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2026

2026年

  • 2026-04-12
  • 2026-04-05

フィ・マロスティカ&アレシャンドリ・ヒベイロ、遊び心と多幸感溢れるデュオ・アルバム

卓越した技巧と、繊細かつ大胆な表現力。互いの音に耳を傾け、指先で呼応する。エフェクターで遊び、心から演奏を楽しむ──。ブラジルのベース奏者フィ・マロスティカ(Fi Maróstica)と、クラリネット奏者アレシャンドリ・ヒベイロ(Alexandre Ribeiro)は約20年前に初めて会ったときから、互いを昔から知っている“古い友人”であるかのように感じたという。彼らの初のデュオ作である『Devaneio』は、クラリネットとベースという最小限の編成ながら、様々な工夫と遊び心によって彩られた、とても美しいアルバムだ。

  • 2026-04-11
  • 2026-04-11

新たな“同志”を得て原点回帰した Soviet Suprem、ダンスフロアから起こす革命

「冷戦でソ連が勝った世界線」を夢想するフランスのデュオ・ユニット、ソヴィエ・シュプレム(Soviet Suprem)の4thアルバム『Rouge』がリリースされた。前作『Made in China』は現代の社会主義大国・中国を中心にアジアをテーマとしたが、今作では原点であるソヴィエト的世界観に立ち返り、鮮烈なルージュ=赤(もちろんそれは共産主義の象徴的な色だ)をジャケットに掲げ、ブラックユーモアで社会を皮肉る。

  • 2026-04-10
  • 2026-04-10

音を色彩で捉える盲目の天才ピアニスト、ヤキール・アルビブ 魔法のような『アフロ・バロック』

二人の“魔法使い”の名は、イスラエル出身のピアニスト/作曲家ヤキール・アルビブ(Yakir Arbib)と、カメルーン出身のドラマー/パーカッショニスト/作曲家コンティ・ビロング(Conti Bilong)。アルバムのタイトルのとおり、二人のルーツである中東と中央アフリカの伝統的なリズムや旋法を基調とし、J.S.バッハ(Johann Sebastian Bach, 1685 - 1750)に代表されるバロック様式の対位法やジャズのダイナミックな即興が高度に融合した、複雑なのに親しみやすく、伝統の上に成り立っているのに斬新な演奏が繰り広げられる。

  • 2026-04-05
  • 2026-04-05

ウクライナ発の女性グループ、Daughters of Donbas が音楽で告発するロシアの戦争犯罪

ウクライナのドンバス2に縁のある8人の女性によるグループ、ドーターズ・オブ・ドンバス(Daughters of Donbas)による『Songs of Stolen Children』は、ウクライナで現実に起こっている惨状を広く国際社会に訴えるアルバムだ。ウクライナの人権団体によると、ロシア・ウクライナ戦争が始まって以来、生後4ヶ月から17歳までの約2万人の子供たちがロシア領に強制的に連れ去られ、その多くが軍事キャンプに連れて行かれたという。

  • 2026-04-04
  • 2026-03-30

ブラジルを代表するショーロ・ピアニストのエルクレス・ゴメス、初の自作曲集『Bremen Solo』

ショーロに特化したブラジルの名ピアニスト、エルクレス・ゴメス(Hércules Gomes)のアルバム『Bremen Solo』は、ドイツの歴史あるコンサートホール、ゼンデザール・ブレーメン(Sendesaal Bremen)で行われたソロライヴを録音した作品。収録の16曲はすべてエルクレス・ゴメス作曲のオリジナルとなっており、稀代のショーロ・ピアニストの魅力が余すところなく発揮された絶品だ。

  • 2026-04-03
  • 2026-04-02

ブラジル出身気鋭ギター奏者ルーカス・エチェヴェリア。K.ローゼンウィンケル参加の色彩豊かな新譜

ブラジル出身、現在はドイツを拠点に活動する気鋭ギタリスト/作曲家ルーカス・エチェヴェリア(Lucas Etcheverria)が、2作目となるフルレンス・アルバム『Color Is a Gift』をリリースした。ドラムス、ダブルベースとのトリオを軸に、カート・ローゼンウィンケル(Kurt Rosenwinkel)を含むゲストを交え、卓越したコンポージングのセンスと豊かな色彩のバンド・アンサンブルが魅力の作品となっている。

  • 2026-04-01
  • 2026-03-31

気鋭トランペッター、ハーモン・メハリとフランスの知的ジャズの見事な融合。『(un)Seen』

アメリカ・テキサス州出身のエリトリア系トランペット奏者ハーモン・メハリ(Hermon Mehari)と、3人のフランス人音楽家──ピアニストのエンゾ・カルニエル(Enzo Carniel)、ベーシストのダミアン・ヴァライヨン(Damien Varaillon)、ドラマーのステファン・アズュアール(Stephane Adsuar)──によるカルテット、ナウ・ビューティ(NO(w) Beauty)による2枚目のアルバム『(un)Seen』。伝統的なジャズと、フランスらしい多文化がもたらす知的な音楽的探求が楽しい作品だ。

  • 2026-03-30
  • 2026-03-30

ルーツを探求するクルド系SSW率いるデンマークのアナトリアン・ロックバンド、AySay『Mal』

サズ/ヴォーカルのフロントウーマン、ルナ・エルシャヒン(Luna Ersahin)のルーツであるトルコ/クルドの音楽と、北欧デンマークのロックが融合した音楽性が高く評価され、前作『KÖY』(2023年)がデンマーク・ミュージック・アワード(DMA)のワールド・ミュージック部門を受賞するなど人気が高まっているスリーピース・バンド、アイセイ(AySay)が、サードアルバムとなる『Mal』をリリースした。

  • 2026-03-29
  • 2026-03-29

カリビアン・ジャズの貴公子グレゴリー・プリヴァがピアノと歌で描く、愛と再生の物語

カリブ海に浮かぶフランス領マルティニーク出身のピアニスト/シンガーソングライター、グレゴリー・プリヴァ(Grégory Privat)の新譜『Darling』。現代クレオール・ジャズの傑作と言って過言ではない傑作だろう。ソロピアノ作品『Yonn』(2022年)やトリオでの野心作『Phoenix』(2024年)を経て、今回のソロ作は彼のキャリアの頂点のように感じる。

  • 2026-03-28
  • 2026-03-27

UKアフロジャズの代名詞ヌビヤン・ツイスト、AI生成の時代に抗う有機的グルーヴの5th

UKジャズ/アフロビートのシーンを代表するジャズ・コレクティヴ、ヌビヤン・ツイスト(Nubiyan Twist)の5枚目となるスタジオ・アルバム『Chasing Shadows』がリリースされた。今作は“デジタル化が進む世界の中で、人間同士のつながり・温もり・即興性を再発見すること”をテーマとし、人間らしいエネルギーに溢れた音楽が繰り広げられる。

  • 2026-03-25
  • 2026-03-25

踊らずにいられない! 南米発サイケ・グルーヴ渦巻くギター・トリオ、BALTHVS ハイブリッドな新譜

コロンビア・ボゴタを拠点とするワールド・サイケデリック・ファンク・トリオ、BALTHVS(バルトゥス)の新譜『Transmutations』は、熱気あるライヴ音源を、その後スタジオで再構築した珍しい“ハイブリッド”なアルバムだ。自由奔放なグルーヴとタイトなアレンジが共存、疾走するサイケデリックなギター、ラテン・ロックの陽気さ、スピリチュアル・ジャズを思わせる即興、ファンキーなベースライン。リスナーは踊り出さずにはいられないだろう。

  • 2026-03-24
  • 2026-03-22

カナダを代表する歌手ドミニク・フィス=エメが歌う、“人生を縛るあらゆるものからの解放”

カナダを代表する女性シンガー、ドミニク・フィス=エメ(Dominique Fils-Aime)。ジュノー賞を受賞するなど高く評価された2023年の前作『Our Roots Run Deep』では自身が根ざすルーツについて歌い、単なる音楽を超えた彼女自身の内面や社会との繋がり、脈々と繋がれる命について深い洞察の作品だったが、この2026年作『My World Is The Sun』ではその価値観を保ちつつ、より解放的なテーマを感じさせる内容となっている。

  • 2026-03-22
  • 2026-03-20

UK現代ジャズ最前線!ママール・ハンズがGoGo Penguinのドラマーを得て初のアルバム『Circadia』

UKを代表するジャズトリオ、ママール・ハンズ(Mammal Hands)。新しいドラマーとして元ゴーゴー・ペンギン(GoGo Penguin)のロブ・ターナー(Rob Turner)が加わり、さらにレーベルをゴンドワナ・レコード(Gondwana Records)からアクト(ACT)に移しての最初のアルバム『Circadia』がリリースされた。タイトルは生物の約24時間周期のリズムである「サーカディアン・リズム(概日リズム)」に由来する造語で、循環や反復するリズムの上で自由な即興を繰り広げる彼らの音楽性を象徴している。

  • 2026-03-21
  • 2026-03-20

誰よりも深くブラジル音楽を愛するベト・カレッティ、“楽器同士の対話”を重視した初インスト作

アルゼンチン・ブエノスアイレス出身で、ブラジル音楽への深い傾倒で知られるシンガーソングライターのベト・カレッティ(Beto Caletti)の2026年新譜『El convite』は、彼にとって初めての全編インスト(+スキャットなどによる声)の意欲的な作品となっている。ショーロやサンバ、フォホー、MPBなどに根差した豊かなハーモニーとリズム、さらにトニーニョ・オルタのような爽やかさを感じさせる曲が多く、ほかにもエルメート・パスコアールを彷彿させる複雑さなど、彼のブラジル音楽への深い理解と愛情が凝縮された素晴らしいアルバムだ。