ジョエル・ロス、待望のブルーノート第二作
若手最高峰のヴィブラフォン奏者として様々なセッションに引っ張りだこのジョエル・ロス(Joel Ross)のブルーノート第二弾『Who Are You ?』。ヴィブラフォンの美しい音色をシャワーのように浴びるのは、なんて気持ち良いんだろう。大音量でその光のような音に浸っていたい現代NYジャズの傑作。
クインテットのメンバーには絶賛されたジョエル・ロス前作『KingMaker』にも参加していたアルトサックスのイマニュエル・ウィルキンス(Immanuel Wilkins)、ドラムスのジェレミー・ダトン(Jeremy Dutton)、ピアニストのジェレミー・コレン(Jeremy Corren)の3人に加え、横浜生まれカナダ育ちの注目の女性ベース奏者カノア・メンデンホール(Kanoa Mendenhall)が初参加している。1994年生まれのジェレミー・コレンを除き、全員がまだ20代前半という末恐ろしい音楽家たちばかり。低音を支えるカノア・メンデンホールのベースも力強くも柔軟で素晴らしい。
収録曲はジョエル・ロスをはじめとするメンバーのオリジナル曲に加え、慈しむような極上のアンサンブルで奏でられる巨匠ジョン・コルトレーンの(5)「After the Rain」、ジョエルとも交流の深いアンブローズ・アキンムシーレ作曲の(6)「Vartha」のカヴァーを収録。
NYジャズシーンで輝く貴重なVibプレイヤー
ジョエル・ロスは1996年、米国シカゴ生まれのヴィブラフォン奏者。幼少時より双子の兄とともにドラムの演奏を始め、10代でジャズバンドに参加したあと、ヴィブラフォンの演奏を開始した。シカゴ芸術高校に入学すると、セロニアス・モンク・インスティテュート・オブ・ジャズ(Thelonious Monk Institute of Jazz, 現ハービー・ハンコック・インスティテュート・オブ・ジャズ)と学校とのパートナーシップを通じてさらに人脈を広げた。
高校卒業後はニュースクールなどで学び、2016年にBIAMP PDX Jazz Festival “Jazz Forward” Competition で優勝。以来マカヤ・マクレイブン、ピーター・エヴァンス、マーキス・ヒル、ウォルター・スミス3世といったトップアーティスト達と次々共演、近年のニューヨーク・ジャズシーンの盛況の一翼を担い続けている。
ポストバップの伝統に沿った洗練されたスタイルの演奏で、ヴィブラフォンという特色のある楽器を扱いながらもアンサンブル志向が強く、目立ち過ぎずもバンドに華やかなサウンドをもたらす貴重なプレイヤーだ。
Joel Ross – vibraphone
Immanuel Wilkins – alto saxophone
Kanoa Mendenhall – bass
Jeremy Dutton – drums
Jeremy Corren – piano
Guest :
Brandee Younger – harp (9)