素晴らしいブラジリアン・ギター作品
ジュリアノ・カマラ(Juliano Camara)とエドゥアルド・ピニェイロ(Eduardo Pinheiro)による独創的なブラジリアン・ギターデュオ、Guanduo の2019年作『Música Disfarçada de Gente』は、多彩なゲストを迎えたギター音楽ファン必聴のインストゥルメンタル作品だ。
アレシャンドリ・アンドレス(Alexandre Andres, フルート)やペドロ・フランコ(Pedro Franco, バンドリン)、マルシオ・バイーア(Marcio Bahia)などブラジル、ドイツ、アルゼンチン、ベネズエラ、チェコから総勢16人の楽器奏者がゲスト参加。
Guanduoの二人の弾く7弦ガットギターを軸に、サンバ、ショーロ、フレーヴォ、ジャズ、クラシックといった音楽のエッセンスがバランスよくブレンドされた極上のセッションが展開される。
収録曲も多彩だ。Guanduoの二人によるオリジナルのほか、ドミンギーニョス&ジルベルト・ジルによる(5)「Lamento Sertanejo」やジャコー・ド・バンドリンの(10)「Vibrações」といったブラジルの名曲、さらには“ミナス新世代”シーンの中心人物ハファエル・マルチニによる(12)「Sono」など選曲にも隙がない。
楽曲によって編成も変えられ、どれも素晴らしいアンサンブルを聴かせてくれるが、個人的に特筆すべきはブラジルのベロ・オリゾンチを拠点に活動をするビリンバウ集団、Arcomusical Brasil との共演による組曲「Suíte Imaginária para Três Berimbaus Afinados e Dois Violões」(6〜9)。
深みのある美しい音色の2台のギターに、ブラジルの伝統的な弓形の楽器であるビリンバウが絡み合うこれらの楽曲はとても個性的。洗練されたプリミティブとでも呼ぶべき、圧巻の演奏を聴かせてくれる。
Guanduoは2015年にファーストアルバム『Inventos』を発表。
2016年には最も美的独創性のあるレパートリーを持つアーティストに贈られる「MIMO Instrumental Award」を受賞している。
その後2年間ほどドイツで活動を行ったあと、ブラジルに戻り『Música Disfarçada de Gente』を録音・発表した。