ハラナ奏者ラスト・ジェロニモ、HipHop前作から一転、ジャズ×民族音楽の新譜

Last Jerónimo - Jarana Ways

Sonexのハラナ奏者ラスト・ジェロニモ、新譜は多彩なゲストを迎えたジャズ

メキシコのハラナ奏者/マルチプレイヤー/作曲家/プロデューサーのラスト・ジェロニモ(Last Jerónimo)がメキシコやイスラエル、スペインの音楽家たちを迎え制作した2020年新譜『Jarana Ways』は、メキシコ・ベラクルス州の伝統音楽ソン・ハローチョとジャズが融合した個性的で洗練されたサウンドが印象的なラテン・ジャズロックの好盤だ。

本作はラスト・ジェロニモことジェロニモ(ヘロニモ)・ゴンザレスがスペインで行ったツアーに同行したメンバーや、自身が所属するバンドSonexのメンバーであるイスラエル系メキシコ人ギタリストのイラン・バール=ラヴィ(Ilan Bar-Lavi)の人脈を通じたイスラエルのミュージシャンの参加など、文化的にも多彩な作品だ。彼の前作『Somos』(2019年)はビートメイカーとしての表現に拘ったヒップホップの作品だったが、今作は民族音楽やジャズを全面に出し、ヴォーカルもなく全く毛色の異なる作品となっている。

ジェロニモ・ゴンザレスは(9)「Giant Steps」を除く全曲の作曲とベース、ハラナ、キーボードを演奏。
(1)「Garbo」ではイスラエルの新世代ハーモニカ奏者ヨタム・ベン=オール(Yotam Ben-Or)やティンバレス奏者のルーベン・ペレア(Rubén Perea)をフィーチュア。フュージョン系の曲調に絡むラテンパーカッションと、中南米感満載のハラナのストローク、そしてジャズハーモニカという組み合わせがなんとも新鮮。

(1)「Garbo」のMV。
アバニコ奏法を駆使したハラナの歯切れ良い音が気持ちいい。

(2)「Chayote」には盟友イラン・バール=ラヴィ(Ilan Bar-Lavi)がギターで、さらにスペインの木管奏者ホルヘ・パルド(Jorge Pardo)がフルートで参加。

(4)「Jarana Ways」にはアヴィシャイ・コーエンやダニエル・ザミールのバンドでの活躍で知られるピアニスト、オムリ・モール(Omri Mor)が参加し流麗なソロを披露している。この曲では鎌倉生まれのスペイン人打楽器奏者、ミゲル・ヒロシ(Miguel Hiroshi)がカホンセットを叩く。

ジョン・コルトレーンの名曲(9)「Giant Steps」はメキシコ出身のディエゴ・フラスコ(Diego Franco)によるテナーサックスと、ハラナのデュオというこれもまた珍しい編成で面白い。

若きハラナの達人、ジェロニモ・ゴンザレス

ハラナはあまり日本では馴染みがない楽器だが、ウクレレよりも大きく、ギターよりも小さいサイズの弦楽器。メキシコの地方によっていくつかの種類があるが、ジェロニモの楽器はベラクルス州に伝わるハラナ・ハローチョ(Jarana jarocha)と呼ばれる種類のもの。8弦5コースでナイロン弦が張られており、アップ/ダウンのストロークや、フラメンコ・ギターやウクレレで用いられるアバニコ奏法による連続した高速の三連符といった演奏が特徴的。

ジェロニモ・ゴンザレスは少年期に見たハラナによる伝統曲「Los Juiles」の演奏に見惚れ、以来奏法を習得。伝統音楽を学ぶとともに進学した音楽大学ではコントラバスを、さらにスペインのバルセロナに渡ってフラメンコギターを、米国バークリー音楽大学では音楽制作の学位を取得するなど多角的に音楽を吸収してきた。

2005年にベラクルスで結成されたバンド、ソネックス(Sonex)にハラナ奏者として参加。同バンドはソン・ハローチョとジャズやアフリカ音楽、ペルー音楽、ベネズエラ音楽などをミックスした独自の音楽性で世界的な評価を得ている。

Jeronimo Gonzalez – jarana, bass, keyboards
Jorge Pardo – flute (2)
Omri Mor – piano (4)
Billy Buss – trumpet (7)
Ilan Bar-Lavi – electric guitar (2, 4)
Yotam Ben Or – harmonica (1)
Adrián Terrazas-González – tenor saxophone (8)
Jeff Fajardo – drums (8)
Miguel Hiroshi – cajon set (4)
Orestes Gomez – drums (5, 6)
Sami Mendoza – drums (2, 7)
Diego Franco – tenor saxophone (3, 5, 6, 9)
Emmanuel Cisneros – Rhodes (3, 5)
Rubén Perea – timbales (1)
Alan Villanueva – alto saxophone (1)
Manuel Huizar – flute (4)
Helio Martin del Campo – cajon set (3)

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