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2024

  • 2024-03-28
  • 2024-03-28

新時代のジャズを探求する南アフリカのバンド Kujenga、セプテット編成の新譜『In the Wake』

南アフリカ・ケープタウンを拠点とする7人編成のジャズバンド、クジェンガ(Kujenga)。スワヒリ語で“構築する”を意味するバンド名を持つ彼らの2枚目のアルバム『In the Wake』がリリースされた。トランペット、トロンボーン、テナーサックスの3管や電化ギター、ベースなどよくあるジャズ編成ではあるものの、アフリカ南部のアイデンティティを感じさせる力強いサウンドがとても素晴らしいアルバムだ。

  • 2024-03-27
  • 2024-03-26

ミナス器楽音楽の潮流を継承する新星、イガーラがデビュー!技巧的かつ情感豊かな演奏に酔いしれる

ミナスのほかの多くの若手器楽奏者たちの例に漏れず、非常に複雑かつ瑞々しい音楽を作り出す女性ピアニスト/作曲家イガーラ(IGARA)。2021年にBDMGヤング・インストゥルメンタル(BDMG Jovem Instrumentista 2021)を受賞し、その後2023年にミナスの器楽音楽で最も意味のある賞である第22回BDMGインストゥルメンタル(BDMG Instrumental 2023)を受賞した彼女のデビューEP『O Piano, os Cavalos e o Mar』は、哲学や文学の香りをも感じさせる非常に美しい作品だ。

  • 2024-03-25
  • 2024-03-24

自由な実験精神を発揮するハンガリー/オーストリアのカルテット、András Dés Quartet

ハンガリー出身、現在はオーストリアのウィーンを拠点とする打楽器奏者/作曲家アンドラーシュ・デーシュ(András Dés)がカルテット編成での新作『Unimportant Things』をリリースした。バンドには同郷の盟友ギタリストマールトン・フェニヴェシ(Marton Fenyvesi)のほか、オーストリアの名手であるトランペット奏者マルティン・エバーレ(Martin Eberle)とピアニストのフィリップ・ニクリン(Philipp Nykrin)が参加。現代的でアーティスティックな実験性を帯びた刺激的な演奏を繰り広げている。

  • 2024-03-24
  • 2024-03-24

ウェールズ出身ジャズハープ奏者アマンダ・ホワイティング、優しく力強い『The Liminality of Her』

ウェールズ出身のグランドハープ奏者/作曲家アマンダ・ホワイティング(Amanda Whiting)の2024年新譜『The Liminality of Her』が絶品だ。クラシックを学んだ確かな技術を基底に持ちながら、ジャズの即興や民族音楽的な独特のスケールを試みる演奏は彼女の好奇心の表れ。バンドメンバーとのアンサンブルも熱く、比較的珍しいジャズ・ハープの近年における最高の作品のひとつと言えるだろう。

  • 2024-03-23
  • 2024-03-24

美しさと複雑さが混在する現代ブラジル“最高の声”ジョタ・ペー、あまりに完成度の高い新作

2023年に先行してA面5曲がリリースされ、アルバム完成を待ち望まれていたブラジルの新世代SSW、ジョタ・ペー(Jota.pê)がついにフルレンス・アルバムとして『Se o Meu Peito Fosse o Mundo』(もし私の胸が世界だったら)を完成させた。2022年に女性SSWブルーナ・ブラッキ(Bruna Black)とのデュオ「ÀVUÀ」名義でリリースした 『Percorrer Em Nós』で並外れたセンスを見せた彼は、今作でも自作曲・共作曲を中心に様々な文化が混在する新しいブラジルの音楽を聴かせてくれる。

  • 2024-03-22
  • 2024-06-22

大洋を吹き、人々の営みを運ぶ風。現代的モルナの歌姫ナンシー・ヴィエイラ 新譜『Gente』

カーボベルデの島々を囲う大洋のように優しく深い歌声が魅力的な歌手ナンシー・ヴィエイラ(Nancy Vieira)。彼女の新作『Gente』(人々)は、カーボベルデの大衆音楽であるモルナを軸に、ブラジルのサンバ、ポルトガルのファド、カリブ海の音楽やジャズを混ぜ熟成させたような極上の滋味深い音楽に仕上がっている。「カーボベルデってどこ?モルナってどんな音楽?」…そういう方にこそ、ぜひ聴いてもらいたい。

  • 2024-03-18
  • 2024-03-17

南米音楽の真髄に触れる。ヤマンドゥ・コスタ&エロヂー・ボウニー夫妻が贈る究極のギターデュオ作

ブラジルの7弦ギタリスト、ヤマンドゥ・コスタ(Yamandu Costa)とベネズエラ生まれのクラシック・ギタリスト、エロヂー・ボウニー(Elodie Bouny)のデュオ作『Helping Hands』がリリースされた。この夫婦は過去たびたび一緒に演奏する動画をYouTubeなどにアップしているが、こうして音源としてまとまったものは初めてだ。

  • 2024-03-16
  • 2024-03-16

地中海からアラビア、そしてブラジルへ。イタリアの鍵盤奏者バッソリーノによる架空の“未来都市”

イタリア・ナポリの鍵盤奏者/作曲家/プロデューサー、ダリオ・バッソリーノ(Dario Bassolino)のソロデビュー作『Città Futura』は、ニコラ・コンテにも通ずる爽やかなグルーヴを持ったジャズファンクが特徴的だ。地中海からアラビアへ、そして大西洋を越えて遥かブラジルまで吹き抜ける風。過去から現在の様々な時代を繋ぎながら、架空の“Città Futura = 未来都市”へと想像を膨らませる。

  • 2024-03-15
  • 2024-10-14

南米と北欧が交叉する、どこかノスタルジックな大傑作。ハファエル・ジメネス新譜

ブラジル出身、デンマーク在住の男性SSWハファエル・ジメネス(Raphael Gimenes)の2024年新譜『DINAMARCA』は、ここ数年でもっとも美しい音楽作品のひとつだ。2016年作『As Montanhas de Som』や2021年作『A Tongue Full of Suns』などリリースの度にファンを驚かせ楽しませてきた彼が、またしても10年に一度の最高のアルバムを作り上げた。

  • 2024-03-12
  • 2024-03-12

グナワとジャズ、幸せな土埃の匂い…。イスラエルのゲンブリ奏者シャイ・ハザン新作『Wusul』

前作『Reclusive Rituals』でグナワやジャズ、ヒップホップの高度な融合を見せたイスラエルのゲンブリ奏者シャイ・ハザン(Shay Hazan)が新作『Wusul』をリリースした。アルバムタイトルはアラビア語表記で「وصول」、"到着"を意味する。中米から日本までの広範囲にわたる旅の中で接した異文化から大きなインスピレーションを得ており、アルバムには東京世田谷・下北沢をテーマにした(7)「Shimo Kitazawa」をはじめとした豊かな楽曲群が収録されている。

  • 2024-03-10
  • 2024-03-10

才媛J. ラモッタ すずめ、テルアビブでの幼少期の想い出にインスパイアされた傑作新譜『אסולין』

モロッコ系イスラエル人SSWのJ. ラモッタ すずめが、7枚目となるアルバム『Asulin』(ヘブライ語表記:אסולין)をリリースした。2022年作『So I’ve heard』以来積極的に母国語の歌をリリースする彼女だが、今作も全編ヘブライ語でサウンド面でも中東音楽の影響が強くなっている。

  • 2024-03-09
  • 2024-03-09

ジャンルの概念を溶かす、インド系移民SSWシェヘラザードの衝撃的デビュー作『Qasr』

また、とんでもないアーティストが現れた。インド系移民2世として米国で生まれ育ったシンガーソングライター、シェへラザード(Sheherazaad)。近年大ブレイクしたパキスタン出身のSSWアルージ・アフタブ(Arooj Aftab)がプロデュースしたデビュー作『Qasr』は、音楽が従来のジャンルという概念ではなく、その人自身のパーソナルに大きく依存する時代を象徴するような素晴らしい仕上がりだ。

  • 2024-03-08
  • 2024-03-07

中国琵琶の巨匠とフラメンコギター奏者デュオ作『Alondra』、アビーロードでの一期一会

中国出身の琵琶奏者ガオ・ホン(Gao Hong, 漢字表記:高虹)と、アルゼンチン出身のフラメンコギター奏者イグナシオ・ルサルディ・モンテベルデ(Ignacio Lusardi Monteverde)によるユーラシア大陸両端の音楽が融合したような美しいデュオアルバム『Alondra』。ジャズ、フラメンコ、アルゼンチン音楽、中国音楽などに影響されたバラエティ豊かな演奏が楽しめる作品だ。