ンドゥドゥーゾ・マカティニ:南アフリカのピアニスト/祈祷師の衝撃的ブルーノート・デビュー作

Nduduzo Makhathini - Modes of Communication

名門ブルーノート・レコードに刻まれた新たな歴史

ンドゥドゥーゾ・マカティニ(Nduduzo Makhathini)の新譜『Modes of Communication: Letters from the Underworlds』は、81年の歴史を誇るジャズの名門、ブルーノート・レコードにとって歴史的な一枚となった。
この“しりとりが終わらなくなる”危機を孕む名前を持つピアニストは、南アフリカ人としてブルーノート・レコードとサインを交わした初めてのアーティストなのだ。

南アフリカ共和国の都市ピーターマリッツバーグの緑豊かな丘陵地帯に1982年に生まれたンドゥドゥーゾ・マカティニは、幼少期から音楽を愛した。

ピアニスト/作曲家のほかに、南アフリカに伝わるサンゴマ(Sangoma)と呼ばれる伝統的な祈祷師の肩書きも持つ。彼の価値観は偉大な祈祷師であった祖母の影響を受けており、音楽にもそうしたスピリチュアルな側面が表れている。彼にとって作曲の過程はサンゴマのヒーリングにも似ていて、深い瞑想の末にアウトプットされたものがこの独特な音楽なのだ。

ンドゥドゥーゾ・マカティニの語りも含む(1)「Yehlisan’uMoya」のEPK。

スピリチュアルな“本物の”アフロジャズ

ブルーノート・レコードからの新譜『Modes of Communication: Letters from the Underworlds』は妻でありヴォーカリストのオマググ・マカティニ(Omagugu Makhathini)の歌唱が印象的な(1)「Yehlisan’uMoya」で幕を開ける。バンドはほぼ南アフリカから連れてきたミュージシャンで、フロントの3管が強力だ。南アフリカのシーンを代表するドラマーのアヤンダ・スィカベ(Ayanda Sikade)は近年のトレンドに逆行するシンバルを多用するスタイルでこのアルバムにある種異彩な印象を与えることに大きく貢献している。

収録曲は全てンドゥドゥーゾ・マカティニによるオリジナル。ンドゥドゥーゾのピアノを含め、各楽器のソロも多彩で南アフリカのジャズシーンの充実ぶりが伺える。

ンドゥドゥーゾ・マカティニは2015年にStandard Bank Young Artist Awardで、2017年にAll Africa Music Awardsでそれぞれジャズ部門で最優秀賞を獲得。
前作『Ikhambi』(2017年)は個人的にも驚きに満ちた名盤だった。

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Nduduzo Makhathini – piano
Omagugu Makhathini – vocals

Msaki – vocals
Logan Richardson – alto saxophone
Linda Sikhakhane – tenor saxophone
Ndabo Zulu – trumpet
Zwelakhe-Duma Bell Le Pere – bass
Ayanda Sikade – drums
Gontse Makhene – percussion

Nduduzo Makhathini - Modes of Communication
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