- 2026-08-12
- 2026-08-02
スウェーデンのSSWスミエ・ナガノ 病を経て命と向き合った、儚げな北欧フォーク作『Stardust In Valleys』
スウェーデンのシンガーソングライター、スミエ(Sumie、本名サンドラ・スミエ・ナガノ)の9年ぶりとなるアルバム『Stardust In Valleys』は、ギターと声を中心としたシンプルなサウンドによって、驚くほど豊かな感情を包み込んだ優れた北欧フォーク作品だ。
スウェーデンのシンガーソングライター、スミエ(Sumie、本名サンドラ・スミエ・ナガノ)の9年ぶりとなるアルバム『Stardust In Valleys』は、ギターと声を中心としたシンプルなサウンドによって、驚くほど豊かな感情を包み込んだ優れた北欧フォーク作品だ。
2019年に中国・上海で結成され、数々のシングルヒットで注目されていたモロッコ出身の男女デュオ、サラ&イスマイル(Sarah & Ismael)が、初のフルレンス・アルバムとなる『MANGA』をリリースした。モロッコのローカルな音楽性を基盤としつつ、ポップスやロック、ソウル、さらには中国などアジアを感じさせる音像も交えた、とてもクオリティの高い作品だ。
ブラジルの音楽についてある程度の知見をお持ちの方なら、シコ・ブアルキ(Chico Buarque, 1944 - )が同国史上最高のシンガーソングライターの一人であるという意見に疑問の余地はないだろう。1960年代から優れた作曲と詩と歌によって音楽の第一線で活躍し、さらに小説家や劇作家としても成功。とりわけ1964年から1985年まで続いたブラジル軍事独裁政権への抵抗の象徴として、近年のブラジルの文化の形成に大きな影響を与えた人物だ。本稿で紹介するグループ、エスカファンドリスタス(Escafandristas)の4人も、それぞれが幼少期からごく自然にシコ・ブアルキの音楽に触れながら育ってきたという。
米国ロサンゼルスを拠点に活動するインド系のヴォーカリスト/作曲家/マルチ器楽奏者シャラダ・シャシダール(Sharada Shashidhar)は、現代の西海岸のジャズシーンでも一際異彩を放つ存在だ。スピリチュアルなバンドサウンドを中心とした前作『Soft Echoes』(2023年)からより深化し、エレクトロの比重を増しつつ更なる内面性を志向するような新作『A Foot on the Ground』で、彼女は“何を奏でるか”より、“どのような心で音を生み出すか”を自問自答する。
西アフリカ、マリの伝統的なグリオの家系に生まれたシンガー、マー・ダンバ(Mah Damba)の2026年新作『Taabolo Koura』。「声を中心に据える」という古来からのグリオ音楽の美学を徹底したアルバムとなっており、アコースティック・ギターやアコーディオン、さらにはンゴニ、カラバシュといった伝統楽器を用いた極上のアコースティック編成に乗る彼女の力強くも温かい歌が強く印象に残る作品だ。
ブラジルを代表するシンガーソングライターのイヴァン・リンス(Ivan Lins)の新作『Sambadouro』が2026年7月24日にリリースされた。イヴァン・リンスといえば、自身で鍵盤を弾きながら歌う、めちゃめちゃ個性的かつお洒落なAORあるいはジャズ寄りのMPBという印象が強いが、今作では彼自身の長年の念願であったという「サンバ」に全振りしたサウンドで、リラックスしながらも情熱的な演奏を届けてくれた。
インドネシアの首都ジャカルタの貧しい家庭に生まれ、ジャズ・シンガーとしての道を歩み、現在はカンボジアを拠点に活動するインタン・アンドリアナ(Intan Andriana)が、初のアルバムとなる『My Life in Jazz』をリリースした。音楽性はオーソドックスなジャズのスタイルを基本としつつ、マヌーシュ・スウィングなどの要素も加える。アルバムにはオリジナル曲に加え、インドネシアの名曲(5)「Bengawan Solo」なども取り上げるなど、インドネシアとカンボジアという二つの文化的ルーツを結ぶ象徴的な内容に仕上げている。
2020年代ブラジル・インディーを代表する二人の気鋭シンガーソングライター、ソフィア・シャブラウ(Sophia Chablau)とフェリピ・ヴァケイロ(Felipe Vaqueiro)が出会い意気投合、2025年10月にリリースしたアルバム『Handycam』。MPBやトロピカリアに通ずるサイケロックを基調に、親密で文学的なソングライティングによって恋愛や友情といった身近な感情から、戦争やメディアのあり方までを描いた、要注目の作品となっている。
カーボベルデの伝統的な舞踏音楽フナナーを代表するバンドであり、結成30周年を迎えるフェーロ・ガイタ(Ferro Gaita)が、約8年ぶりとなる新作アルバム『Tokador DI Gaita』をリリースした。結成当初から今も変わらないフェーロ(リズムを刻む鉄製のスクレイパー)とガイタ(ダイアトニック・アコーディオン)をサウンドの中心に据え、疾走感のある歌を歌う彼らの魅力は健在。2026年FIFA W杯での大躍進で世界から注目を浴びたカーボベルデが誇る、ひとつの文化の象徴としても注目したい作品だ。
ブラジル出身のベーシスト/ギタリスト/シンガーソングライターのムニール・ホッスン(Munir Hossn)の音楽には、いつも陽のように優しい暖かさがあり、希望と悦びの感情に満ちている。そしてその音楽は、スタジオ録音よりも、ライヴでより一層輝きを増すみたいだ。
フランスの人気ピアノトリオ、EYM Trio はこれまで世界中をツアーする合間に、訪れた街の街角で、海辺で、廃墟で、ときには火山の火口付近で、「ノマド・セッション」と彼らが呼ぶ屋外セッションを繰り広げてきた。2019年から続けられてきたこのプロジェクトの動画は、2026年7月現在で13本あり、それらはYouTubeの彼らの公式チャンネルで観ることができる。2026年7月にデジタル・リリースされた彼らの新作『NOMAD SESSIONS』は、そのノマド・セッションの集大成的なアルバムだ。
ビョーク(Björk)がポルトガル語で歌い上げた、ミルトン・ナシメントの大名曲「Travessia(トラヴェシーア)」。録音には、オリジナルの「Travessia」のアレンジにも関わったエウミール・デオダートも参加している。 エイズ撲滅支援の世界的プロジェクト『Red Hot + Rio』のために録音されながらも、結果的に公式リリースを見送られ、「幻の音源」となってしまった。当時の報道では、ビョークがこの仕上がりを気に入り、自身の新作のために取っておきたいと考えたためだと伝えられている。だが、その後の公式アルバムにも収録されず、現在知られている音源は、のちに一部の非公式コンピレーション(『Icelandic Mysteries』など)に収録された音源だ。現在のところ、正規のディスコグラフィーには残らない「アウトテイク」となってしまっている。
クラシック音楽の高度な素養とポップ・ミュージックの表現力を兼ね備えた、東南アジア屈指の音楽家として知られるインドネシア出身のSSW/ピアニスト、イシャナ・サラスヴァティ(Isyana Sarasvati)が通算5枚目となるアルバム『EKLEKTIKO』をリリースした。クラシック、プログレ、ロック、ソウル、R&Bといった幅広い経験から繰り広げられる、非常にクオリティの高い作品だ。
「AWDA(عودة)」とは、アラビア語で「帰還」を意味する。 だが、パレスチナ系ヨルダン人シンガー、ゼイン(Zeyne)のデビュー・アルバム『AWDA』が描く「帰還」は、単に故郷へ戻ることだけではない。自分自身を見失った先で、もう一度「本来の私」を取り戻すこと──その精神的な旅路こそが、この作品の核となっている。