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ヴォーカル

  • 2024-03-15
  • 2024-03-15

南米と北欧が交叉する、どこかノスタルジックな大傑作。ハファエル・ジメネス新譜

ブラジル出身、デンマーク在住の男性SSWハファエル・ジメネス(Raphael Gimenes)の2024年新譜『DINAMARCA』は、ここ数年でもっとも美しい音楽作品のひとつだ。2016年作『As Montanhas de Som』や2021年作『A Tongue Full of Suns』などリリースの度にファンを驚かせ楽しませてきた彼が、またしても10年に一度の最高のアルバムを作り上げた。

  • 2024-03-14
  • 2024-03-11

ソプラノ歌手マリアナ・フローレスが歌う古き良きアルゼンチン音楽集『Alfonsina』

アルゼンチン出身のソプラノ歌手マリアナ・フローレス(Mariana Flores)が、同じくアルゼンチンのマルチ奏者キト・ガト(Quito Gato)との共同プロジェクトでアルゼンチン音楽集『Alfonsina: Canciones Argentinas』をリリースした。(1)「Alfonsina y el Mar」や(10)「Dorotea, la Cautiva」などの名曲をシンプルかつ豊かな伴奏と美しいヴォーカルで聴かせる好盤だ。

  • 2024-03-10
  • 2024-03-10

才媛J. ラモッタ すずめ、テルアビブでの幼少期の想い出にインスパイアされた傑作新譜『אסולין』

モロッコ系イスラエル人SSWのJ. ラモッタ すずめが、7枚目となるアルバム『Asulin』(ヘブライ語表記:אסולין)をリリースした。2022年作『So I’ve heard』以来積極的に母国語の歌をリリースする彼女だが、今作も全編ヘブライ語でサウンド面でも中東音楽の影響が強くなっている。

  • 2024-03-09
  • 2024-03-09

ジャンルの概念を溶かす、インド系移民SSWシェヘラザードの衝撃的デビュー作『Qasr』

また、とんでもないアーティストが現れた。インド系移民2世として米国で生まれ育ったシンガーソングライター、シェへラザード(Sheherazaad)。近年大ブレイクしたパキスタン出身のSSWアルージ・アフタブ(Arooj Aftab)がプロデュースしたデビュー作『Qasr』は、音楽が従来のジャンルという概念ではなく、その人自身のパーソナルに大きく依存する時代を象徴するような素晴らしい仕上がりだ。

  • 2024-03-03
  • 2024-03-03

より深みを増すCaravan Palace、5年ぶり新譜で提示するエレクトロスウィングの新機軸

2000年代以降、“エレクトロスウィング”のムーヴメントを牽引してきたフランスのバンド、キャラヴァン・パレス(Caravan Palace)待望の新譜だ。2019年の前作『Chronologic』から5年の時を経てリリースされた『Gangbusters Melody Club』は、所謂王道のエレクトロスウィングと、前作で提示して見せたそれに留まらない彼らの新機軸が融合。丁寧に作り込まれたサウンドで新旧のファンに訴求する仕上がりとなっている。

  • 2024-02-25
  • 2024-02-25

バーデン・パウエルの“アフロ・ブラジレイロ性”を取り戻す試み。Glaw Nader『Tempo de Amor』

ブラジル・ミナスジェライス州ベロオリゾンチの歌手グラウ・ナデル(Glaw Nader)がデビューアルバム『Tempo de Amor』をリリースした。アフロ・ブレジレイロ(アフリカ系ブラジル人)の音楽や文化とジャズの相互作用を研究する彼女が、このアルバムで選んだテーマは黒人音楽家としてのバーデン・パウエルの再解釈だ。

  • 2024-02-24
  • 2024-02-22

多彩な表現力を持つ圧倒的な“声”。SSWドミニク・フィス=エメ新譜『Our Roots Run Deep』

声を中心に、思慮深く言葉を重ねていく印象的なR&Bだ。カナダ・モントリオールのシンガーソングライター、ドミニク・フィス=エメ(Dominique Fils-Aime)の2023年新譜『Our Roots Run Deep』。“私たちは地中深くに根差している”に始まる(1)「Our Roots Run Deep」から、“太陽まで登らせて”と歌う(13)「Feeling Like A Plant」まで、余計なものを注意深く削ぎ落としたサウンドをバックに彼女の物語を表現。有機的な流れはある種の必然性を持ち、リスナーをその映画のような物語の中に引き入れていく。

  • 2024-02-20
  • 2024-02-19

人気サンビスタ・ソンブリーニャ、早逝の社会派SSWゴンザギーニャへのトリビュート作

人気パゴーヂ・バンド、フンド・ヂ・キンタウ(Fundo de Quintal)の初期メンバーのひとりであり、絶大な人気を誇る歌手/作曲家/弦楽器奏者ソンブリーニャ(Sombrinha)の新譜『Viver Gonzaguinha』は、その名の通りブラジル音楽を代表するSSWゴンザギーニャ(Gonzaguinha, 1945 - 1991)への愛情溢れるトリビュート作品だ。

  • 2024-02-16
  • 2024-02-15

静謐、だが人間のもっとも深層の情熱を感じさせる傑作。カタルーニャのSSWカロリーナ・アラバウ新譜

カタルーニャのシンガーソングライター、カロリーナ・アラバウ(Carolina Alabau)の第3作目となる『Una Frase Imaginada』。プロデューサー/ギタリストのハビエル・リモン(Javier Limón)と共同作業で作り出したこの傑作は、複雑すぎる社会の中で生きていく彼女の不安が、その繊細な表現を通じて霧のように目の前に存在しているような不思議な感覚を抱かせる。

  • 2024-02-12
  • 2024-02-12

コンビに乗り世界を旅する国境なきバンド「Čao Laru」。音楽的ルーツ“ミナス”をテーマにした新譜

2015年にブラジル系フランス人たちによって結成された旅とともにあるバンド、チャオ・ラルー(Čao Laru)。彼らは新作『Minas』で、自身たちのルーツであるブラジル音楽により深く潜り込んだ。街角クラブ(Clube da Esquina)からグラヴェオーラ(Graveola)までミナス・ジェライスの音楽をこよなく愛する彼らは、ブラジルから多くのゲスト・ミュージシャンを彼らの“コンビ”に招き、4枚目のアルバムを完成させた。

  • 2024-02-11
  • 2024-02-11

アンドレア・モティスがチリの室内楽団と奏でる、ラテンアメリカの幸せな“2月”の歌たち

カタルーニャの歌手/トランペット奏者アンドレア・モティス(Andrea Motis)が、南米チリの室内楽団カメラータ・パパゲーノ(Camerata Papageno)と録音した新譜『Febrero』がリリースされた。タイトルは「2月」の意味だが、北半球の寒い2月ではなく、南米の暑い夏を祝う意が込められている。毎年のようにチリを訪れているアンドレア・モティスにとって、2月とは“喜び、カーニバル、友情、花、太陽、光、熱の象徴”なのだという。

  • 2024-02-10
  • 2024-02-10

現代最高峰のクレオール・ジャズ。グレゴリー・プリヴァ、不死鳥の伝説にインスパイアされた新作

並外れたジャズピアニストであり、カリブ海のクレオール文化の伝道師でもあるグレゴリー・プリヴァ(Grégory Privat)。現代ジャズのシーンにおいても唯一無二の存在感を発揮する彼の新作『Phoenix』は、彼の音楽的創造性の集大成であり、おそらくはキャリアハイの作品なのではないだろうか。