- 2026-05-21
- 2026-05-20
ピアノトリオ+弦楽四重奏&歌で切り拓く新世代の音楽。ギリシャ発、マルコス・ハイデメノス新譜
ギリシャのジャズピアニスト/作曲家、マルコス・ハイデメノス(Markos Chaidemenos)の2026年新譜『Light Beam』は、ピアノトリオを軸に据えつつ、弦楽四重奏と女性ヴォーカルを加えた野心的な作品だ。
ギリシャのジャズピアニスト/作曲家、マルコス・ハイデメノス(Markos Chaidemenos)の2026年新譜『Light Beam』は、ピアノトリオを軸に据えつつ、弦楽四重奏と女性ヴォーカルを加えた野心的な作品だ。
現代ジャズを代表するピアノトリオ、シャローシュ(Shalosh)の2026年新作『What We Are Made Of』がリリースされた。オリジナルのほか、ロックやポップスからの大胆なカヴァーも収録。凝ったアレンジとダイナミックな演奏で、万人が楽しめるアルバムとなっている。
イスラエル出身のドラマー、ジヴ・ラヴィッツ(Ziv Ravitz)と、フランス出身のクリストフ・パンザニ(Christophe Panzani)のデュオによる『Warp & Weft』は、おそらく2026年屈指のジャズの名作だ。まるでそのテイクの少なさや、スタジオをレンタルした時間の短さで競うかのように、短期間のセッションでテーマと即興演奏を主体に録音されることの多いジャズという分野の、しかもデュオとしては間違いなく異例の、2年間という制作期間を経て誕生したアルバムは、タイトル「経糸と緯糸」という言葉が喚起するイメージの期待を裏切らない、素晴らしい芸術だ。
「静謐」と「強烈」、この一見相反するとも思える言葉が最も当てはまるというのが、スウェーデン出身のピアニスト、ヨエル・リュサリデス(Joel Lyssarides)への世間の評価らしい。私は彼の過去作について“まるで冬の冷たく引き締まった空気のように端正な音。クラシック音楽からの影響の強いジャズで、思慮深く紡いでいく絶妙なハーモニーは深呼吸したくなるほどの澄んだ美しさ”と評したが、なるほど、静謐なだけでなく「強烈」という言葉も言い得て妙だな、と2026年最新作『Late on Earth』を聴いて思った。
現生ジャズ・レジェンドのひとり、ビレリ・ラグレーン(Biréli Lagrène)。ジャンゴ・ラインハルト(Django Reinhardt, 1910 - 1953)の正統な後継者として幼少期より類稀な才能を示し、マヌーシュ・ジャズだけでなくフュージョンやジャズロックの分野でも活躍した彼の2026年の最新作『Elegant People』は、ジャズ・ギターの“原点回帰”であり、彼自身の根幹を形作る音楽表現を凝縮した作品だ。
リリースのたびに深く美しい抒情性で極上の安らぎを与えてくれる「Liberetto」が、5年ぶりの完全なる新作で再び戻ってきてくれた。アルバムタイトルは 『Liberetto V: Echomyr』、「echo」は音が響き渡る広大な空間を表し、「myr」は古ノルド語で“荒野”を意味する造語なのだという。いつものように、親しみやすさの奥に隠された複雑な構造の美しい楽曲を、単に卓越した技巧だけではない“心の込められた”演奏で聴かせてくれる彼らの心の奥底から湧き上がる情熱と魂によって奏でられた音で、その空間は満たされている。
アメリカ・テキサス州出身のエリトリア系トランペット奏者ハーモン・メハリ(Hermon Mehari)と、3人のフランス人音楽家──ピアニストのエンゾ・カルニエル(Enzo Carniel)、ベーシストのダミアン・ヴァライヨン(Damien Varaillon)、ドラマーのステファン・アズュアール(Stephane Adsuar)──によるカルテット、ナウ・ビューティ(NO(w) Beauty)による2枚目のアルバム『(un)Seen』。伝統的なジャズと、フランスらしい多文化がもたらす知的な音楽的探求が楽しい作品だ。
UKを代表するジャズトリオ、ママール・ハンズ(Mammal Hands)。新しいドラマーとして元ゴーゴー・ペンギン(GoGo Penguin)のロブ・ターナー(Rob Turner)が加わり、さらにレーベルをゴンドワナ・レコード(Gondwana Records)からアクト(ACT)に移しての最初のアルバム『Circadia』がリリースされた。タイトルは生物の約24時間周期のリズムである「サーカディアン・リズム(概日リズム)」に由来する造語で、循環や反復するリズムの上で自由な即興を繰り広げる彼らの音楽性を象徴している。
ドイツ出身のベーシスト/作曲家、マーティン・ウィンド(Martin Wind)が、ジャズの名手たちを集めたカルテットで語り合うように音を紡ぐアルバム『Stars』をリリースした。ピアノにケニー・バロン(Kenny Barron)、クラリネットにアナット・コーエン(Anat Cohen)、ドラムスにはマット・ウィルソン(Matt Wilson)というオールスター級のメンバーを揃え、音楽の悦びが静かに滲むようなインタープレイが素晴らしい作品となっている。
ベルギー出身のトロンボーン奏者/作曲家ネイサン・シュルカン(Nathan Surquin)の初リーダー作『Ambre』がリリースされた。オランダのサックス奏者ルーク・ファン・デン・ベルフ(Loek Van Den Berg)のアルバム『Seafarer』(2025年)で、サイドマンながら一際光る演奏を見せていた若きアーティストが自身の感性を思い切り出し切った、傑出した作品だ。
フランス・リヨンを拠点とするピアノトリオ、フェーン・トリオ(Foehn Trio)の4枚目のアルバム『Soleil de Minuit』がリリースされた。これまでの作品で、現代的なアコースティック・ピアノトリオとしてアヴィシャイ・コーエン(Avishai Cohen)などのイスラエルジャズに影響を受けたサウンドで強い印象を与えてきた彼らだが、今作ではその基盤を残しつつもエレクトロニックの比重が大幅に増加。さらにはエチオピア系フランス人シンガーのフルール・ウォルク(Fleur Worku)を3曲でフィーチュアするなど、新基軸を示す鮮烈な作品となっている。
エジプトとギリシャにルーツを持つハープ奏者、マリア=クリスティーナ・ハーパー(Maria-Christina Harper)率いるハーパー・トリオ(Harper Trio)の2ndアルバム『Dialogue of Thoughts』。前作に引き続きエレクトリック・アコースティック・ハープをサウンドの軸に置き、ジョセフィン・デイヴィス(Josephine Davies)のサックスと、エヴァン・ジェンキンス(Evan Jenkins)のドラムスによる注目の現代ジャズ作品だ。
ロンドンの気鋭ギタリスト、トム・オレンドルフ(Tom Ollendorff)の2025年作『Where in the World』が素晴らしい。米国のピアニスト、アーロン・パークス(Aaron Parks)をフィーチュアしたカルテット編成で、アルバム全編で歌心溢れる情緒豊かな楽曲と演奏で楽しませてくれる。
ポーランドの若手実力派ギタリスト、シモン・ミカ(Szymon Mika)がクインテットを率いてリリースした2025年新譜『Agma』。これまでの彼のソロやデュオの作品とは異なり外向的な雰囲気を醸す作品で、事前のリハーサルなしで2日間の録音に挑んだメンバーの相互作用による即興演奏の化学反応が大いに楽しめる優れた音楽だ。