南米先住民族の血を享ける個性派超絶ギタリスト、ロブソン・ミゲルがいろいろと凄い

Robson Miguel - Terra Brasis

グアラニー族出身のギタリスト、ロブソン・ミゲル

南米の先住民族・グアラニー族の血を引くロブソン・ミゲル(Robson Miguel, 発音は「ホブソン・ミゲウ」に近い)という素晴らしいギタリストがいる。日本では知名度こそ高くないが、1959年生まれ、1985年にLPでデビュー、これまでに30以上の作品をリリースしているブラジルのベテラン・アーティストだ。

クラシック、ジャズ、南米音楽、フラメンコといった多様な影響がうかがえる彼のギターは驚くべきテクニックがあり力強く、洗練と野趣が同居したそのサウンドはまるで魔術師。衣装や佇まいにも個性が溢れ、何よりもとても楽しそうな表情でギターを弾く。
彼のYouTubeチャンネルには多数の演奏動画がアップされており、そのレパートリーの豊かさと個性的な超絶技巧に目も耳も心も奪われてしまう。

イタリアの作曲家ヴィットーリオ・モンティ(Vittorio Monti)作曲の「Czardas」を弾くロブソン・ミゲル
タンゴの名曲「La Cumparsita(ラ・クンパルシータ)」を弾くロブソン・ミゲル
ビートルズの「Let It Be」「Yesterday」をメドレーで。

“世界一位のギタリスト”の称号を持つ

ロブソン・ミゲルは、歌手でありグアラニー族とアンゴラ人の混血である母親と、エスピリト・サント州のインディアン村出身の指揮者である父親の元に生まれた。最初にトランペットや読譜を教わり、9歳でギターに没頭、12歳で音楽院でクラシックギター を専攻し技術と芸術を磨いた。

1991年にはスペイン政府がアメリカ大陸の“発見”500周年を祝うためにコルドバ城で開催したイベントに67人の世界最高のギタリストのひとりとして参加。2013年にはメルコスール国際品質賞(International Quality Award MERCOSUR)およびブラジル文化会議所によって“世界1位のギタリスト”の称号を与えられている。

少し古い映像だが、ピシンギーニャの名曲「Carinhoso」のこの演奏はまさに名演。

ヨーロッパで数多くの城を見てブラジルに帰ったあと、サンパウロ州の都市リベイラン・ピレス(Ribeirão Pires)に自身の城「Castelo Robson Miguel」を建ててしまうなど、その生き方も自由気ままで破天荒だ。

自身の城「Castelo Robson Miguel」を案内するロブソン・ミゲル。
ギターをモチーフにした装飾、インディアンの道具たち、そして地下にはなぜか牢獄や洞窟も。
彼の少年のような好奇心が垣間見える。

サブスクでは2015年のソロギター作品を聴くことができる

YouTubeでは多数の映像を観ることができるが、Apple Music や Spotify などのサブスクリプションでは現在のところ2015年のソロギター作品『Terra Brasis』のみしか聴けないようだ。
だがこの作品にはバーデン・パウエルの(3)「O Astronauta」やヴィラ=ロボスの(8)「Trenzinho Caipira」、アントニオ・カルロス・ジョビンの諸作など名曲が多数収録されており、南米ギターファンには堪らない内容になっている。

Robson Miguel – guitar

Robson Miguel - Terra Brasis
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