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カナダ

  • 2025-08-16
  • 2025-08-16

イタリアのフィルターを通し捉える、近代ジャズの普遍。Collettivo Immaginario『Oltreoceano』

1970年代のジャズ/フュージョンやスピリチュアル・ジャズから多大な影響を受けたイタリアのトリオ、コッレッティーヴォ・イマジナーリオ(Collettivo Immaginario)の2ndアルバム『Oltreoceano』。ジャズやブラジル音楽、西アフリカ音楽などのダイナミックなグルーヴを称賛する一方で、歴史的に物憂げなイタリアの古典的映画音楽や、あるいはかつて“レアグルーヴ”として掘り尽くされた同国のアンダーグラウンドなジャズ系実験音楽/前衛音楽を想起させる瞬間も多い、とても面白い作品だ。

  • 2025-08-10
  • 2025-08-09

すべての難民や戦争の犠牲者に捧ぐ。中東出身男女デュオ、Kazdoura のデビュー作『Ghoyoum』

カナダ・トロントを拠点に活動する男女デュオ、カズドゥーラ(Kazdoura)のデビュー作『Ghoyoum』。内戦のため祖国を離れたシリア出身の歌手レーン・ハモ(Leen Hamo)と、レバノン出身で移民としてカナダに渡っていたマルチ器楽奏者ジョン・アブー・シャクラ(John Abou Chacra)は、2020年のベイルート港爆発事故後のトロントでの募金活動の中で出会い、強力な相乗効果を証明する音楽作品を作り上げた。

  • 2025-06-25
  • 2025-06-25

大洋のアンビエント・ミュージック。カナダ出身音楽家アンブル・シエルの深淵なデビュー作

カナダ・モントリオール出身の音楽家、アンブル・シエル(Ambre Ciel)がデビュー作『still, there is the sea』をリリースした。アルバムは英国のゴンドワナ・レコード(Gondwana Records)からのリリースで、ピアノやストリングス、声を中心とした深淵なサウンドが、同レーベルを代表するアーティストであるハニャ・ラニ(Hania Rani)を彷彿させる。内省的で美しい、ポスト・クラシカルの注目作だろう。

  • 2025-06-15
  • 2025-06-12

現代ジャズを象徴するバンド Kneebody、ベーシスト脱退の一大事を驚くべき発想で埋めた『Reach』

四半世紀にわたるキャリアとなった米国の現代ジャズを代表するバンド、ニーバディ(Kneebody)が6年ぶりとなる新作『Reach』をリリースした。今作は2001年のバンド結成時から低音を支えたベーシストのカヴェ・ラステガーが外部プロジェクトへの参加によって多忙を極めたことを理由に2023年にバンドを脱退して以降の初の作品となっており、ドラマーのネイト・ウッド(Nate Wood)がドラムスとベースを兼任するという割と非常識なカルテット編成での最初の録音となっている。

  • 2025-05-09
  • 2025-05-09

今再び、悪魔の降臨。ファンファーレ・チョカルリア&エイドリアン・ラソ 10年ぶり最強タッグ復活!

2014年作『Devil's Tale』での世界的な成功をを経て、ルーマニアのブラスバンド、ファンファーレ・チョカルリア(Fanfare Ciocărlia)と、カナダのギター/バンジョー奏者エイドリアン・ラソ(Adrian Raso)が再びタッグを組んだ。彼らの新作『The Devil Rides Again』にはオリジナル8曲とカヴァー3曲を収録。爆発的なバルカンブラスと、ロカビリーやマヌーシュ・ジャズを融合したまさに“悪魔的な”サウンドで、世界を再び酔狂させる。

  • 2025-05-03
  • 2025-05-03

国境を越える“音楽の密売人”、フランスの鬼才ダヴィド・オーベイル『Trafiquants』

国境を越えあらゆる音楽を吸収するフランスの鬼才ピアニスト/フルート奏者/作曲家ダヴィド・オーべイル(David Aubaile)。彼がカナダ出身のベース奏者クリス・ジェニングス(Chris Jennings)と、アルジェリア出身のドラムス奏者カリム・ジアド(Karim Ziad)と組んだ2024年作『Trafiquants』が最高に面白い。

  • 2025-02-22
  • 2025-02-22

多文化共生のカナダ・トロントJAZZシーンを象徴する最強ピアノトリオ! Jeremy Ledbetter Trio

カナダ・トロントを拠点とするピアニスト/作曲家ジェレミー・レッドベター(Jeremy Ledbetter)率いるピアノトリオの2024年新譜『Gravity』。スナーキー・パピー(Snarky Puppy)のドラマーとして知られるラーネル・ルイス(Larnell Lewis)と、スティーヴ・コールマン(Steve Coleman)との活動で知られるベーシストのリッチ・ブラウン(Rich Brown)とのトリオで、2018年のデビュー作『Got a Light?』以来の新作だ。

  • 2025-02-21
  • 2025-02-22

驚異的なジャズ・スティールパンに胸踊る大傑作。巨匠E.パスコアールも参加するCaneFire大傑作

カナダ生まれの鍵盤奏者/作曲家のジェレミー・レッドベター(Jeremy Ledbetter)が、トリニダード・トバゴや中南米諸国での長期滞在を経てカナダに戻り結成した超絶ラテンジャズバンド、ケインファイア(CaneFire)が最高に面白い。2005年にデビュー作『Kaiso Blue』、2010年に2nd『Pandemonium』をリリースしており、いずれもクリエイティヴなエネルギーに満ちた最高の音楽だが、今回は2ndアルバムに焦点を当てて紹介したい。

  • 2024-12-28
  • 2024-12-21

Música Terra が選ぶ 2024年ベストアルバムTOP10【DJ mitsu編】

好き1Música Terra(ムジカテーハ)ライターDJ mitsuが選ぶ2024年のベストアルバム。基本、当サイトで紹介してきたもの中心ではありますが、取り上げきれなかった作品もここではPick Up。今年はあれこれ聴き漁るというよりは気に入った […]

  • 2024-12-26
  • 2024-12-25

カナダを代表するピアニスト、リニー・ロスネスは新作でブラジル音楽への深い愛情を結実させた

カナダを代表する女性ジャズ・ピアニストのリニー・ロスネス(Renee Rosnes)の2024年の新作『Crossing Paths』は、彼女のブラジル音楽への強い愛が存分に注がれた一枚だ。エグベルト・ジスモンチ(Egberto Gismonti)やエドゥ・ロボ(Edu Lobo)、アントニオ・カルロス・ジョビン(Antonio Carlos Jobim)、ジョイス・モレーノ(Joyce Moreno)といったブラジルの偉大な芸術家たちの作品を9曲選び、曲によってはゲスト・ヴォーカリストとして作家自身(!)を迎え、本格的なブラジリアン・ジャズを披露している。

  • 2024-12-17
  • 2024-12-16

洋の東西からアンダルシアに流れ着き、そこで混ざり合った音楽の現在地。メロン・ヒメネス『Confluencias』

デュオとしてのデビュー作『Rosa de los Vientos』(2022年)が話題となったギタリストのメロン・ヒメネス(Melón Jiménez)とバンスリ奏者ララ・ウォン(Lala Wong)の異色デュオによる新譜『Confluencias』がリリースされた。名義はメロン・ヒメネス単独だが、実質はララ・ウォンとの双頭作品で、今作ではエレクトロニックの要素もほどほどに加えた魅力的なエスニック・フラメンコが展開される。

  • 2024-08-27
  • 2024-08-27

古今東西の詩人たちにインスパイアされた究極的スピリチュアル・フォーク。ルカ・クプロフスキー新作

カナダのシンガーソングライター、ルカ・クプロフスキー(Luka Kuplowsky)による、江戸時代後期の禅僧/詩人・良寛(Ryōkan Taigu, 1758 - 1831)をはじめとした世界各地の詩人たちにインスパイアされた新作『How Can I Possibly Sleep When There is Music』。ザ・リョウカン・バンド(The Ryōkan Band)と名付けられたバンドによる静謐で哲学を感じさせるバンドサウンドと、ルカ・クプロフスキーと女性歌手フェリシティ・ウィリアムス(Felicity Williams)による男女ヴォーカルが詩的な世界へと連れていってくれる素晴らしい作品だ。