「アレフベートの歌」が大ヒット、ヴィクトリア・ハンナ
ヘブライ語のアルファベット=アレフベートを歌にし、YouTubeで200万再生のヒットを記録したイスラエルの歌手ヴィクトリア・ハンナ(Victoria Hanna, ヘブライ語:ויקטוריה חנה)。
デビューアルバム『Victoria Hanna』にはその(1)「Aleph Bet / Hoshana」や、続くシングル(2)「22 Letters」を含む10曲を収録している。
ユダヤ神秘主義を感じさせる楽曲群でなかなか面白いが、どちらかというと本作はヘブライ語の初心者の学習や、旧約聖書への興味を持った方におすすめしたい音楽作品だ。
彼女の作品の多くはゾーハルの書や創造の書(イェツィラーの書)といったヘブライ語の古典の研究にインスパイアされたもの。それらをラップやヒップホップ、電子音楽などと組み合わせ世界に発信している。
ヴィクトリア・ハンナの父親はエジプト出身、母親はイラン出身のユダヤ人で、彼女の楽曲や歌からはアラブ音楽やインド音楽の影響もうかがえる。
アルバムは2018年リリースの本作『Victoria Hanna』だけだが、音楽活動は2000年前後から始めている。
今作ではプロデュースや編曲・演奏など全面的にBalkan Beat Boxのタミル・マスカット(Tamir Muskat)が参加。ヴィクトリア・ハンナはBalkan Beat Boxの2005年の楽曲「Adir Adirim」でもフィーチュアされており、古くからの付き合いのようだ。
「Aleph Bet」が大ヒットした2015年に、米フォーブス誌によってイスラエルで最も影響力のある50人の女性の1人にも選出された。
とっつきにくいヘブライ語も、歌で覚えれば簡単!?
旧約聖書を記述している言語であり、イスラエルの国語でもあるヘブライ語。
私たちにも馴染み深いアルファベットとは全く異なる形や、アラビア語と同様に右から左へ書くなど、読むにも書くにもなかなかハードルが高い言語だ。
だが、文字の種類はたったの22種類と、英語のアルファベット52種類(小文字+大文字)と比べれば少なく、それらを覚えてしまえば何となく読めるようにはなる。また、母音も基本的に日本語と同じく「ア、イ、ウ、エ、オ」の5種類のみなので日本人にとっても慣れれば習得しやすい言語だと言われている。
ちなみに私はイスラエルのミュージシャンたちの名前をできるだけ正確に読むため、下記の書籍を参考にしている。各文字の発音などが詳しく解説されており、とても分かりやすくおすすめだ。