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フランス

  • 2025-10-26
  • 2025-10-25

パリ流 “The Getdown” を体現。フランス最強のオルガン/ピアノ/ドラムスのトリオのデビュー作

フランス・ニーム出身の鍵盤奏者ローラン・クーロンドル(Laurent Coulondre)、フランス海外県グアドループ出身の打楽器奏者アーノウ・ドルメン(Arnaud Dolmen)、そして同じくフランス海外県マルティニーク出身のピアニストグレゴリー・プリヴァ(Grégory Privat)のトリオによるアルバム『The Getdown』。それぞれが輝かしい経歴を持ち、フランスの若手〜中堅の中でもトップクラスに世界的知名度を誇る3人による新たなジャズ。

  • 2025-10-22
  • 2025-10-22

アルメニア系ピアノ奏者アンドレ・マヌーキアン、国境なき地平を目指すオリエンタル・ジャズ新譜

前作『Anouch』(2022年)で、アルメニア人の記憶に深く刻まれたジェノサイドの悲劇の歴史を、その被害者であった祖母の体験を通して生々しく描き出し芸術的な音楽物語へと昇華させたフランスのピアニスト/作曲家アンドレ・マヌーキアン(André Manoukian)の新作『La Sultane』。ジャズ・ピアノトリオを中心とし、東洋のパーカッションやストリングスなども交え、国境のない地平を描き出してゆく。

  • 2025-10-19
  • 2025-10-22

フランスの天才作曲家Kadoschが贈る、あまりに完璧な多次元的音楽作品。『Pix’Elles Rhapsody』

全22曲、1時間9分の夢心地の音楽体験。これを名盤と言わずしてなんと言おうか…消滅の危機にある言語をテーマとした前作『Babeleyes』(2015年)がかのエグベルト・ジスモンチ(Egberto Gismonti)からも絶賛されたフランスの作曲家/ギタリスト/マルチメディア・サウンドエンジニア、カドーシュ(Kadosch)ことフィリップ・カドーシュ(Philippe Kadosch)の新作『Pix'Elles Rhapsody』。

  • 2025-10-15
  • 2025-10-10

95歳現役のベース革新者フランソワ・ラバト、世界を巡ったツアーにインスパイアされた新作

ダブルベースの奏法に革新をもたらしたフランスの伝説的なベーシスト、フランソワ・ラバト(François Rabbath, 1931 - )と、その息子であるピアニスト/作曲家/プロデューサーのシルヴァン・ラバト(Sylvain Rabbath, 1984 - )を中心としたプロジェクト、ラバト・エレクトリック・オーケストラ(Rabbath Electric Orchestra)のデビュー作『Amall』が素晴らしい。

  • 2025-09-28
  • 2025-09-28

混乱する現代社会の“解毒剤”。中東ルーツのジャズトリオ「L’Antidote」、デビュー作

いずれも中東にルーツを持ち、音楽家としてヨーロッパで成功を収めた3人──イラン系フランス人の打楽器奏者ビジャン・チェミラニ(Bijan Chemirani)、アルバニア生まれで戦火を逃れイタリアに来たチェロ奏者レディ・ハサ(Redi Hasa)、そしてレバノン出身でやはり内戦から逃れてフランスに移住したピアニストのラミ・カリフェ(Rami Khalife)──。伝統音楽、ジャズ、クラシック、エレクトロなどそれぞれ専門分野は微妙に違えども、音楽的にも文化的にも重なる部分も多い彼らが初めてトリオを組み、“奇跡的”とすら形容したくなるほどに神秘的で感情を揺さぶられる音楽を生み出した。

  • 2025-09-10
  • 2025-08-31

日本やアジアの文化を敬愛する南仏発レミ・パノシアン・トリオ、「八」をテーマにしたポップ・ジャズ

フランス初の国際的ポップ・ジャズ・トリオ、レミ・パノシアン・トリオ(Rémi Panossian Trio)の通算8枚目のアルバム『88888888』のテーマは、無限の象徴であり、東アジアの風水文化でもっとも縁起の良い数字とされる「8」をタイトルに冠し、とりわけ東アジアの文化への敬意をユーモラスに表す。シンプルなピアノトリオ編成ながら、楽曲や演奏は豊かな色彩感覚があり、技巧面でも超絶的なジャズでありながら絶妙にキャッチーでポップだ。

  • 2025-09-06
  • 2025-09-06

アウトサイダー・ジャズ daoud、「ok」という言葉の裏に潜む不安や葛藤を描いたメジャーデビュー作

長年作曲家やサイドマンとして音楽の舞台裏で活動してきたトランペッター、ダウド(daoud)。この少しやさぐれた雰囲気を持つ魅力的な芸術家は2024年にアルバム『GOOD BOY』でデビューし、その刺激的で反骨精神に溢れた音楽は大いに注目され、TSF Jazz誌によって年間最優秀アルバムの一つに選ばれるなど成功を収めた。そんな彼が、ドイツの名門レーベルであるACTに移籍し、早くも2作目のアルバム『ok』をリリースした。

  • 2025-09-05
  • 2025-09-05

共産趣味とバルカン音楽/ヒップホップの謎融合! フランスの人気デュオ Soviet Suprem『Made in China』

ソビエト連邦が冷戦に勝利した世界線、という設定で社会風刺と皮肉に満ちた歌を歌うフランスのバルカン・ヒップホップ・ユニット、ソヴィエ・シュプレム(Soviet Suprem)。政治的メッセージを伝えつつも直接的な政治的立場を曖昧にする彼らの音楽は共産主義、資本主義、グローバル化、権力構造、ウォーキズムなど多様なテーマを扱うが、これらを真剣に擁護または批判するのではなく、誇張とユーモアで皮肉るスタイルを常に貫いていてきた。これまでも多方面から怒られそうな作品で物議を醸してきた彼らの3枚目のアルバムとなる『Made in China』は、その名の通り古来よりアジアの覇者として世界に影響を及ぼす中国やその周辺国へのある種の“ラブレター”だ。

  • 2025-08-22
  • 2025-08-22

「22」の数字に導かれたカリビアン・ジャズ傑作。ジャック・シュワルツ=バール&グレゴリー・プリヴァ

偶然か必然か、「22」という数字に導かれたアンティル諸島生まれの二人の音楽家による素敵な音の語らいである。ともに12月22日生まれ、歳の差は22歳、そして初めて出会ってから22年の節目となるサックス奏者のジャック・シュワルツ=バール(Jacques Schwarz-Bart)と、ピアニストのグレゴリー・プリヴァ(Grégory Privat)の初デュオ作『22』。

  • 2025-08-17
  • 2025-08-17

カテゴライズ不能な多文化共生バンド、ラゴン・ンワール。果てなき可能性が開花したデビュー作

2023年にフランスで結成され、“カテゴライズ不可能”と評される独特の音楽性が魅力の4人組、ラゴン・ンワール(Lagon Nwar)のデビュー・アルバム『Lagon Nwar』が面白い。バンド名はフランス語で「黒いラグーン」を意味し、これは異なる文化的背景が交錯する“中間地点”を象徴。メンバーそれぞれのルーツ(フランス海外県レユニオン、ブルキナファソの首都ワガドゥグー、そしてフランス国内のパリ、オルレアン)の交差を表現している。

  • 2025-07-27
  • 2025-07-26

レバノンからパリに亡命したマルチ芸術家タニア・サレー、抑制された表現で伝える不安と希望

レバノンを代表する歌手、タニア・サレー(Tania Saleh)は母国の様々な状況(彼女はそれを“一連の不幸な出来事”と呼ぶ)から、ついに祖国を離れる選択をし、2022年にフランス・パリに移住した。彼女の最新作『Fragile』は、スーツケースに貼られた“壊れやすい”を表すその言葉の通り、故郷を離れることによる心理的な重荷や、亡命者が抱く根無し草のような感覚をテーマに作られている。

  • 2025-07-21
  • 2025-07-21

シカゴ出身、マルセイユで文化の多様性を吸収したロブ・クリアフィールド、初のリーダー作

マカヤ・マクレイヴン(Makaya McCraven)のバンドでの活躍などで知られるピアニスト/作曲家のロブ・クリアフィールド(Rob Clearfield)による初のリーダー作『Voice in the Wilderness』。ピアノトリオを中心に、いくつかの曲ではトランペット奏者イタマール・ボロホフ(Itamar Borochov)も参加し、オーセンティックなスタイルから、クラシックの影響を受けたヨーロピアンな雰囲気を持つ演奏まで、幅広いジャズを聴かせてくれる好盤だ。

  • 2025-07-18
  • 2025-07-18

コラ、チェロ、ソプラノサックス、アコーディオンによる異文化の美しい調和。『Sou Kora』

前作『Les Égarés』が深い感動を呼んだカルテットによる新作『Sou Kora』がリリースされた。コラ、チェロ、サックス、アコーディオンというユニークな四重奏をさらに深める試みで、アフリカやヨーロッパの伝統音楽、室内楽、ジャズといった要素を融合した美しい響きを堪能できる作品だ。

  • 2025-07-06
  • 2025-07-06

急速に変化する現代社会を問う、鬼才ギター奏者ピエール・ペルショーの新譜『不滅の花』

フランスの現代ジャズシーンで活躍するギタリスト/作曲家、ピエール・ペルショー(Pierre Perchaud)が7年ぶりのリーダー作となる『Fleur d'immortelle』をリリースした。ダンサブルなリズムに、エレクトリック・ギターやシンセをフィーチュアした(1)「Go on」から、随所に前衛的な表現を交えたサウンドが刺激的な好盤となっている。