- 2024-05-17
- 2024-05-17
セルビアを代表するベーシスト、ネナド・ヴァシリッチによる至上のバルカン・ジャズ
セルビアのベーシスト/作曲家、ネナド・ヴァシリッチ(Nenad Vasilic)が旧ユーゴスラビアを中心とした14名ものミュージシャンたちと作り上げた『Bass & Strings』は、バラエティ豊かなバルカン・ジャズを楽しめる傑出したアルバムだ。
セルビアのベーシスト/作曲家、ネナド・ヴァシリッチ(Nenad Vasilic)が旧ユーゴスラビアを中心とした14名ものミュージシャンたちと作り上げた『Bass & Strings』は、バラエティ豊かなバルカン・ジャズを楽しめる傑出したアルバムだ。
セルビア・ベオグラード発、“エスノ・ノイズ”を標榜するレンハルト・テイプス(Lenhart Tapes)の2ndアルバム『Dens』。バルカン半島の音楽の再構築を掲げ、ループするサイケデリックなリズムとエスノ・フォークな女性ヴォーカルが強い残り香を残す作品だ。
新型コロナによって世界中の音楽家がツアーの中止を余儀なくされた数年間の膨大な時間は、旧ユーゴスラビアでもっとも著名な音楽家の一人であるゴラン・ブレゴヴィッチ(Goran Bregović)にとってもまた、新たな創作活動に勤しむ貴重な機会となったようだ。そうして生み出された彼の新作『The Belly Button of the World』は、キリスト教、ユダヤ教、イスラム教それぞれを信仰する人々をテーマとした3つの作品を含む壮大な叙事詩となった。
クラシックの確かな基礎と、バルカン半島からアゼルバイジャンまでの地域特有のジャズを高い次元で融合させるボスニア・ヘルツェゴビナのピアニスト/作曲家、サーミル・フェイジッチ(Samir Fejzic)の7枚目のアルバムとなる 『Strast』(2020年)。彼が敬愛するムガーム・ジャズの巨匠ヴァギフ・ムスタファザデを思わせる(1)「Passion」から、芳醇なオリエンタル・ジャズの香りが漂う絶品だ。
東欧ボスニアの5人組バンド、Divanhanaの6枚目のアルバム『Zavrzlama』がリリースされた。紅一点のヴォーカルを中心とするバルカン・サウンドは旧ユーゴスラビア地域の複雑な歴史や、幾千もの愛と憎しみ、葛藤や赦しといった人間の営みを象徴するように絡み合い、酔狂する。
セルビア出身のギタリスト、ラレ・ミチッチ(Rale Micic)の新譜『Only Love Will Stay』がリリースされた。今作はギターのほか、ジャレッド・ゴールドのハモンドB3オルガン、そしてジョナサン・ブレイクもしくはジェフ・クラップのドラムスというベースレスのトリオ編成で、低音はオルガンの左手が担う、所謂“オルガン・トリオ”の編成となっている。
セクシャリティを超越した印象を残すその佇まいと歌声。観るもの聴くものに強烈なインパクトを与えるボスニア・ヘルツェゴビナの歌手、ボジョ・ヴレッチョ(Božo Vrećo)は、ボスニアの伝統的な大衆音楽であるセヴダをベースにしながら、同時に半世紀以上も伝統に縛られ続け変化を恐れてきたその音楽の表現に革新をもたらした。
サラエヴォ出身の音楽家ゴラン・ブレゴヴィッチ(Goran Bregovic)の『Champagne for Gypsies』。ジプシー音楽を愛するゴラン・ブレゴヴィッチらしいブラス中心のサウンドが轟く。聴けば全身の血が沸き立ち、気持ちの昂りを抑えずにはいられなくなる音楽。粗野と洗練の好対照が同居する奇妙な時間が全体を支配する。
パルムドール賞最多2回受賞、映画界の巨匠エミール・クストリッツァ監督のバンド「ノー・スモーキング・オーケストラ」の最近作『Corps Diplomatique』は、1曲目から名盤を確信せずにはいられない音楽の快楽に満ちたジプシーブラス作品だった。