ブラジル音楽大御所セルジオ・メンデス、SKY-HIとのコラボも話題の新作

Sergio Mendes - In the Key of Joy

ブラジル音楽を世界に広めた天才プロデューサー

セルジオ・メンデス(Sergio Mendes)といえば、世界で最もその名を知られるブラジル音楽界の大御所だ。アメリカに活動の拠点を移してすぐに、サンバ、ボサノヴァなどのブラジル音楽やビートルズの「Day Tripper」などをキャッチーなジャズサンバ風にアレンジした作品『Sergio Mendes & Brasil ’66』(1966年)が全米アルバムチャートに126週もランクインし続け、収録曲であるジョルジ・ベンのカヴァー「Mas Que Nada」はその後もずっと彼の代名詞となるほど大ヒット。ブラジル音楽の魅力を世界に発信する最初のアルバムのひとつとなった。

その後も前述の作品のスタイルを踏襲し続け、秀逸なブラジル音楽風ポップスを連発してきたセルジオ・メンデスだが、ずっと同じことをやり続けていれば飽きられるのは当然で、2000年代前後にはすっかり“過去の人”状態であった。

そんな彼が新たな金脈を掘り当てたのが2006年。これまでのブラジル音楽を基調にヒップホップの要素を大胆に加えた『Timeless』は冒頭の収録曲「Mas Que Nada」とともに大いに話題となり、音楽の最前線への大復帰劇を演じてみせた。

『Timeless』を踏襲したセルメン新作

どうやら一度掘り当てた金脈は、どこまでも掘り続けたくなるものらしい。

セルジオ・メンデスの2019年の新作『In the Key of Joy』は、やはり2006年以降ずっと踏襲し続けている『Timeless』フォーマットに則った作品だった。ご機嫌なサンバと、豪華なゲストミュージシャンによるヒップホップのエッセンス。
今作はカヴァー曲は一切なく、全てが新曲で構成されている。カルリーニョス・ブラウンやジョアン・ドナートの提供曲もあるが、ほとんどの楽曲にセルジオ・メンデスが作曲で関わっているのも珍しい。

セルジオ・メンデスはどんなメロディーが万人受けするかのセンスは本当に天才的だと思う。(1)「Sabor Do Rio」、(2)「Bora Lá」などを聴けば、カヴァー曲に頼らずともヒットを生み出せる天才だということを改めて認識できるだろう。とにかく、分かりやすくキャッチーだ。

また、今作の日本盤には人気ラッパー、SKY-HIとのコラボによるRemixも収録されている。2008年作『Encanto』でのドリームズ・カム・トゥルーとのコラボにも驚かされたが、こうした話題の音楽家とさりげなくコラボして市場にアピールする眼力もさすがだと思う。

Sérgio Mendes – Sabor Do Rio (SKY-HI Remix)のMV。
MVにはセルメン、SKY-HI自身も全面的に出演。

日本版のデラックス・エディションは2枚組。
2枚目にはレーベルの枠を超えたオールタイム・ベストが収録された豪華盤となっている。

Sergio Mendes - In the Key of Joy
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