親密な男女デュオの心温まる作品
NYで活躍するジャズ・トロンボーン奏者/歌手のナタリー・クレスマン(Natalie Cressman)と、ブラジルのSSW/ギタリストのイアン・ファキーニ(Ian Faquini)による素敵すぎるデュオ作品『Setting Rays of Summer』。
リラックスした雰囲気のもと、優しいガットギターとあたたかなトロンボーンの音、そして二人の声が有機的に絡み合う。温かな音楽と時間の流れに、そのまま身を預けてしまいたくなるようなとても素敵な音。
たった二人で、これだけシンプルで美しく、尚且つ温かく深みのあるサウンドはなかなか他で見られないと思う。
イアン・ファキーニの作曲による楽曲は洗練されたジャズのフィルターを通過した豊かなブラジルの音楽の集合体だ。サンバもボサノヴァも、そして彼の師匠であるギンガ(Guinga)の遺伝子も、このアルバムに最も官能的な結果として集約されている。(4)「Debandada」などに見られるギターと声による豊かなハーモニーは、これ以上ないくらいに音楽を聴く悦びをもたらせてくれる。
ナタリー・クレスマン、イアン・ファキーニの経歴
ナタリー・クレスマンはジャズ、ブラジル音楽、アフロキューバンに精通した才能ある若きトロンボーン奏者/ヴォーカリスト。
母親は歌手のサンディ・クレスマン(Sandy Cressman)、父親はサンタナ(Santana)のトロンボーン奏者ジェフ・クレスマン(Jeff Cressman)という、まさに両親のいいとこ取りのサラブレッドな彼女は、カリフォルニア州サンフランシスコで育った。
エリス・レジーナ、ジョニ・ミッチェル、ポール・サイモン、ハービー・ハンコック、ウェザー・レポートなど、幅広いジャンルから影響を受けたと公言している。
イアン・ファキーニはブラジルの首都ブラジリア生まれ、8歳の時に米国カリフォルニアに移住したギタリスト/SSW。今作では全曲で作曲も担当している。演奏スタイルは少し異なるが、ブラジルの鬼才作曲家/ギタリストのギンガ(Guinga)にも師事している。
2016年には歌手パウラ・サントーロ(Paula Santoro)とのアルバム『Metal Na Madeira』を発表。丁寧に紡がれたアコースティック・サウンドはブラジル音楽ファンの間で高く評価された。