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2026

  • 2026-09-20
  • 2026-09-20

感性が奏でるチェロ、感情を乗せる歌。ジャマイカ系SSW アヤンナ・ウィッター=ジョンソン新作『New Roots』

ジャマイカをルーツにもつイギリス・ロンドンのチェロ奏者/歌手/作曲家、アヤンナ・ウィッター=ジョンソン(Ayanna Witter-Johnson)が第二作目となるアルバム『New Roots』をリリースした。ほとんどの楽曲は彼女のチェロ弾き語りを軸に、小編成ながら抒情豊かなアンサンブルで構成されており、クラシックで培われた彼女の確かな演奏力とソウルフルな歌声、そしてジャズやカリブ音楽の影響を受けた巧みなアレンジを存分に楽しめる傑作となっている。

  • 2026-09-18
  • 2026-09-17

身体に刻まれた”傷と起伏”。ブラジルから届いた極上のネオソウル、THAMI『Relevuras』

とにかく、めちゃめちゃセンスのいいブラジル産ネオソウルだ。 リオデジャネイロ州出身、現在はサンパウロを拠点とするシンガーソングライター、タミ(THAMI)の新作『Relevuras』。アルバムに収録された10曲にはダンサーとしての20年のキャリアから歌手に転身した彼女に特有の音楽の身体性があり、より商業的に有利な条件の提案を“アイデンティティが失われる”からと断り、インディーズでの活動を続けることを選択したという芸術家らしい誇りも感じられる。

  • 2026-09-16
  • 2026-09-16

エズラ・コレクティヴ、待望の新譜はアフリカン・ディアスポラの音楽的ルーツを辿る大作!

エズラ・コレクティヴ(Ezra Collective)が第4作目となるスタジオ・アルバム『Here Because of Hope』をリリースした。ジャケットには日本でいう三猿(見ざる、聞かざる、言わざる)を思わせるポーズをした子ども達が写っている。今作は西アフリカからカリブ海を経てロンドンへと渡った黒人ディアスポラの歴史を、その土地から生まれた音楽によって辿る三部構成のコンセプティヴな作品となっており、その音楽を紐解いていくと、彼らがタイトル“希望ゆえにここにいる”に込められた想いや、印象的なジャケットの意味が見えてくる。

  • 2026-09-13
  • 2026-09-12

様々なジャンルの音楽が淡く混ざり合う、カナダのデュオ Violette & Jordan 最高のデビュー作『Dahlia』

シンガー/ピアニストのヴィオレット・ラピエール(Violette Lapierre)と、ギタリスト/シンガーのジョーダン・オフィサー(Jordan Officer)によるカナダ・ケベックの男女デュオ、ヴィオレット&ジョーダン(Violette & Jordan)のデビュー・アルバム『Dahlia』。

  • 2026-09-11
  • 2026-09-11

MPB新世代マトゥ・ミランダ新譜!未来への原動力としてのサウダーヂを描き出す注目作『Apuama』

マトゥ・ミランダ(Matu Miranda)の第2作目となるアルバム『Apuama』は、2026年のブラジル音楽(MPB)の最重要トピックとなるだろう。2024年のデビュー作『Matutando』で、ミシェル・ピポキーニャ(Michael Pipoquinha)からレニーニ(Lenine)まで、新旧のスターたちの協力を得て“MPBの正当な後継者”として確信を強く印象に刻んだその実力はやはり伊達ではなかった。

  • 2026-09-09
  • 2026-08-25

フィンランド発、アフロポップとジャズ、Lo-Fi Popの交差点。Sumuposauttaja Band『Work and Play』

フィンランドのアンダーグラウンド・シーンで活動するマルチ奏者/作曲家サミ・アレクシ・ケイナネン(Sami Aleksi Keinänen)が、ソロプロジェクト、スムポサウッタヤ(Sumuposauttaja)名義でのアルバム『Work and Play』をリリースした。ローファイ・ポップを起点に、パーカッション多めの生バンドのアンサンブルによって西アフリカ系のリズムを孕んだ、レトロな質感のある心地よいグルーヴを生み出す優れたアルバムに仕上がっている。

  • 2026-09-06
  • 2026-09-05

あまりに美しいルネサンス・ヴァイオリンが心を動かす。アダム・バウディヒ新譜『Endless』

ポーランドを代表するジャズ・ヴァイオリニスト、アダム・バウディヒ(Adam Baldych)が、新たに結成した多国籍カルテットでの演奏を収録した新譜『Endless』をリリースした。僕はこの音楽家の音色や表現力が大好きなので、やや偏愛的なレビューになってしまうかもしれないけれど、やはり彼の音楽は最高だ。この地球上で最高に美しい音楽のひとつだと言って過言ではないと思う。

  • 2026-09-05
  • 2026-09-03

ジュリア・ゲヂス──街角クラブの血と、自身の芸術表現をバランスよく発揮したデビュー作『Álbum Vermelho』

ブラジル・ミナスジェライス州の新星シンガーソングライター、ジュリア・ゲヂス(Julia Guedes)のデビュー・アルバム『Álbum Vermelho』がリリースされた。感の良い人なら、その姓ですぐにピンとくるかもしれない。彼女の祖父はベト・ゲヂス(Beto Guedes)、あの伝説的な“街角クラブ”の重要人物だ。

  • 2026-09-04
  • 2026-09-03

ジャズとエレクトロニカを横断するDroid。NYシーンを牽引した、その長いキャリアを凝縮した初のスタジオ・アルバム

90年代からライヴ・エレクトロニクスを駆使するジャズ・ユニットとしてNYで活動してきたドロイド(Droid)。結成から約30年という彼らの長いキャリアのなかで、なんと初のスタジオ・アルバムとなる『CHARGE』が2026年にリリースされた。従来の即興・ライヴ中心のスタイルから一歩進み、Droidとして初めて本格的に作曲された今作は、ジャズ、ファンク、ドラムンベース、エレクトロニカ、実験音楽を横断してきた彼らの音楽性が凝縮された作品だ。

  • 2026-09-02
  • 2026-09-01

ブリタニー・ハワードのソロ活動を経て進化したアラバマ、シェイクス。11年ぶり新作『I Must Be Dreaming』

2019年のブリタニー・ハワード(Brittany Howard)のソロ作『Jaime』が唯一無二の素晴らしい出来栄えだったから、彼女のバンドであるアラバマ・シェイクス(Alabama Shakes)が11年ぶりの新譜『I Must Be Dreaming』をリリースしたと知ってさっそく聴いてみた。結論、今作は同バンドの初期の「ブルース・ロックの新星」というイメージからは随分と進化した、“サイケデリック・ソウルの現在地”と呼べるような作品だった。

  • 2026-08-30
  • 2026-08-30

レア・フレイリ、タチアナ・パーハら4人の女性音楽家による新譜“秋風”。松尾芭蕉が重要なテーマに

ブラジル・サンパウロを拠点に活動する4人の女性音楽家──フルート奏者/ピアニスト/作曲家レア・フレイリ(Léa Freire)、歌手/ピアニスト/作曲家のタチアナ・パーハ(Tatiana Parra)、ピアニスト/作曲家のタイス・ニコデモ(Thais Nicodemo)、歌手/ギタリスト/作曲家のタリータ・ヂ・ソウザ(Tarita de Souza)が、新グループ・クアルチーナス(Quartinas)を結成。スタジオ録音のデビュー・アルバム『Autumn wind』をリリースした。

  • 2026-08-28
  • 2026-08-26

ブラジル音楽と現代ジャズの幸福な接点を映し出す。新鋭ギタリスト、グスタヴォ・ヴィリッシモのデビュー作

ブラジル、リオグランデ・ド・スル州の新鋭ギタリスト/作曲家、グスタヴォ・ヴィリッシモ(Gustavo Virissimo)が、デビュー・アルバム『Reflexos』で瑞々しく素晴らしい創作力を証明してみせた。アルバムにはすべて彼自身の作曲による8曲が収録されており、フレーヴォやバイアォン、サンバといったブラジル音楽のリズム語法と、現代ジャズがごく自然に融合した楽曲群は驚くほどの完成度を誇る。アルバムタイトル「Reflexos(反射)」は、各楽曲が作曲者自身の記憶や人間関係、感情の断片を映し出すという意味が込められている。

  • 2026-08-25
  • 2026-08-23

90年代NYの雑食性から生まれたブルックリン・ファンク・エッセンシャルズ。継承される文化と、新たな変化

1990年代初頭にニューヨーク・ブルックリンで結成されたジャズファンク集団、ブルックリン・ファンク・エッセンシャルズ(Brooklyn Funk Essentials, 略称:BFE)。メンバー変遷を重ねながら30年以上に渡り活動を続ける彼らが、通算8枚目となる新譜『Black Butterfly』をリリースした。ニューヨークのクラブ文化を中心に、ファンク、ヒップホップ、ジャズ、ソウル、レゲエ、ダブ、ラテン音楽、スポークン・ワードなどを自在に混ぜ合わせるグループ初期からの精神性を継承しつつ、欧州出身のメンバーが中心となった多国籍の視点から現代社会の状況を反映したアルバムとなっている。

  • 2026-08-23
  • 2026-08-16

ブラジルの心をつなぐ。モニカ・サウマーゾが歌う、“サンバ・カンサォンの女王”エリゼッチ・カルドーゾ・レパートリー

日曜の夜に、お酒を飲みながらモニカ・サウマーゾ(Mônica Salmaso)の歌をじっくりと聴く、というのは最高の幸せであり、贅沢なのではないだろうか。彼女の新作『Senhora das Canções - Um Tributo a Elizeth』を聴きながら、まず最初にナイロール・プロヴェータ(Nailor Proveta)のあたたかなクラリネットのトリルが聴こえ、しばらくしてモニカの穏やかで情緒に富んだ歌と、それを追いかけるようなテコ・カルドーゾ(Teco Cardoso)のフルートが耳にゆっくりと流れ込んでくる。あまりに美しい旋律の流れと、モニカの歌を最大限に聴かせつつ細部まで妥協しないアレンジの妙技に心が惹かれる。つづく軽やかなサンバ(2)「Seresteiro」が流れると、込み上げるような想いとともに、冒頭のような多幸感を感じた。