこか難解で、数えながら聴く音楽のように思われがちです。けれどミルトンの音楽では、拍子の複雑さが前に出ることはほとんどありません。ミナスの山並み、言葉の抑揚、記憶の揺れ、歩く速度、歌う人の息づかい。そうしたものがそのまま旋律になった結果、音楽が四角い小節の枠から少しだけはみ出していく。そこに、彼のリズムの不思議があります。
パレスチナ出身のピアニスト/シンガーソングライターのファラジュ・スレイマン(Faraj Suleiman)の新作『Live in Amman』は、『London Jazz Festival 2019』(2020年)、『Live at Montreux Jazz Festival 2018』(2021年)に続く本格的なライヴ・アルバムだ。前2作はジャズ・ピアニストとしてインストを中心としていたが、ヨルダンの首都アンマンでのライヴを収録した今作はシンガーソングライターとしての“歌モノ”をメインとしている。ほぼ全編がアラビア語でのピアノ弾き語りで、彼の歌モノ作品『Better Than Berlin』(2020年)や『Upright Biano』(2023年)からの選曲が中心となっている。
深編笠を被った三兄弟が、先祖代々から受け継いだ創作楽器を用い、国籍不明の独創的な音楽を奏でる──彼らはタコ・トキ(Tako Toki)という、フランスを拠点に活動するグループだ。グループ名は日本語のタコ(蛸)に、韓国語でウサギを表すトキ(토끼)を組み合わせたもの。先祖のルーツはベトナム、韓国、日本、沖縄、インドネシアに跨るらしい。
『Pont De Vie』はアコースティックギター、ダブルベース、バンドネオンのトリオ編成という珍しい作品ながら、地中海から北欧まで旅するようなシネマティックな音像が素晴らしく、静かな夜にじっくりと耳を傾けたい作品だ。演者はポーランド出身のギタリストのマチェク・ピシュ(Maciek Pysz)、ロシア出身のベース奏者ユーリ・ゴルベフ(Yuri Goloubev)、そしてイタリアのバンドネオン奏者ダニエレ・ディ・ボナヴェンチュラ(Daniele di Bonaventura)。
2023年、ロー・ボルジェスと兄のマルシオ・ボルジェスは、アルバム『A estrada(道)』を構想した。それは、「Tudo que você podia ser(なれたかもしれないすべて)」(1972年)や「Um girassol da cor de seu cabelo(君の髪の色のひまわり)」(1972年)といったスタンダード・ナンバーを生み出した、1970年代から続く二人のパートナーシップの「終着点」として計画されたものであった。しかし、ミナスジェライス州出身のこの兄弟は、まさかこのアルバムが文字通り「あらゆる意味での本当の終わり」を意味することになろうとは、夢にも思っていなかったことであろう。
フランスのギタリスト、グウェン・カユ(Gwen Cahue)の第5作目となるアルバム『Mosaïque』がリリースされた。全編マカフェリ・ギターを弾き、曲によって2種類のトリオを起用した作品で、とかくスピードとテクニックに偏重しがちなジャズ・マヌーシュに高度な叙情性と音楽性を持ち込んだ優れた作品だ。
アルゼンチンのドラマー/作曲家ナウエル・ラマヨ(Nahuel Ramayo)による珠玉のアルゼンチン・ジャズ新譜『De Paisajes Y Colores』。クインテット編成のバンドにはアルゼンチン現代ジャズを牽引するピアニストのセバスティアン・マッキ(Sebastián Macchi)も参加し、ハイレベルかつ、この地の音楽に特有の清々しく澄んだ空気を感じさせてくれる素晴らしいアルバムだ。
レイト・トランスミッションズ・スターリング・イヴ・クォーターメイン(Late Transmissions starring Eve Quartermain)のデビュー・アルバム『The Heart Wants What It Wants』のクオリティの高さと、強烈な物語性に驚かされた。グループの中心人物は、リヴァプールの音楽シーンで長いキャリアを持つデヴィッド・バルフ(David Balfe)とデヴィッド・ヒューズ(David Hughes)。そこに圧倒的な歌唱力を持つ無名のヴォーカリストのイヴ・クォーターメイン(Eve Quartermain)が加わり、映画音楽、60年代オーケストラル・ポップ、ジャズ、トリップホップなどを融合した独特の世界を作り上げている。