ベネズエラ生まれ、NYで活躍するピアニスト
ベネズエラ出身のピアニスト、ガブリエル・チャカルヒ(Gabriel Chakarji)が初の自身名義のフルアルバム『New Beginning』をリリースした。
タイトルだけを見ると新人ピアニストによる鮮烈なデビュー作と思われるかもしれないが、彼は既にサイドマンとしてのキャリアは充分。参加したベネズエラの作曲家/トランペッター、リンダ・ブリセーニョ(Linda Briceño)のアルバムはラテン・グラミー賞にノミネート。同国のビッグバンド、Simón Bolívar Big Band にも参加し、世界中数多くのフェスティヴァルへの出演経験もあるようだ。
正直、私もまったく知らないアーティストだったが、アルバムを聴いてみて驚いた。現代的な作曲とアレンジ、参加メンバーそれぞれの驚異的なテクニックと非常に高い音楽性、そこはかとなく漂うラテンジャズやアフロベネズエラの香り。ベネズエラに育ち、NYで学んだという個性的なバックボーンが際立つ。これ、長く聴けるやつ…。
パーカッション2人を擁する編成や、いくつかの曲で聴かれるカルメラ・ラミレス(Carmela Ramirez)によるヴォーカルも素晴らしい。ベーシスト、エドワルド・ペレス(Edward Perez)のいぶし銀な音色やソロも最高。アダム・オファーリル(Adam O’Farrill)のトランペット、モーガン・グエリン(Morgan Guerin)のテナーも熱い。そしてもちろん、全曲を作曲しピアノを演奏する本作の主人公、ガブリエル・チャカルヒのラテンジャズから現代音楽まで幅広く対応する個性的なプレイスタイルも聴きものだ。
カルメラ・ラミレスとのデュオアルバム『Vida』もおすすめ
ガブリエル・チャカルヒは、ベネズエラ・ボリバル共和国の首都カラカス出身、現在は米国ニューヨークを拠点に活動する作曲家/ピアニスト。9歳でクラシックピアノを始め、10代でジャズに傾倒。Simón Bolívar Big Band に参加しニューヨークやボストンをツアーした。
2013年にはピアニストとして参加したリンダ・ブリセーニョのアルバム『Tiempo』がラテン・グラミー賞にノミネート。
2014年、21歳のときに奨学金を得てニューヨークに移り、ニュースクールで即興演奏を学び活躍の舞台を広げた。
本作にも参加している女性ヴォーカリスト、カルメラ・ラミレスとのデュオアルバム『Vida』(2016年)は美しいピアノと声が深く印象に残る傑作として高く評価されている。
Gabriel Chakarji – piano, background vocals
Carmela Ramirez – vocals
Adam O’Farrill – trumpet
Morgan Guerin – tenor saxophone
Jongkuk Kim – drums
Edward Perez – bass
Daniel Prim – percussion, background vocals
Jeickov Vital – percussion, background vocals