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ヴォーカル

  • 2025-05-10
  • 2025-05-10

忘れられた異端児セルジオ・サンパイオの物語と、フェリピ・ヂ・オリヴェイラが新作『Velho Bandido』で受け継ぐ反骨精神

優れた音楽を発表しながら、商業的に成功せず“異端”(maldito)と呼ばれたセルジオ・サンパイオ(Sérgio Sampaio, 1947 - 1994)への再評価の機運が高まっている。フェリピ・ヂ・オリヴェイラ(Felipe De Oliveira)の新譜『Velho Bandido』もまた、セルジオ・サンパイオへのトリビュートだ。ロックは、サンバの精神は“死んだ”のか?本作は、その答えを探る問題作だ。

  • 2025-05-05
  • 2025-05-06

【追悼】ナナ・カイミ ─ 84年の生涯の84曲

ブラジル音楽史において最も秀でた表現力/歌唱力のある歌手の1人として讃えられてきた女性歌手のナナ・カイミ(Nana Caymmi)が、2025年5月1日に亡くなりました。この「ナナ・カイミ ─ 84年の生涯の84曲」はその記事を補完し合いつつ、ナナ・カイミの遺した作品の永遠の輝きを、実際に聴きながら一緒に感じたいと言う気持ちで用意しました。

  • 2025-04-25
  • 2025-04-25

アンゴラ・センバの伝道師パウロ・フローレス。愛と苦難、希望と文化を美しく歌う集大成的新譜

アンゴラのセンバの巨匠、パウロ・フローレス(Paulo Flores)が新作『CANÇÕES QUE FIZ PRA QUEM ME AMA』をリリースした。今作はアンゴラを象徴する音楽家として37年のキャリアを誇る彼の集大成的な作品で、祝祭的なエネルギーに満ち、ポジティヴな印象を受ける仕上がりだ。

  • 2025-04-12
  • 2025-04-12

音楽的不綺語を体現するアルゼンチンの19歳女性トリオ・TRÍADA。デビューEPで見せた原石の輝き

アルゼンチンの19歳の女性3人によるアコースティック・ポップ/ボサノヴァのトリオ、トリアーダ(TRÍADA)が話題となっている。いずれもカヴァー曲で構成されたデビューEP『De Versiones y Alma』は6曲収録・計14分と短いものの、その選曲のセンスの良さ、ヴォーカルとコーラス、ガットギターとパーカッションを中心とした穏やかで程よい緩さが心地よく、多くのリスナーをこの若いトリオの世界観に惹き込むだろう。

  • 2025-04-06
  • 2025-04-06

カタルーニャを代表する歌手とギタリストによる“シンプルで、最高に贅沢な”アルバム

カタルーニャを代表するシンガー、ジュディット・ネッデルマン(Judit Neddermann)と、これまでも彼女の作品にプロデュースや演奏で関わってきたギタリストのパウ・フィゲレス(Pau Figueres)による初の相当名義のアルバム『Judit Neddermann & Pau Figueres』。おそらくは現在のカタルーニャの音楽シーンにおいて感性、テクニックともにもっとも優れた音楽家の二人による、“シンプルで、最高に贅沢な”作品だ。

  • 2025-04-05
  • 2025-04-05

サイケロック、フレーヴォ、マラカトゥが交叉するフライラ・フェホ新譜『過激な愛情』

ブラジル北東部レシーフェ出身のSSW、フライラ・フェホ(Flaira Ferro)の新作『Afeto Radical』。当サイトが2023年のベスト・アルバムに挙げたクララ・コエーリョ(Clara Coelho)とのデュオでたおやかな感性が発揮された『Áua』と比較すると、より彼女の音楽的なルーツであるレシーフェに根付く豊かな音楽文化が反映された作品となっている。

  • 2025-04-04
  • 2025-04-04

ペルナンブーコの詩人イゴール・ヂ・カルヴァーリョ新譜、“自己非発見”を巡る哲学的サイケロック

ブラジル・ペルナンブーコ出身のSSW、イゴール・ヂ・カルヴァーリョ(Igor de Carvalho)の3枚目のスタジオアルバム『O Melhor Lugar da Praia』。アルバムはグスタヴォ・ルイス(Gustavo Ruiz)がプロデュースし、その姉であるトゥリッパ・ルイス(Tulipa Ruiz)や、カエターノ・ヴェローゾの息子モレーノ・ヴェローゾ(Moreno Veloso)、歌手ナ・オゼッチ(Ná Ozzetti)、鍵盤奏者ベンジャミン・タウブキン(Benjamim Taubkin)らブラジルを代表する幅広い世代の音楽家たちが参加。エレクトロニックも駆使しながらトロピカリアの系譜から繋がる現代感覚のサイケロック/ロマンティック・ポップを展開する。

  • 2025-03-23
  • 2025-03-23

アメリカの燻銀アンサンブル Conjunto Berretin、タンゴの深淵を覗かせる新譜『La Mariposa』

アメリカ合衆国オレゴン州ポートランドを拠点に20年以上活動するタンゴ・アンサンブル、コンフント・ベレティン(Conjunto Berretin)の2025年新譜『La Mariposa』は、伝統的なアルゼンチン・タンゴを軸に、ジャズやクラシックの音楽的な要素が絶妙にブレンドされたなんとも魅力的な作品だ。

  • 2025-03-22
  • 2025-03-22

バルセロナの“今”を体現する女性6人組バンド Maruja Limón、虚飾に満ちた世界へ突きつける新作

スペイン・バルセロナの女性6人組バンド、マルハ・リモン(Maruja Limón)の新作『Te Como la Cara』。今作は2024年の3月と10月にリリースされた2枚のEP『Te como la cara (A)』『Te como la cara (B)』を統合した完全版という位置付けで、ルンバ・カタルーニャやフラメンコを基調としながらヒップホップやキンキ1文化を取り入れた所謂“バルセロナ・ミクスチャー2”の系譜に連なるアルバムとなっている。

  • 2025-03-20
  • 2025-03-20

サンパウロ南部のDJ文化に導かれた人気ミクスチャーバンド、Sandália de Prata 7年振りの新譜

20年以上のキャリアをもつサンパウロのバンド、サンダリア・ヂ・プラタ(Sandália de Prata)の約7年ぶりの新作『Uli Costa e Sandália de Prata』は、ブラジリアン・ファンクのエネルギーが充満した、聴いていて無条件に楽しくなってしまう最高の音楽だ。収録の8曲にはサンバ、ヒップホップ、アフロビート、ジャズ、ファンク、ソウル、ダブといった多様な音楽要素が織り交ぜられ、丁寧にアレンジされたブラスや打楽器隊の賑やかなサウンドが彩り、非常にブラジルらしく個性的な仕上がり。

  • 2025-03-15
  • 2025-03-15

パリのメトロから世界へ。誇り高き南仏の社会派ミクスチャーバンド、Zoufris Maracas 達観の新譜

フランスの社会派ミクスチャーバンド、ズーフリ・マラカス(Zoufris Maracas)の4枚目のスタジオ・アルバム『La course folle』。アルバムはコロンビアとフランスで録音され、アフロキューバン、カーボベルデ、マヌーシュジャズなど多様な音楽的要素を取り込み、日常の葛藤や自由への渇望をユーモラスかつ鋭い表現で歌っている。

  • 2025-03-11
  • 2025-03-11

台湾原住民SSWタイ・シャオチュン(戴曉君)、パイワン語で歌う未来志向のルーツ・ミュージック

台湾原住民であるパイワン族出身のシンガーソングライター、タイ・シャオチュン(戴曉君, Sauljaljui)『VAIVAIK 尋走』。アルバム名はパイワン語で「旅立つこと」を意味し、彼女の音楽的探求と自己発見の旅を象徴するアルバムで、パイワン族の伝統音楽と世界各地のリズムや楽器を巧みに交えた洗練されたサウンドの中に、どこか懐かしい感覚を想起させる優れた作品だ。