- 2024-09-22
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イスラエルのSSWノガ・エレズ待望の新譜『THE VANDALIST』、欺瞞に満ちた社会への最後の抵抗
ずっと厭世的だった彼女の歌は、いよいよ絶望の色を極めてきた。イスラエルのシンガーソングライター/プロデューサー、ノガ・エレズ(Noga Erez)。新作アルバムに付けられたタイトルは『THE VANDALIST』。つまり、愛し尊ぶべきもの、美しいものの“破壊者”たちへの彼女なりの最後通牒なのだろう。
ずっと厭世的だった彼女の歌は、いよいよ絶望の色を極めてきた。イスラエルのシンガーソングライター/プロデューサー、ノガ・エレズ(Noga Erez)。新作アルバムに付けられたタイトルは『THE VANDALIST』。つまり、愛し尊ぶべきもの、美しいものの“破壊者”たちへの彼女なりの最後通牒なのだろう。
スコットランドのジャズトリオ、Trio HLK が2ndアルバムとなる『Anthropometricks』をリリースした。鍵盤奏者/作曲家のリッチ・ハロルド(Rich Harrold)、8弦ギター奏者アント・ロウ(Ant Law)、そしてドラマーのリッチ・カス(Rich Kass)の頭文字から取られたこのトリオは、伝統的なジャズやクラシックの枠に囚われない自由な発想で聴き応え抜群の音楽を発信している。
アナログ機材によるローファイな質感のサイケデリック&ファンキーなバンドサウンドを聴きたいなら、イタリアで大人気のシネマティック・ファンクバンド、カリブロ35(Calibro 35)に注目すべきだ。2007年の結成以降、多数のオリジナル・アルバムや映画のサウンドトラック制作などで絶大な人気を得て、イタリアの音楽シーンのある一辺をリードする存在となった彼らが2022年作『Scacco al Maestro, Vol. 1』、『Scacco al Maestro, Vol. 2』でのエンニオ・モリコーネ(Ennio Morricone, 1928 - 2020)への無限の愛情の表明を経てリリースした最新作『Nouvelles Aventures』(2023年)は、変わらず勢いのある意欲的で素晴らしい音楽作品に仕上がっている。
『Julieta No Convés』はギンガ(Guinga)とアナ・パエス(Anna Paes)の双頭名義の新作。収録曲はほぼ全てがギンガの未発表曲で、アルヂール・ブランキやパウロ・セザール・ピニェイロといった長年のパートナーとの楽曲のほか、ギンガとアナ・パエス共作なども収録された充実の内容となっている。“ギンガ”とは、もはやひとつの音楽のジャンルの代名詞のようなものだ。
マルティニークにルーツを持つフランス人ピアニスト/作曲家ジョルジュ・グランヴィル(Georges Granville)がミシェル・アリーボ(Michel Alibo, b)とアーノウ・ドルメン(Arnaud Dolmen, ds)という名手と組んだアコースティック・ピアノトリオ作品『Perspectives』は、フランスらしい抒情性と、3人の故郷であるマルティニークやグアドループの伝統的な音楽のエッセンスが融合した優れたジャズ・アルバムだ。
アルゼンチン出身、現在は米国ニューヨークで活動するシンガーソングライター、フアナ・ルナ(Juana Luna)の新作『Canciones en Blanco y Negro』がリリースされた。ナイロン弦のギターやダブルベースを中心とし、曲によってはアコーディオンやマンドリン、弦楽四重奏なども加わって奏でられる温かく丁寧なアンサンブルに、気品のあるスペイン語の歌が乗る。
イタリア・ミラノを拠点に活動するジャズ・コレクティヴ、アディクト・アメーバ(Addict Ameba) の2ndアルバム『Caosmosi』。10人編成のバンドが奏でる音楽はジャズ、アフロビート、ブラジリアン、サイケロックといった要素が豊かに混ざり合い、極彩色の地平へとリスナーを連れてゆく。アルバムのタイトルはフランスの哲学者フェリックス・ガタリ(Félix Guattari, 1930 - 1992)の最後の著書『Chaosmosis』にインスパイアされており、創造性と無秩序がもたらす無限の可能性を称賛している。
タイトルに冠されたアフリカ系アメリカ人の思想家・ジェームズ・ボールドウィン(James Boldwin)。彼にインスパイアされた本作は、近年のアートポップ路線でありながらも、ポリティカルでより人間の内面を炙り出すようなメッセージ性の強い作品に仕上がった。"読む音楽"と呼びたくなる示唆に富んだミシェル・ンデゲオチェロの最新作を紐解いていきたい。
生まれてくる子供への贈り物となる音楽を、プロの作曲家にオーダーするには?この記事では、作曲家に個人で「子守唄」の制作を依頼した一般人の筆者が、発注後の曲の完成までの流れと感想を紹介する。作曲を委嘱したのは、ピアニスト・作曲家で、オルタナティブポップデュオ「東京○X問題(トウキョウマルバツモンダイ)」でも活動する片山柊(カタヤマシュウ)氏。クラシックから現代音楽までを守備範囲とし、歌曲や器楽曲の作曲を手がける。コンサート・ライブ・演奏会のレパートリー拡大のための作曲や、個人での作曲委託も積極的に受け付けているとのことだ。依頼の流れ、費用、期間などは記事の前半にまとめている。
ヴィブラフォンによる音楽を次のレベルへと導く鬼才パトリシア・ブレナン(Patricia Brennan)の新作『Breaking Stretch』は、やはり期待以上だった。今作は3管を含むセプテット編成で、カオスぎりぎりを攻める最高にシビれる音楽をぶちかます。
幼なじみのホセ・トマス・プーガ(José Tomás Puga)とビセンテ・ラルーレ(Vicente Larroulet)によって結成された南米チリのフォークデュオ、ホセ・ビセンテス(José Vicentes)による2枚目のアルバム『Lugar donde se florece』は、オーガニックなサウンドに、子どもたちの声なども平和で心安らぐ素敵な作品だ。
ブラジルのシンガーソングライター、シコ・シコ(Chico Chico)がロックやMPB、そしてブラジル北東部音楽などにインスパイアされた新作『Estopim』をリリースした。ソロ名義では2021年の『Pomares』以来となる第二作目で、都会的な洗練と、田舎風の素朴さを併せ持った彼らしい素直な音楽が楽しめる作品に仕上がっている。
アルバム『Inner Spirits』は、スウェーデンのピアニスト/作曲家のヤン・ラングレン(Jan Lundgren)と、ブラジルの7弦ギター奏者ヤマンドゥ・コスタ(Yamandu Costa)の共作だ。互いにオリジナル曲を持ち寄り、一部にはカヴァー曲を取り上げた今作は、北欧ジャズとブラジル音楽という全くベクトルの異なる音楽性が意外なほどに調和し、言葉にできないほど素敵な空間を作り上げている。
『Mestizx』は、公私共にパートナーであるボリビア出身の女性シンガーソングライター/マルチ奏者イベリッセ・グアルディア・フェラグッティ(Ibelisse Guardia Ferragutti)と、プエルトリコにルーツを持つシカゴ出身の男性ジャズドラマー/パーカッショニスト、フランク・ロザリー(Frank Rosaly)の共同名義によるデビューアルバムだ。アルバムタイトルは中南米におけるスペイン植民地時代に性別を問わず“混血の人”を意味する言葉として使われたもので、ブラジル、ボリビア、プエルトリコという二人の多様なルーツから来る多様性と、脱植民地という重要なテーマをアーティスティックに扱っている。