ジプシージャズ&フラメンコ!二人の若き天才ギタリスト、驚異のデュオ
若き凄腕ギターデュオ、アントワーヌ・ボワイエ&サミュエリート(Antoine Boyer & Samuelito)の2020年作『Sonámbulo』。
互いに異なるスタイルで10代前半から表舞台で活躍してきたフランスのギタリスト2人による、驚異的なデュオ作品だ。
マカフェリタイプのギターを弾くアントワーヌ・ボワイエと、フラメンコギターを弾くサミュエリート。めちゃめちゃ若いが、ともにめちゃめちゃ上手くて度肝を抜かれる。
アルバムは全体的にフラメンコの色調が強い(全曲サミュエリートの作曲のためだと思う)が、クラシックやジプシージャズの要素も含んでおり、バラエティ豊かなギター音楽を楽しめる。
記事タイトルに書いたように、もしもジプシージャズの創始者ジャンゴ・ラインハルト(Django Reinhardt, 1910年 – 1953年)と、近代フラメンコ・ギターの革命的巨匠パコ・デ・ルシア(Paco de Lucía, 1947年 – 2014年)が共演していたら…こんな音になっていたかもしれないな、そんな妄想を掻き立てられるサウンドだった。
二人の若き天才ギタリストのプロフィール
マカフェリギターを演奏するアントワーヌ・ボワイエ(Antoine Boyer)は1994年、フランス生まれ。マンディーノ・ラインハルト(Mandino Reinhardt)やフランシス=アルフレッド・モエルマン(Francis-Alfred Moerman)に師事したというその腕前は卓越しており、13歳頃より父親のセバスチャン・ボワイエ(Sébastien Boyer)のバンドで活動を開始。2007年(14歳!)に父親も参加したアルバム『Leské』をリリースしている。
ジプシージャズのギタリストは早熟な人が多いが、彼もまた若くして天才的なセンスを魅せる注目すべきギタリストだ。
一方のサミュエリート(Samuelito, 本名:Samuel Rouesnel)もまた1993年生まれという若さ。7歳からクラシックギターをはじめた彼は、その後すぐにフラメンコギターに傾倒。クラシックとフラメンコの両道でキャリアを築きながら、多ジャンルの優れたミュージシャンから影響を受け非常に折衷的なスタイルを身につけてきた。
彼の最初のコンサートは、16歳の誕生日の日に行われ、その模様はフランスのテレビ番組で放送された。
アントワーヌ・ボワイエとサミュエリートのデュオは2017年にドイツのドレスデンで「第4回ヨーロピアンギターアワード」を受賞し、それ以来、ファーストアルバム『Coincidence』(2016年)のレコーディングや、世界中でのツアーを行っており、今作『Sonámbulo』は4年ぶりのデュオ2作目となる。